バッテリー診断のポイントは?

2015年8月7日

自動車整備故障診断整備のススメ

せいび界2014年12月号

イマドキのバッテリーはイマドキの診断が必要

バッテリー診断

コンピューター制御が進む現代の自動車業界だが、各部品、パーツも高度化が進みつつある。バッテリーもその一つといえるだろう。アイドリングストップ、最近では当たり前になりつつある機構で、バッテリーもエンジンのオン、オフが激しいこともあって専用設計のものが存在している。短い時間に多くの充電を受けなければならないために、受入性能が高いタイプを着けなければ寿命が早まる。

ただでさえ電子化が進んでおりバッテリーに負荷がかかるのに、さらにバッテリーに負荷をかける仕組みが最近の車には多く、それを理解していないユーザーもまた多い。そして、こういったバッテリー事情に疎いメカニックもまた少なくない。

この連載を熱心に読んでいる読者の方でアイドリングストップ車に普通のバッテリーを取り付けるようなことはしていないと思うが、実際にアイドリングストップ車に普通のバッテリーを取り付ける事例も起きている。そんなミスでお客たまに見限られないためにも、イマドキのバッテリー診断について説明をしようと思う。

昔のバッテリーと今のバッテリーの違い

最近のバッテリーはメンテナンスフリーとなっており、バッテリーが弱くなった、というよりも、ある日、急にバッテリーが使えなくなるという症状が多い。
昔ならば液栓が付いていたが、最近はない。これはなぜか。答えは電解液が減りにくくなったためだ。そして電解液が減りにくくなったのは電極の素材が新しくなったためだ。昔は鉛+アンチモン、そこから鉛+カルシウムとなり、より高性能にと進化を遂げている。性能面で言えば、自己放電しにくいというメリットを持っている。

このように昔から日々バッテリーは進化しており、現在のバッテリーは高性能かつ長寿命になっている。しかし液栓が無くなったことにより、比重の測定が不可能になってしまったことが挙げられる。ユーザー側も「そろそろバッテリーが駄目になってきたかな」ということが感覚的に分かっていたが、最近のバッテリーは急に使えなくなることがあるので、ユーザーフレンドリーとは言えない。しかし、「感覚」で仕事を行っていた時代から「精密診断」で仕事を行う時代へと変わってきているので、使う側、ユ
ーザーにしてもメカニックにしても感覚から診断に切り替わらなくてはならない。

比重からバッテリーテスターへ

バッテリー上がりでジャンプさせてエンジンをかける。こういった行為に慣れているユーザーも中にはいる。しかし、ジャンプでエンジンをかける行為がバッテリーやエンジン、電装品にかける負担を知っているユーザーは少ないと思う。
年間にバッテリー上がりの出動回数は80万件とも言われており(JAF調べ)、それだけバッテリーに無頓着なユーザーが多いのと同時に、バッテリー診断を怠っているメカニックも多いとも言える。なぜか、やり方、方法、道具がまだ「感覚」の時代から多くの工場が脱せていないからではないだろうか。

バッテリーの診断は以前、比重計を使って比重が1.26であれば満充電と評価していたが、比重を量ることが現在のバッテリーでは出来ない。ならばバッテリーテスターを繋がなければならないだろう。当たり前の話だが、スキャンツール同様に機械が正確な数字を出してくれるので、ユーザーに対しても正確に数値で見せることが出来る。数値で見せることでバッテリー交換や充電、はたまた、バッテリー以外の故障を見抜けるかもしれない。

テスターも最新のものを使わなくては色々と不便も

テスターも、バッテリーから大電流を一気に取り出して回復度合から判断する古いタイプでは、バッテリーにダメージを与える可能性も少なくない。仮に劣化したバッテリーでも走行時の充電で数値にバラつきが出る。これでは正確な診断とは言えない。こういった以前のテスターではなく、バッテリーの内部抵抗を測定してCCA(コールドクランキングアンペア)から判断するタイプを使って診断することをお勧めしたい。
CCAとは、マイナス18℃で30秒後に負荷をかけた電圧が7.2Vまでドロップするまで何A出力できるかという鉛バッテリーの基準であり、国内、海外のバッテリーに記載されている。基本的にCCAが高ければ高いほど、冷間時のエンジン始動性能が高い。CCAで診断するメリットとして次のような特徴が挙げられる。

① バッテリーに大きな負荷を与えない
② 内部抵抗での測定のためサルフェーション等の劣化を正確に判断できる
③ テスターが熱を持たないのでテスターにもやさしい

新しいテスターならばユーザーに見せやすい紙が出るタイプも多数用意されているので、診断結果を共有できる。
そしてバッテリーの販売などにも繋げることが出来る。もちろん、こういった細かな作業とユーザーとの接点作りが更なる受注を生むこととなり、信頼される会社作りの一歩となる。

充電して交換して、それでも駄目なら他に原因がある、何故を追求するための設備

バッテリー交換をするとなっても、ただ充電して繋ぐ、で終わらせるのはナンセンスだ。よくあるタイマー付きの急速充電器を使っている定電流タイプのため、現在のバッテリーで使用する場合、時間、Ah、温度を常に見ておかないとオーバーチャージになってしまい、バッテリーにダメージを与える。今後は定電圧タイプの充電器を使用してするのをお勧めしたい。

フル充電したバッテリーを搭載した車が再度バッテリー上がりで入庫した際にバッテリーをもう一度新品に交換した経験があるメカニックはいないだろうか? バッテリーの初期不良ということで無理やりバッテリーメーカーに交換をさせた経験は無いだろうか? そして再度入庫した。結果、オルタネーターの不良や配線の不良ということだった、などという事例もある。こうならないためにもバッテリーテスターで測定し、充電にも気を遣わなければならない。

入庫さえあれば、テスターを繋ぐことは出来ます、必ず繋いでバッテリー診断を行い、ユーザーとの接点を増やし更なる受注を受けることが、単価アップの鍵といえる。設備とはそういった使い方をしなくてはいけない。何故を求めるのと、ユーザーとの信頼関係を作る道具としてぜひテスターを活用し、故障診断整備のプロとなっていただきたい。

監 修:ボッシュ株式会社 長土居大介

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