車体整備工場にもスキャンツールは必要か?

スキャンツールエンジン

スキャンツールを考える

国土交通省が進めている「汎用スキャンツール普及検討会」は、“自動車整備工場がクルマを修理する上でスキャンツールが必要である”という観点から汎用スキャンツールの普及促進に向けた話し合いがメインとなっている。

特に図のピラミッドの中腹にあたる汎用スキャンツールの普及させることで、整備業界全体の電子整備に対する対応を底上げさせることが目的だ。

スキャンツールの普及・活用状況

実際、OBD-Ⅱを搭載した車両の整備(故障診断)には、もはやスキャンツールが必要不可欠になってきている。輸入車や一部の国産高級車などでは、ブレーキフルードの交換一つでもスキャンツールが必要とされる時代になった。

その一方で、最近よく聞かれるのが、“車体整備工場でもスキャンツールは必要なのか”という声である。

結論から言うならば、車体工場でもスキャンツールがこれからは必要な時代となり、またコードリーダー(スキャンツールの簡易版のようなもの)は、むしろ車体整備工場にこそ導入してもらいたいのである。その訳とは・・・。

OBDⅡの考え方は「安全」 志向よりもむしろ 「環境」 志向が先行

現在、車体整備の現場において、プリウスを代表とするハイブリッド車などの次世代自動車について本来の 目的である走行性能の前提条件、「外観・美観の回復」「安全性能の回復」「環境性能の回復」の三つの中で、 安全・環境性能向上を具現化した最新の車両については従来の知識・技術だけでは十分な作業品質を得る事が出来なくなってきているという背景がある。

また事故車が入庫してきた際、外見は鈑金塗装技術で完壁に復元修理できたとしても、事故時の衝撃で電子制御の部分が何らかの異常をきたしているケースは皆無とはいえない。

そのため、車体整備工場でも「事故車の入出検査の必要性」についても今後、真剣な議論が必要となってく るだろう。実際、欧州のベルギーなどでは、「事故車の再検査制度」が導入されている国もある。

しかし、事故修理後の「車両の安全性の確保」するための制度が日本では確立されていない。

ある自動車整備団体の行ったデータによれば、入庫車両の約1.29台にSRSの故障コードが、約5.72台にABS 関連の故障コードが検出された。このことはエレクトロニクス技術を利用した安全装置の不具合を見過ごすリス クが極めて高く危険であり、車体整備業者でも入庫時のスキャンツールによる故障診断が必要不可欠であると する事業者も多い。

まずは使用者の「安全確保」

すでに車体整備工場ではダイアグコードリーダを完了検査に活用している工場も増えてきている。これは鈑金修理して、納車する前にダイアグコードリーダを繋いで、エラーコードが出ていないか、あるいはエラーコードを消去するために活用している。

しかし、事故修理の場合、「修理する前にダイアグコードを繋ぐことが最も重要である」という車体整備業者の関係者は言う。

それは例えば、「エアバッグセンサーなどが断線しているケースもあり、修理時にバッテリーを外してしまうと、そのエラーコードも初期化されてしまう。しかし、修理した後にそのコードを拾っても、入庫前からそのコードが出ていたのか、あるいは修理によるものなのか?が不明になってしまう」というのだ。

つまり、修理して納車した車が次にまた事故を起こした時にエアバッグが展開しないという恐れがあるのだ。また、エアバッグのセンサー確認は車検時にも点検項目には含まれていない。

つまり、安全を守る上で一番重要なエアバッグセンサーをチェックする機能が実は今の制度では補完さていないのである。実に恐ろしい話である。

こうした背景を考慮しつつ、車体整備工場のスキャンツール導入の促進も真剣に議論してもらいたい。これは“使用者の安全を確保する”という我々の使命であり、また自社防衛の観点からも重要な案件といえる。

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