始動系統の診断について

故障診断整備のススメ

始動系統以外(本体や点火等)は考えないものとするならば、始動系統の故障にはエンジンがかからない(クランキングしない)ものとかかりにくい(クランキングが遅い)ものがあります。始動系統を診断する場合、スキャンツールの出番はありません。何故ならスターターモーターやバッテリーはECUが監視していないからです。

※最新のアイドリングストップ車は例外で一部ECUが監視しています。

しかしこの場合、バッテリーテスター、サーキットテスター、電流クランプが別に必要になります。始動不良の原因がバッテリーなのかスターターモーターか配線なのかを絞り込むために下記を参考にして下さい。

■ 故障診断方法

まずはバッテリーを点検するためにバッテリーテスターでコンディションをチェックします。電圧だけでは内部抵抗、充電状態は判断出来ません。次にクランキング時の電流と電圧を測定します。(電流クランプ使用)クランキング時の放電電流は排気量によって異なりますので右記を参照して下さい。
クランキング時の端子電圧は9.5 ~11.0Vあれば問題ありません。ベストなのは10V以下にならないことです。

バッテリー電圧 スターター電流 トラブルがあると考えられる部位
低い 低い バッテリー上がり
通常より高い 低すぎる 接触不良/配線関係
低すぎる 高すぎる スターターモーター不良

 

排気量 クランキング時電流
軽~ 1,000cc 75 ~ 90A
1.0 ~ 1.5L 90 ~ 120A
1.6 ~ 2.0L 120 ~ 145A
2.5L ~ 150 ~ 225A

■ 最終点検方法と電圧降下

回路に抵抗などがある時、電流が流れると回路両端に電位差が現れます。これを電圧降下といいます。抵抗が R 、電流が I のとき電圧降下 V はオームの法則により V=RI となります。

そして接触不良と配線関連の点検になります。バッテリー端子とターミナルの電圧降下とバッテリープラスとB端子間の電圧降下を測定すれば大丈夫です。
いずれも0.5V以下であることが重要となります。

監修 長土居大介