最新技術を支えるバッテリー ②

ボッシュ充電器C7

自動車整備工場における故障診断整備のススメ

バックアップ機能

先月号に於いて、最新車は充電制御、アイドリングストップ、ハイブリッドなど最新技術が搭載されていることを説明しました。通常のバッテリーではなく、高性能な専用のバッテリーを使用する必要性が理解できたと思います。バッテリーも日々進化しており、自動車技術を支えている高性能バッテリーを適宜使用していくことが求められます。
さて、そんなバッテリーですが、交換時に於ける注意点があります。それはバックアップ機能です。今回はこのバックアップ機能に触れていこうと思います。

トラブルを未然に防ぐ

最近のバッテリーは高性能になり、寿命も長くなりました。しかし一方で、突然死などのトラブルを抱える消耗部品でもあります。だからこそ、消耗品である認識をお客さまにきちんと説明する必要があります。以前、バッテリー診断について触れましたが、トラブル回避のためにも定期的な診断が必要です。突然死の回避、そして交換した後のトラブルの回避は、高度化する自動車にとって必須の整備と言えます。交換後のトラブルの多くは学習機能の説明不足にあります。時計を合わせるといった単純なものや、コンピューターのリセットといった専用工具(スキャンツール)が必要になる大きな整備にまで至る場合もあるのです。最新車のバッテリー交換は単純な交換では済まされなくなっています。

コンピューターの学習機能

車の進化はコンピューターの進化があったからこそ実現できました。コンピューターが多くの制御を行うことで、燃費の向上やトラクションコントロールなど、車は多くのコンピューター技術に支えられています。そんなコンピューターですが、常に電源が確保されており、車の使用状況を常にメモリー(保存)しているのです。このメモリーは学習値と呼ばれております。乗り方や経年劣化、故障具合など様々な環境によって変化していきます。これが学習機能です。

学習機能をカットするバッテリー交換

当たり前のことですが、コンピューターはバッテリーから電源を確保しています。つまりバッテリーを交換した際は電源がカットされてしまいます。この時、言うまでもなく、学習値がリセットされてしまいます。リセットするとどんなことが起きるでしょうか。それは、コンピューターが新車時と同じ状態に戻るということです。せっかく車に合わせた学習値がクリアされてしまうのです。それまで車が蓄えた情報が無くなってしまうので、また最初から学習し直さなくてはいけません。それはおろか、調子も暫く悪くなります。バッテリー交換で入庫して調子が悪くなるのでは、大きなトラブルとなります。一言添えるだけでは不十分で、分かりきったトラブルなので、回避しなくてはいけません。そのためのバックアップなのです。

バックアップを取らないと起きるトラブルと初期設定

バックアップを取らないでバッテリーを外した際に起こりうる不具合は下記の通りです。
① 時計、ナビのメモリー消去
② パワーウィンドのオート機能障害
③ スライドドアのオート機能障害
④ バックガイドモニター障害

以上が代表的な不具合です。特にパワーウィンドは窓が開かなくなるなど、直接的にお客さまに損害を与える場合があります。たかがバッテリー交換などと油断しないで臨みたいものです。これらのトラブルが起きてしまった際に、やらなければならないことがあります。それが初期設定です。お客さまに納車する前に設定を行わなければ、さらに大きなトラブルになってしまいます。最近のアイドリングストップ車では、純正診断機を使って作動回数をリセットしなければ、アイドリングストップをしなくなってしまいます(日産セレナSハイブリッド、マツダアクセラI-stop等の車両が代表的)。
また、これらの初期設定に関しては自動車公論社から発売している「初期化設定マニュアル」を参照していただければと思います(定価4,800円)。

バックアップの取り方

では、バックアップの取り方を説明しようと思います。

① バックアップ機能のある充電機を使用する
② 12Vバッテリーを用意しておいてバックアップを取る
③ シガーライターからバックアップを取る
④ OBDカプラーから給電出来るバックアップ電源とする

具体的なバックアップとしてはこの4点が挙げられます。このうち、①と②は確実ではありますが、車両側のバッテリーケーブルに接続するために外れる恐れがあり、さらにはショートする可能性があるので、注意が必要です。
③の場合、国産車のほとんどがキーをACCにしなければバックアップは取れません。ACCにするということは、それなりの電流が流れるので、ある程度容量のある電源を使用しなければバックアップは取れません。

結論は安全かつ確実に作業が出来るので、④が一番のオススメです。
バッテリー交換と一口でいってもこのようにバックアップの必要性が出てきます。特に最新車であれば電子制御の塊になります。今後は必ずバックアップを取りながら作業をしていただければと思います。

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BOSCH充電器 C7

[製品仕様]
■ 日本専用仕様 AC100V 50/60Hz
■ 電流・電圧フルオートマチック制御
・カンタン操作
・過充電を防止
・バッテリーを傷めない
・安全対策
■ 充電可能(推奨)サイズ
・二輪車用:12V
(10時間容量 11.2Ah以上のサイズ)
・四輪車用:12V・24V
(全サイズ)
■ 付属品:
バッテリー接続用クリップ、壁掛け用フック
充電ケーブル(脱着可能)

[安全設計]
■ ショート防止
■ オーバーヒート防止
■ 自動停止

[充電モード]
■ 6種類の充電モード
・12Vモード
・12V AGMモード
(およびバッテリー温度0℃以下)
・12V回復モード
・12Vバックアップモード
・24Vモード
・24V AGMモード
(およびバッテリー温度0℃以下)
■ パルス充電モード
■ トリクル充電モード
■ 回復モード(12Vのみ)
■ バックアップモード(12Vのみ)

定価:18,000円