特集

自動車ビジネス二代目育成塾

事業継承をして業績を伸ばす企業の特徴とは

船井総合研究所オートビジネスチームが主催する「二代目育成塾(車屋さん経営者親子向け世代交代・事業継承に特化した勉強会)」において、第一回ゲスト講師としてお招きした、中部地方F社の事業継承成功事例についてご紹介する。事業継承においては事業継承前・途中・後のそれぞれにおいて問題が生じやすいだろう。しかし、F社はその全ての段階において親子二人三脚で乗り越えられ、非常によいモデルとなる事業継承をされた。会員企業の中でも最も綺麗な形で事業継承し、業績を伸ばされた会社と言える。

さてまずは、事業継承前のエピソードについてだが、F社創業者(現会長/ 現在59 歳)は、ご自身が50歳、息子さん(現社長)が24 歳の頃から事業継承を考えられていた。実際には3 年後に事業継承が完了したのだが、ほとんどの創業社長であれば、まだまだ俺が引っ張らなければならないと思っている時期だろう。その当事、会長が早期事業継承を決断した理由が3 つあった。

一つ目は、「創業者が後継者を助けられるタイミングが大事」という理由である。異業種の付き合いなどから、事業継承後、後継者と社員の人間関係問題が起きるケースが多いと知り、自分と共に来たメンバーと息子との摩擦を最小限にするためにも、自分が若い50 代のタイミングがベストだと決断された。

二つ目は、「息子に早く覚悟と責任を持たせるため」である。現社長も、当時は不安定でフラフラしていた部分もあったが、会長はプロスポーツ選手が結婚後活躍するのと同じく、「役が身を作る」と考えており、社長という大きな役を与えることで、男として息子さんを認めてやり、責務を負わせてやることで、意識や会社への向き合い方が変わると思い、決断された。

三つ目は、「時流に合わせるには若い力が必要」という理由である。これも、なかなか創業社長でいち早く自覚される方が少ない。中古車販売だけでなく、車検・鈑金・保険など、多くのビジネスチャンスが自動車業界にはあると理解していても、IT 化が進む社会へ会社が順応し、社員も同時に順応させるためにも、トップの若返りが大事だと思い決断された。

事業継承は創業者(先代)が意識を変え、環境を整えること

これら3 つの理由は、創業者という生き物がなかなか意識・行動できないものではないだろうか。事業継承を経験された会社も、「先代は死ぬまで経営者で、急死や病気などによりバタバタ継承した」「いつまで経っても自分(後継者)に譲ってくれなかった」などの話をよく耳にする。頭では分かっていても息子にはまだ譲れないことや、息子も親を認めない、頭を下げられないこともある。そのような
会社は、その後引き継いだ後継者が苦労すること、会社の業績を落とすことが多い。そういった事例を他社において実際に見聞きした経験より、F社会長は「事業継承は後継者中心でするのではなく、先代がしっかり環境を整えることが大事」と言う。みなさんの会社ではどうだろうか。

そして次ページは、F社が実際の事業継承中・事業継承後の話をお伝えします。

AD
 data-src=有償運送許可研修を毎月開催" width="650" height="178" >

有償運送許可研修を毎月開催

せいび広報社では毎月、事故車故障車等の排除業務に係る有償運送許可の研修会を実施しています。会員限定ではなく、全国どの地域からも、法人・個人事業主でもどなたでもご参加いただけます。研修の受講者は、会社の代表者・経営者に限らず、従業員の方でしたらどなたでも、会社を代表して受講していただくことが可能です。

CTR IMG