ABSについて考える②

ABS診断

自動車整備故障診断整備のススメ

せいび界2015年3月号

ABSについて考える② 走る、曲がる、止まる、自動車の運動に介在するもの

先月号ではABSの機能と仕組み、点検について解説したが、今回はブレーキそのものに関する根本的な考え方とシステムタイプについて解説する。

自動車の運動は走る、曲がる、止まるであり、その全てにブレーキが介在する。もちろん、ABSはその全てに影響を及ぼしている。制動を掛けて止まる場合は言うまでもなく、走るがある以上は止まる、曲がるという一定のリズムでブレーキングが発生している。では、この自動車の運動にさらに大きな影響を与えるモノは何か。それはタイヤである。タイヤは言うまでもなく、制動力を保つための役割や走破性を高めたり、ドレスアップといった様々な要因で交換される場合がある。溝の状況やコンパウンドなど、タイヤは走る、止まる、曲がるといった運動に対し、真摯に作られている。スキャンツールにおける故障診断とは少し脱線するが、その実全てが繋がっている。

自動車の運動性能を最大限に使いきるための点検

自動車の運動性能は、各々の車両によって違いはあるものの、最大限に使い切るためにはタイヤの存在が重要になってくる。

余談だが、最近では、アジア製の激安タイヤから、国産タイヤまで多くのタイヤが存在している。銘柄による性能差もあり、より安全に走る、曲がる、止まる為には、何をお客さまに勧めるべきか、自ずと分かってくると思う。安かろう、悪かろうでは意味がなく、せっかくの自動車の運動性能を殺してしまう可能性もはらんでいる。その点をうまくケアするのも、メカニックとして必要な要素である。

さて、銘柄の話は各々の判断に任せるとして、4輪のタイヤの状態を確認することが運動性能を引き出すためには必要だ。適正空気圧であるか、また、前後のサイドスリップ、ホイールアライメント、ショックアブソーバーの状態とブッシュ類のへたり具合、フルードの状態、マスターシリンダーの状態などチェック項目は多い。

ここまで行って初めてABSがOKであれば、点検完了と言える。先月号でABSでも入庫確保が出来る、という点に触れた。ABS診断は電子制御ということもあり、スキャンツールを活用することになる。しかし、それだけでは不十分で、ABS診断のためにはメカニックが自動車の状態に対して、持てる知識と技術、経験を惜しみなくつぎ込まなくてはならない。両立しなくては、意味がない。逆もまた然りで、基本的な点検を行っていても、電子制御のチェックを怠っては意味がない。極端な話、メカニックの存在は自動車を整備することではなく、自動車を安全に走らせることであると言える。モノではなく、コトに重きを置くべきであると言いたい。

ABSのシステムタイプ

さて、話は変わるが、ABSのシステムタイプは制御チャンネルと車輪速センサーの数で区別されている。(表1参照)

センサーにはメーカーや車種によって違いがあり、ABSセンサー不良が出た場合であっても各々診断が必要になってくる。例えばの話であるが、右前輪のセンサーに不良の判定があってグリップの低いタイヤを装着したとしよう。フルブレーキをかけてABSが作動した。しかし右前輪はセンサー不良でABSが効かない。となると、どのような事態が起きるか。明白である、右前輪を起点にスピンをしかねないということだ。センサーに不良があり、タイヤに不備があった場合は最悪のケースになりかねない
と言える。よくある話だが、看過はできないだろう。当たり前のことだが、ABSセンサー不良のチェックだけでなく、他の部分も総じて見ることが重要だ。

 ABCのシステムタイプ
 4センサー4チャンネルタイプ 4輪にセンサーがあり、1輪毎の制御
 3センサー3チャンネルタイプ フロント1輪毎、リア2輪を総合制御
 2センサー2チャンネルタイプ  現在は使われていない

 

ABSとTCSの総合制御

ABS同様に、トラクションコンロールについても理解を深めていただきたい。発進、加速時に、路面のミューが低い場合、タイヤの空転が起きて、自動車が不安定になることを防止するために備えられたのが、TCS(トラクションコントロールシステム)だ。発進時、加速時及び制動時に路面に力を伝えるのに、必要な効率は、タイヤと路面に生じるトラクション(スリップ感)によって決まる。

ABSのシステムを使って、ABSは制動時のホイールロックを防止し、トラクションコントロールは、加速時のスリップを許容範囲内に抑えて、車輪のスピンを防止するのだ。また、合わせて両方の駆動輪が空転した場合のコンピューターは、エンジン出力に介入して、駆動トルクを減少させる(スロットルを絞る)。これにより、安定した走行が可能になるのである。

つまり、ABS・TCSの制御により、エンジン制御まで関係してくるのである。ここまで分かれば、車全体をコンピューター診断しなければいけない理由が分かる筈だ。一見、コンピューター診断に関係のないドアであったとしてもエアバッグセンサーがついていたりする。

全ての部品が一概に関係がないとは言えない。故障診断とは、原因を探求することで原因を解決することではない。原因を解決するのはメカニックであって、その原因といかに対峙するかの道具としてスキャンツールがある。故障という事象に対して今後の整備シーンでは必要不可欠である。ABS一つをとっても様々なセンサーや不良に対する原因ある。全てのメカニックが整備は出来が、故障診断や原因究明が出来るニックが今後、必要とされる。

現在では、ESC(横滑り防止装にまで発展し、車両の姿勢制御全てコンピューターが管理しているのでる。機械制御から電子制御に全体的変わりつつある。ESCは平成24年月以降の新型車すべてに装着が義務されている点を見ても今後の電子制の波は広がることが容易に想像でき最新の故障診断に対応出来なければき残れない。

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監 修:ボッシュ株式会社 長土居大介