バッテリーとスキャンツールの関係

バッテリー

バッテリーとスキャンツールの意外な関係

せいび界2013年3月号

事例①バッテリーの浪費!?

電動ファンのアクチュエータテストを行った。電動ファンがしっかり回ることを確認したので止めようとしたところ、スイッチをオフにしても止まらず、スキャンツールの故障かと思われたが、10数分後にようやく止まった。
このケースは、満充電でないバッテリーのまま、スキャンツールを繋いで診断をしていたことによるもの。スキャンツールを繋ぎ、イグニッションをONにして(エンジンは動いていない状態で)診断を開始した時に、スキャンツールが繋がっていることやアクチュエータテストで電動ファンを回していたことで、バッテリー内の電力を消費し、エンジンが動いていないがために充電されることがなく、つ
いにはスキャンツールからの信号を受けても電力不足で動かなくなるほど、バッテリーの電力が低下しまったのである。

昨今普及しているハイブリッド車やアイドリングストップ制御車は満充電にならないうちに自動的にエンジンが切れてしまうことがほとんどなので、今回のケースは特に起こりやすい。
対策としては、バッテリーが満充電かどうかを確認し、満充電でなければバッテリーチャージャーなどの安定電源を用意した上で、スキャンツールを接続しての診断に入るとよいだろう。

事例②特定できない故障原因

トランスミッションが固定したままで変速できないクルマで故障診断。エラーコードは検出されるものの、試運転後、リセットしても再びエラーコードが検出され、ミッション自体の故障箇所はどうしても分からなかった。
このケースは、①と同じくバッテリーのパワーが落ちていたために、トランスミッションまでうまく電気が流れず、変速しなかったことが原因である。
電源であるバッテリーに異常がある状態で故障診断を行っても、今回のように大量にエラーコードが出てしまい、かえって原因究明が難しくなってしまったという訳だ。

試運転はできたということで、クルマが動けば、バッテリーは問題なく作動していると多くの整備士は考えがちなので仕方のない部分もある。今回のケースでは、スキャンツールだけでは原因を突き止められなかったが、バッテリーテスターで電気の流れが正常かどうかを診断していれば特定できた可能性はある。
故障診断はスキャンツールを繋ぎさえすればいいと過信するのでなく、読み取った情報を元に、さらに故障原因を追求するためのテスターの活用方法や知識を動員することができて初めて、プロの故障診断と言えるのだ。

「スキャンツール活用事業場認定制度」

ここで認定制度に触れておく。スキャンツールを有効に活用している事業場を認定することにより、自動車の電子制御装置の機能診断が実施できる事業場であることをユーザーにアピールするもの。
認定に関する研修は、基本研修と応用研修の2段階で、「基本研修」はスキャンツールの操作・活用が一般的に行える技術の習得を目標に平成24年度から既に開始している。
また、「応用研修」はスキャンツールを使用し、新技術に対応した高度な診断・整備技術の習得を目標に平成25年度からの実施を予定している。
事業場の認定は、平成25年度からの実施を予定しており、認定を受けるためには下記の(1)~(3)の要件を全て充足していることが必要である。
(1) スキャンツール応用研修修了者又は一級自動車整備士が1 人以上勤務していること。
(2) スキャンツールを保有していること。ただし、J – OBD Ⅱ対応、DTC(ダイアグノスティックトラブルコード)読み取り・消去、作業サポート、データモニタ、フリーズフレームデータ、アクティブテストの機能を有するもの。
(3) FAINES に加入していること。 認定事業場は、「コンピュータ・システム診断認定店」の名称が入った卓上盾を購入する必要がある(看板や幟旗も用意する予定)。

また、診断等を実施した場合、顧客に対し診断結果について説明し、かつ可能な限り診断結果の印刷物を提供することが求められる。

スキャンツール

株式会社スマートダイアグ

コストパフォーマンス抜群の普及型スキャンツール

SMART DIAG

「スマートダイアグ」最大の特徴と言っていいのが、圧倒的な低価格。最低導入コストは36,750円(税込)から。
その秘密は必要な診断ソフト(メーカー)だけを導入することが可能なこと。初期導入時は3社もしくは8社のメーカー対応ソフトを好きな組み合わせで導入できる。
本体5,250円(税込)に、3社パック(31,500円(税込))か8社パック(57,750円(税込))を足したものが初期導入コストとなる。以後、1メーカーのソフトを追加するごとに10,500円(税込)が加算される。
対応可能メーカーは国産車8社、国産トラック4社、輸入車9社の合計21社。故障コードの読取・消去ではエンジンを始めとする各システムへ対応している(エンジンのライブデータを確認できるソフトはオプション)。
作業サポートでは、需要の多いDPF強制再生に対応。ECUリセットやDPFの状態を表示する機能も搭載しており、データモニタソフトと併用することで、DPFが詰まった場合の作業をサポート。

株式会社日立オートパーツ&サービス

スタンドアロン、WithPC 2WAY診断

ダイアグチェッカー HCK-DMZ

多様化する診断シーンに応えた2WAY診断ツール。現場でのニーズに合わせて、単体(=スタンドアロン)でコードリーダーとしても使える他、パソコンと連携させてより詳細な診断を行うこともできる。国内乗用車8メーカー、国内トラック3メーカー、グローバルOBDⅡにも対応。 コードリーダーとしても優秀で、故障コードの読み取り/消去はもちろん、作業サポート(国産車のみ)、エンジン
システム診断、診断シートの作成/印刷(プリンター搭載)、データロガー、データモニタ(スタンドアロンの場合グローバルOBDⅡにのみ対応)、レディネスコード読み取り、フリーズフレームデータ読み取りが可能。
また、一般的にはオプションとなりがちなプリンターも、本製品では搭載しており、エンジンシステム診断機能と合わせた診断シートの出力で顧客への提案にも説得力が増す。
さらに、パソコンと連携させて使う場合、USB接続し、別売の診断アプリケーションソフトを使うことで、単体ではできなかった国産車の(リアルタイムでのグラフ表示も可能な)データモニタ、アクティブテストが可能になる。

ワーズインク株式会社

ライブデータ表示が可能で高速動作

コードリーダーFE 3250jpa

高級タイプの診断機のように機能満載気味なのが、昨今のコードリーダー。それに対し、「コードリーダーは日々必要な機能だけを搭載すべき」、「コードリーダーの役目は入庫時にメインの高級タイプの診断機を使う必要があるかどうかの判断をすることにある」と謳っているのがワーズインク。今回、最新版の「3250jpa」が登場した。
あらゆる故障コードに対応。読取に15秒、消去に5秒と、高級機による本格診断前のプレ診断にも最適。 中でも一番の特徴はライブデータの表示(エンジン各部のセンサからECUに送られる信号をリアルタイムに数値あるいはグラフとして表示)が可能であること。同社の栗田純一専務取締役曰く、「ライブデータに関してはJOBD、OBDⅡだけでなく、トヨタ・日産・ダイハツ・スズキの独規格に対応するコードリーダー型スキャンツールは他に存在しない-現時点では-」とのこと。
他にも、操作性や耐久性の高いゴムボタンの採用、コネクタのカプラの切り欠きにもこだわり、差し込みやすく抜きやすい形状にするなど、細かい現場のニーズにも配慮。