特集

自動車ビジネス二代目育成塾

前ページはT 社のカリスマ的な創業社長の、後継者の育成方法を中心にお伝えしたが、今回はその会長が全国でも有数となる社員を育てた教育手法についてお伝えする。

一番暇な時を基準に適正人員を決める事で社員を育てる

会長が考える適正人員の決め方は閑散期基準である。いちばん暇な時期に何人必要かで決めている。逆にはじめから繁忙期に合わせて人員体制を決めてしまうと、1 人当りの生産性は決して上がらないという。一人ひとりの努力レベルが下がるそうである。これは営業職、整備職、事務職のどちらの部門でも同じである。特に営業部門は、年間2,000 台以上を販売しているが、営業マンは5 名である。一人当りの販売台数は実に400 台以上である。この実績を見ると、ほとんどの方は毎日何時まで働いているのかと思われるかもしれないが、実際に繁忙期にでも夜の20時半には全員が帰っている。

理由は、軽自動車の販売という業態であること、新車などしか販売していないため、販売から納車までの業務が非常に楽だということが挙げられる。それでもこれだけの台数を全てこなしながらの生産性は全国でも有数であると言える。

とはいえ、閑散期になっても同時刻まで仕事をしている場合もあるが、会長はそういう場合には必ず、「今日は宴会だから19 時までに上がってくれ」と言うそうである。そうすると必ずそれまでに仕事が終わる。だから、会長は1 ~ 3月の残業代と7 ~ 9月の残業代が同じだということは許さないのだそうである。そういったことが浸透している体制は、経営者としては非常にすばらしいことである。幼少
体験から、何があっても赤字にしないという意識からこの考え方が生まれている。

実績には高給与で報いて高生産性を維持

この会長は、社員に給与を支払うことに全くためらいがない。実績を上げている社員なのだとしたら、しっかりと給与で報いるべきだそうである。世の中の経営者は、一気に社員の給与を上げたくないと思う方も少なくないが、T社の社員は実績が全国トップクラスということもあるが、給与もトップクラスである。当然年収1,000万円以上稼ぐ社員も複数いる。社員としても、日中は一生懸命働くが、毎
日20 時前後に帰ることで、家族との時間も取れる。私生活も充実し、給与で報いてもらえることで公私共に充実させられるのである。

高給与を与えながらも、社員には、給与の8 割で生活するようにと伝えている。理由は、中小企業は社長次第で経営がどうなるかが分からないということ、時代によっては苦しい時が来るかもしれず、その時は給与が下がるからである。また、中小企業では退職金も支払わない場合も多いため、給与を残す意識をしていれば、必ず老後も安定した生活が得られるという、会長の社員を思った指導・教育方法である。

こういった教育方法が浸透しているため、後継者もそれを踏襲しつつ、自身のカラーをつくる必要があるのである。カリスマ社長から引き継ぐ後継者は優秀な社長が多いが、対社員、対他社にしても、創業者からの脱却には時間がかかっている企業は多いのではないだろうか。

次ページは、弊社より「創業社長と後継社長の採用、教育の違い(仮)」についてお伝えする。

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