知ってますか?バッテリー交換について

バッテリー

バッテリー交換にまつわる エトセトラについて

せいび界2013年2月号

全国的に寒く、雪の多いシーズンに !バッテリー交換

前回紹介したように、自動車用バッテリーは様々な種類があるのだが、実はその判定方法も同様に様々な種類がある。その特性をつかんでおくことは、トラブル防止の観点からも重要だ。そこで今回はバッテリー交換に関するポイントおよびバッテリーテスター各種について紹介する。

バッテリー劣化のメカニズム

まずは劣化を含めたバッテリーの構造について改めて見ていこう。ガソリン車の多くに使われている鉛蓄電池は、酸化鉛と鉛との電位差によって電力が起きる。
しかし、重金属である鉛を活性化できる電解質は希硫酸以外にリーズナブルな液体がないため、未だに希硫酸が使われているのが現状だ。

そのため、放電するとプラスとマイナス両方の電極に鉛硫酸塩が生成され、この現象をサルフェーションという。

この鉛硫酸塩は水や希硫酸に対する溶解度が小さいため、過剰に生成されると、バッテリーを充電しても還元されずに残ってしまう。これがバッテリー劣化の要因なのである。極板に過剰なサルフェーションが起こったために還元反応ができないということなのだ。

サルフェーションが引き起こす現象

サルフェーションを起こすと、極板は不導体で覆われた状態になるので、断面積が小さくなり、熱や電気の伝導率が減る。また、起電力(電圧だけでなく電流も)も低下する。過剰なサルフェーションが起こると、

○ アクセルを戻すとライトが暗くなる
○ エンジンのかかりが悪い
○ バッテリー液の減りが早い
○ クラクションの音が弱い
○ パワーウィンドウの開閉が遅い

といった現象が起こる。

劣化を計る指標CCAとは?

もう一つ、バッテリーに関する用語で最近よく聞く「CCA」について確認しておこう。「CCA」とは、コールド・クランキング・アンペアの略で、アメリカでのバッテリー規格の表し方である。
マイナス18℃の環境で、端子電圧が7.2Vまで低下するような放電を30秒間行った場合に、バッテリー内部にどれだけ電気を出力する能力があるかを
判断する指標だ。
分かりやすく言えば、そのバッテリーにエンジン始動能力があるかどうかを調べるための指標で、例えば、CCAが630Aのバッテリーとは、マイナス18℃で630CCAの定電流放電を30秒間行っても、7.2V以上の端子電圧を維持できるバッテリーであるという意味だ。
つまり、CCA値が高ければ、バッテリーはまだまだ元気ということを表す。ただし、先ほど触れたようにCCAはアメリカの規格なので、日本で主流のJIS規格に合わせて定格CCA規格が決められていること、また、ものによってはCCAが正確に測れないバッテリーテスター(判定方法)もあるということを頭に入れておいていただきたい。

バッテリーの主な測定方法と特徴

バッテリーの測定方法は大きく分けて3つある。コンダクタンス法は、特定の周波数でバッテリーのセル及びユニットに交流信号を流し、端子間における電流レスポンスを測定する方法である。ミドトロニクス社が特許権を持ち、同社のテスターのみ採用している方式である。
インピーダンス法は、特定の周波数でバッテリーから電流を採り、セル及びユニットの電圧の低下を測定する方法である。1/1000~1/2秒間放電させ、その時に測定した電圧降下からオームの法則により内部抵抗(=インピーダンス)を算出する。ほとんどのバッテリーテスターで採用されている方式である。

レジスタンス法(負荷測定法)は、セル及びユニットに負荷をかけ、電圧と電流の変化を測定する方式で、アナログ式ロードテスターに採用されている。
さて、この3つは使用する上でどういった違いがあるのだろうか? ポイントはバッテリーへの負荷の有無である。

最も負荷をかけてしまうのが、名前にもあるようにレジスタンス法である。特にアナログ式の場合、針が振れるのが一瞬のため、見落としたからといって何度も測定すると、連続した過放電によってバッテリーにトドメを刺す場合がある。また、バッテリー単体で測ることが前提となっているため、車両に接続した状態で測定してはならない。車によってはエラーコードが残る場合すらある。

その次に低いとはいえ、やはり負荷がかかるのがインピーダンス法である。
また、この方式とレジスタンス法、両者で、ハイブリッド車やアイドリングストップ車などいわゆる充電制御車のバッテリーを測定する際には注意が必要である。
充電制御車は普通に乗っている限りでは満充電、12.6Vにはならないため、入庫即測定では正確な測定ができない。バッテリーチャージャーを併用して満充電した上で測定を行えばよい。

最後、コンダクタンス法は、バッテリー端子に低電流・低周波A/C信号を送って直接抵抗成分の影響を測定するため、バッテリーに負荷をかけない。また、充電制御車ならずとも、満充電でないバッテリーも正確に測定可能。
新規に導入をするのであれば、コンダクタンス法のテスターがオススメだ。

しかし、他の方式のテスターも注意点を頭に入れて扱えば恐るるに足らずだ。
こういっては何だが、どの方式のテスターを使ったところで、バッテリーは消耗品であることに変わりはなく、ただ寿命が遅いか早いかだけである。
しかし、交換してからそれなりの距離を走っている場合であれば、寿命がきてもユーザーは納得するだろうが、測定をしたことで劣化→交換となってしまうのは問題である。
バッテリー診断では、その点だけは間違いないようにしていただきたい。

バッテリーテスター

株式会社東洋エンタープライズ

バッテリーコンダクタンス&エレクトリックシステムアナライザー

MDX600APシリーズ

本製品はバッテリーマネジメントの世界的リーダー、ミドトロニクス社の製品。特許であるコンダクタンステクノロジー(15ページ参照)を用いて、安全で迅速、簡単に正確なバッテリー診断を行うことができる。
コンダクタンステクノロジーは、バッテリーがその内部構造を通して電流を送って診断する技術。ミドトロニクスの特許であるコンダクタンステクノロジーは、長年の研究によりバッテリーのクランキング能力と相関することが実証されている。

この技術により不良セル、短絡及び通常の経年劣化を検地する。バッテリーは古くなると、その内部は腐食、分解、脱落により消耗し性能は劣化するが、その状態をコンダクタンスの値で表示する。
その他、結果はバックライト付きの大型画面で最大5行まで表示でき、プリンター搭載モデルではグラフの印刷も可能。SDカードを使って、ソフトのアップグレードもできる。HV・EVの補機バッテリー、アイドリングストップ車、充電制御車のバッテリーもテスト可能。

ワーズインク株式会社

バッテリーシステムアナライザー

AA1000RP

アーガス社のバッテリーテスター。同社では真のバッテリー劣化を導き出すために、バッテリーの内部抵抗に着目し、安定かつ瞬間的に測定する技術を開発。計測にかかる時間は1ms以下、たった千分の一秒以下で内部抵抗を測定し、バッテリーの良否(寿命)を判定する。これが同社独自のLPRTM(Large Pulse Resistance)測定技術である。その判定精度は非常に高く、エンジンをかけたままでの測定さえも可能となっている。

また、従来のバッテリーテスターで問題となったのは、始動能力の点検ができないことであった。アーガスのCCTM(Crank Check)測定技術なら、スタータースイッチを回してエンジンが始動するまでのバッテリーの電圧変化を精密に測定し、始動能力の点検も正確だ。

いわば、LPR測定技術でバッテリー自体の健康状態を診断し、CC測定技術でそのバッテリーがその車に相応しいものであるかどうかを診断する、本製品は2つの診断技術を融合させた、バッテリーだけでなく始動・充電システムも総合的に診断できる、最先端のテスターだ。

大作商事株式会社

12V&24V充電/始動システムアナライザー

DSR77

従来のバッテリーテスターは、バッテリーに大きな負荷をかけるだけでなく、電圧の変化からバッテリーの良品を判定するため、一時放電したバッテリーなどを正確に判定することは困難とされていた。
本製品はCCA 値を測定することで、「充電すれば使えるのか」、「いくら充電しても使えないのか」を瞬時に判定でき、付属のプリンターで結果を顧客に提示することも可能となっている。
また、始動能力診断テスト(オルタネーターが十分な能力を保有しているか)機能も搭載しているので、エンジンがかからない場合、「バッテリーに問題があるのか」「充電システムに問題があるのか」を判定することもできる。

JIS、SAE、DIN、EN、IEC それぞれの規格に基づいた測定が可能で、英語、中国語、韓国語表示にも対応。
昨今、急速に普及しているアイドリングストップシステム搭載車や充電制御システム搭載車専用のバッテリー、HV・EV の補機バッテリーの測定にも対応しており、バッテリートラブルが急増するこの時期に必須の商品である。

株式会社日立オートパーツ&サービス

業界初!充電制御車/IS車用バッテリー測定モード搭載バッテリーチェッカー

HCK-601

バッテリーチェッカーのマスターモデルを目指したバッテリーチェッカー。3つの特徴がある。
①業界初!※ 従来機では正確に判断できなかった充電制御車/アイドリングストップ車などの省燃費車に搭載されている高回生バッテリーのポテンシャルを正確に判定する専用の測定モードを搭載した(※2011年7月、同社調べ)。
②より正確な判定を行うため、2回の計測を行うダブルディファレンシャルパルス方式を採用。1回目で個々のバッテリーが持つ抵抗を測定、2回目の計測結果から電荷移動抵抗の増加量を算出することで、より正確な寿命判定が可能。
③最新のJIS規格CCA値・型式データを内蔵し、世界各国の規格(DIN、SAE、EN、BCI)にも対応。クランプ部に搭載したサーモセンサーで温度補正を行い、診断結果の信頼性も向上した。