診断のキホンは勉強である

故障診断整備のススメ

長く「故障診断整備のススメ」を執筆してきましたが、今さらながら今回はスキャンツールの基本について触れてみたいと思います。

スキャンツールはズバリ「故障コードを読み取る道具」です。内包する問題を故障コードという形で明確化することが出来ます。その故障コードは車に搭載されているECUにメモリーされていて、それをスキャンツールで読み出しています。
つまり、スキャンツールが故障診断をしているのではなく、クルマに搭載されている「自己診断機能」を使って故障を検出しているということになります。

■ 自己診断機能

自己診断とは、クルマに搭載されているECUがクルマ自体を監視し、不具合が起こると、ECUにメモリーすると共に、メーター内のチェックランプを点灯させてドライバーに知らせる機能のことです。我々はそれを手がかりにして、故障診断を進めてゆくのです。ですが、監視しているとは言っても全てのシステムやコンポーネントを見ているわけではありませんので、個別に診断が必要なケースもあります。また、最新のクルマほどコンピューター化が進んでいるので、自己診断も進んでいます。そして、スキャンツール側もクルマと通信するためにはメーカーや車種、システムによってコンピューターとやり取りする言語が違ったりするので、バージョンアップが必要です。逆にバージョンアップをしなければクルマと繋がらないという現象が起きるのです。

■ 考える力

故障コードについてもピンポイントで「〇〇センサー不良」と出る場合と「〇〇系統」と出る場合があります。こういった場合はメカニックの考える力が求められます。この考える力というのはシステム全体を理解していて、故障コードから怪しい部位を推測して確認できることを指します。つまり、「勘」というものに道筋を立てることが考える力になります。

具体例 P0171 混合気リーン異常

例えば「P0171 混合気リーン異常」と出た場合、何らかの理由で混合気が薄くなっていることが分かります。この故障コードから幾つかの原因が考えられます。

① 何処かで2次エアを吸い込んでいる
② インジェクターが詰まり気味で適切な噴射量が出ていない
③ 何らかの理由で燃圧が下がっている
④ エアマスメーターが狂って正確な吸入空気量を計測していない
⑤ O2センサーが狂って噴射時間が短くなっている
⑥ 冷却水温センサーの狂い
⑦ エンジンの機械的故障などが考えられます。

以上のことからスキャンツールの使い方のみならず、対象車両の制御システムを勉強する必要があります。そして、現代の車両を修理、メンテナンスするためには必ず勉強が必要です。このことを忘れずにクルマそしてスキャンツールに触れていきましょう。

監 修:ボッシュ株式会社 長土居大介