理論空燃比について学ぶ

インジェクション

自動車整備故障診断整備のススメ

せいび界2014年9月号

理論空燃比(ラムダ)について学ぶ

自動車の心臓とも言えるエンジンは様々なセンサーや補機部品が付いていることは当たり前のことでご存知だと思う。ところで、理論空燃比とはどのようなことか思い出していただきたい。自動車整備士の資格を取得する際、必ず学んでいるはずだ。理論空燃比は14.7:1、ガソリン1に対し空気量14.7 のことを言う。では「なぜ理論空燃比にコントロールする必要性があるのか」答えは単純明快で排気ガスの浄化・ドライバビリティ・燃費の両立のためである。

混合気を吸入、圧縮、燃焼、排気というのがエンジンの燃焼行程であるが、この仕組み自体に理論空燃比が関わってくることもご存知だろう。例えば理論空燃費比が狂っていた場合はどうなるだろうか? もちろん排気ガスの数値が悪化するだけではなく、エンジンの調子が悪くなる車も出てくる。更に新しい車はやっかいで、理論空燃比が多少狂っていてもコンピュータが補正を掛けて修正してくれるのだ。これが故障を見つけ難くする原因で、スキャンツールを使いこなせないと分からないのである。

更にもっと重要な問題として排ガスチェックをかけた時にも起きてしまう。日本の車検検査基準ではCO(1%未満)とHC(300ppm 以下)のチェックを行うが、世界的に見ると極めて甘い基準値であり、NOx に至っては計測すらしない始末である。車検時に「排ガス検査に通った、ラッキー」ではなく、車両を正確に整備する理屈を学ばなければ、今後の排気ガス審査にはパスすることができなくなる可能性が見えてくる。そのためにもスキャンツールによる故障診断が必要になってくるである。

こんなに人畜有害、排気ガスの成分と特性

排気ガスに含まれる有害排気ガスがどのような問題を孕んでいるかを理解するところから始めようと思う。

CO:一酸化炭素
無色無臭のガスで血液中のヘモグロビンと結びつくために非常に有害。主に空燃比が濃い場合に増大する。
HC:炭化水素
不完全燃焼により発生する。人体には神経症状を発生させる。主に空燃比が濃い場合に増大する。
NOX:窒素炭化物
強い酸化作用で細胞を傷つける。粘膜気管支炎を起こす。理論空燃比より薄い状況で増大する。
PM:粒子状物質
中国ではおなじみのPM2.5 が有名だが、人体に及ぼす影響は呼吸器疾患や心疾患による死亡率が高くなる。主に触媒機能の低下による不完全燃焼によることで排出される(ディーゼル車)。

大きく分けると上記の4つが排気ガスの成分として挙げられる。原因として明確なのは触媒の機能低下や理論空燃比が関係してくる。人体における有毒なガスが大量にあるのが十分に理解いただけたかと思う。一般のユーザーがここまで理解しているかは我々の予想の範疇を超えてしまう。しかし、自社のお客さまに快適にカーライフを送ってもらうために自動車整備工場があると言っても過言ではない。これからの自動車整備工場は環境にも配慮しなくては生き残っていけない。重ねて言うがこれを予防、抑止するためにはやはりスキャンツールによる故障診断が求められるのだ。

根本原因の究明を

実際に新しいクルマの排ガスをチェックすると排気ガスに含まれるCO などは限りなく0に近いのではなく、0なのだ。
つまり、排ガステスターでCO 等が検出された場合は理論空燃比がズレている、または触媒機能の低下、O2 センサー不良など様々な症状が予想される。では空燃比コントロールはどのように行われているのか? エンジンのチャート図を見て頂ければ分かるが、吸入空気量をエアマスセンサーで計量して情報をECUに送り、エンジン回転数のデータから1気筒当たりの空気量に対して、理論空燃比になるようにECU がインジェクターの噴射時間を決定するのだ。

しかし、エンジンの燃焼状態は刻々と変化しているのでフィードバックが必要になる。これがラムダクローズドループと呼ばれるフィードバック制御なのだ。どのようなことかと言うと燃焼の状態は排気ガスに現れ、それを監視しているのがO2 センサーなのだ。

O2 センサーは排気ガス中の残留酸素の量を計測していて、今エンジンがリーンなのかリッチなのかをECUに送っているのである。では、エンジンチェックランプが点灯した場合、どれだけのメカニックが排ガステスターで排ガスの状態やO2 センサーをチェックしているだろうか?

根本の原因を発見するためにキモになる事象を追求しなければ整備とは言えない。もちろんO2 センサーを交換して終了というメカニックももしかしたらいるかもしれない。それで症状が改善されるかもしれないが、どうしてそうなったのかを考えなければ整備とは言えない。ただの交換、修理だけになってしまう。このところ釈迦に説法のような記事が多く続くが、敢えてまた言おうと思う。そのためにも故障診断整備、つまりスキャンツールが必要になってくるのだと。

最大限スキャンツールを活用する

今回の空燃比コントロールで一番大切なセンサーはO2 センサーである。このセンサーが無ければフィードバック制御は成立しない。また、O2 センサーを点検するにはスキャンツールが無ければ出来ないのである。スキャンツールの有用性は言うまでもなく故障診断が出来るところにある。メーターのエンジンチェックランプが点灯したとして、根本原因を追求するためにはやはりO2 センサの交換だけではなく、スキャンツール繋いでみなければ分からない。

よく事例としてO2 センサーを交換しても状が改善されない場合があり、他の品に問題があるとしてどこから確認をるか? などという前にスキャンツール当ててみることをお勧めする。メータのチェックランプはきっかけではな他の部品に異常があると判断するためもスキャンツールを使わなければならい。経験や勘といった不確定要素もには必要だが、最近の電子制御のなったクルマでは故障診断が求めらる。

逆をいえば潜在的に問題を抱いるクルマがお客さまの中にどれだけるかが分かるのもスキャンツールの魅である。ワンコイン診断といったようスキャンツールを日々使うことで慣れのと同時にスキャンツールの減価償却出来、お客さまの故障を未然に防ぐ頼のおける自動車整備工場となれるではないだろうか? 癌も早期発見で命を取り留める事も往々にしてある。自動車整備も早期発見でお客さまと長お付き合いが出来るようになるのではいだろうか?

監 修:ボッシュ株式会社 長土居大介

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