特集

自動車ビジネス二代目育成塾

事業継承成功企業T社についてである。前頁はT社のカリスマ的なワンマン創業社長(現会長)の考え方を中心にお伝えしたが、今回はその会長が現社長(息子/ 後継者)を育ててきた教育手法についてお伝えする。

経営者は実務実績を積むことで威厳が生まれる

会長が考える経営者の条件は「実戦経験を積むこと」が大事と言う。整備が好きだから、販売が好きだからといって、そればかりやっていてはいけない。経営者となるならトップクラスの実績を積むことが大事だと言う。

自身の成功経験を元に社員を教育したり、ものを言うことには説得力が高まり、部下が聞く耳を持つ。今でも社長を中心に5 名の営業マンが多い月は250 台車を販売するT社は、5名体制でも8時半には帰宅している。会長の人員体制の決め方は「一番暇な時の人数に合わせる」ことだそうである。そして、営業マンは全て中途社員で、良い社員をさらによい社員に育てることを方針としているようで、「自
社で働いてから他社に行っても、他社で使い物にならないと言われないように修行しろ」と伝えている。当然、売れる仕組みを会社が作っているからこそ、この少人数でも非常に高い実績を上げられているのだ。

仕事でもプライベートでも、いいものはまねること

会長は、いいと思ったことは真似てずっと実践してきている。軽自動車専門店をオープンする時も、やはり先駆者の企業を真似てスタートさせている。また、子供を大学まで卒業させるために、外国の観光ガイドブックを参考に「子供たちを大切な遺産だと思っているから、子供を大学まで行かせたい」と伝え続けたそうである。

この会長が素晴らしい点は、いいと思ったことを素直に取り入れているということである。現状の環境に固執しない柔軟な対応が出来ることは経営者として非常に大事である。

社長を育てるためには先代が「任せる」決断をすること

会長は社長を息子に引き継ぐ時に社員を集めて、「経営者は変わる。経営者も変われば、業績も落ちる。やっていることに批判も出る。でもそれに、いちいち文句言っていれば余計に悪くなる。だから、次期社長の言うことが、納得できなかったら、早めに辞めるように」と伝えていた。そして社長には1 億円を超えないものには決裁権を与えている。社長が就任直後に50 万、100 万の決済でも確認を
取りに来たことがきっかけだそうである。会長いわく「社長がいいと思って決めたことはやり切る」ことが社長人として後継者を育てるために必要だそうである。おかげで会長が関与しなくても大丈夫だという安心感が得られたことで、今では会長も会社より趣味などに当てる時間が非常に増えたそうである。

会長の話からすると「会長職にいて会社によく来る人は後継者を育てていない」と言える。経営者が事業を継承して会社を任せる決断は必要である。経験をさせなければ成長は促せないものである。後継者を育てるために「任せる」ことは先代経営者としての最後の決断だと言える。

次ページは、T社会長の社員の教育方法についてお伝えする。

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