全軽自協が第61回通常総会を開催 軽OSS新車新規が前年比170%、流通確認業務サービスも本格稼働

一般社団法人全国軽自動車協会連合会(会長=赤間俊一、略称=全軽自協)は令和8年6月12日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで第61回通常総会を開催した。理事の選任をはじめとする議案が滞りなく承認され、令和7年度の事業報告および令和8年度の事業計画が示された。総会後の懇親の場には国土交通省物流・自動車局や軽自動車検査協会、自動車メーカー、関係団体、報道各社が参集。整備・部品流通の現場に直結する施策が多数報告された。本稿では、軽自動車を扱う整備事業者・部品商・卸売業者にとって押さえておきたい実務ポイントを中心に、総会の内容を整理する。

令和7年度の軽新車販売は168万8466台 2年連続で前年度を上回る

事業報告によると、令和7年度(2025年度)の軽四輪自動車の新車販売台数は168万8466台、対前年度比3.8%増となった。認証問題の反動と、全面改良された新型車の好調が押し上げ要因となり、2年度連続で前年度を上回った。乗用車・貨物車ともにプラスで、貨物車は3年度ぶりにプラスへ転じている。

会長挨拶では、暦年ベースの数字に触れつつ「2年連続で前年を上回ることができた」と一定の手応えが語られた。一方で「今年に入って4月、5月と足踏み状態」「中東情勢や物価高で生活防衛といった報道もあり、先行きが見通せない」との認識も示され、各メーカーと販売店が一体となって販売を維持したいとの方針が述べられた。整備・部品の現場にとっても、新車販売の動向は入庫台数や部品需要の先行指標となるだけに、上期の足踏みは注視しておきたい。

軽四輪の保有台数は令和7年12月末時点で増勢を維持しており、軽自動車が地方の生活の足、中小企業の仕事の道具として定着している実態が改めて裏づけられた格好だ。会長は、カーボンニュートラル対応で軽自動車が主役となる時代への期待にも言及。海外メーカーの軽EV参入や国内メーカーの軽乗用EV投入など、電動化の選択肢として軽自動車が国民の第一候補に挙がることへの期待を示した。

流通確認業務サービスが本格稼働 所有者承諾書を電子化、整備・中古車事業者にも対象拡大

整備・中古車流通の実務に最も影響が大きいのが、令和7年7月1日に運用を開始した「流通確認業務サービス」である。所有権の公証制度が無い軽自動車では、盗難・詐欺など流通上の事故を防ぐため、これまで紙の「軽自動車所有者承諾書」や「軽自動車検査証返納確認書」によって所有者の申請意思を確認してきた。新サービスは、電子化された自動車検査証券面に記載された二次元コードを読み取ることで、迅速かつ正確に所有者の申請意思を確認する仕組みだ。

政府が進める押印廃止への対応であると同時に、所有者承諾書の取得に伴う申請者側の負担軽減につながる。全軽自協は、流通の安全性が確保された軽自動車が一層増えることが、所有権の公証制度が無い軽自動車制度を維持していく上で最も重要であるとして、これまで所有者承諾書を利用していた事業者を含めた所有者に対し、サービス利用者拡大の理解促進を進めている。

あわせて注目したいのが、押印登録事業者(流通確認の対象)の範囲拡大だ。従来の「都府県地区軽自動車協会会員」「信販会社」「軽自動車協会会員以外の軽自動車ディーラー(メーカーと特約店契約)」に加え、新たに自動車リース会社、自動車整備事業者、中古車販売事業者などが対象範囲に加わった。軽自動車の名義変更や流通に日常的に関わる整備・中古車事業者にとって、流通確認のスキームに直接組み込まれる意味は大きい。自社の取引形態が新たな対象に該当するかどうか、いま一度確認しておきたい。

なお、この流通確認業務システム化に伴い、軽自動車所有者承諾書は廃止された。全軽自協では事務所在庫・ディーラー在庫・一般流通分の用紙について買戻しを実施している。返納確認書の廃止に伴い、OCR申請書(4号)については令和8年度分から軽自動車検査協会が作成することとなり、全軽自協での印刷・頒布は行わないことになった点も、用紙を扱う現場としては把握しておきたい変更点である。

軽OSS申請が急伸 新車新規は前年比170.2%、継続も6割超がオンラインに

デジタル化の進展も著しい。令和7年度の軽自動車OSS(ワンストップサービス)申請は、新車新規が72万0097件で前年比170.2%、新規検査総数に対する比率は29.88%に達した。継続は614万1934件で前年比109.8%、継続検査総数に対する比率は47.24%となっている。国土交通省は令和8年度末までにオンライン率40%という目標を掲げており、新車新規は直近で38.9%まで到達、目標が視野に入ってきた。

全軽自協自身による申請代行も拡大している。令和8年3月末時点で、新車新規OSS申請は全53事務所のうち51事務所で、継続OSS申請は49事務所で実施。新車新規OSS申請に占める全軽自協の比率は91.9%と高水準にある。背景には、令和6年7月1日から新車新規のOSS申請においても全軽自協が行政書士法の適用除外団体となったことがある(継続検査は従来から適用除外)。軽自動車の登録・検査手続のオンライン化は、ディーラーだけでなく整備事業者の窓口業務の効率にも波及するだけに、今後の対象範囲拡大の動きは引き続き注目される。

あわせて全軽自協は、国土交通省が進める「自動車の登録・検査手続のDX」に関して、キャッシュレス化、ペーパーレス化、中間OSSの導入などが全軽自協の業務と取組みに影響を及ぼさないよう、軽自動車検査協会や国交省から情報収集を行うとともに働きかけを行っている。

税制改正 環境性能割の廃止が決定、ガソリン暫定税率も廃止へ

整備・部品流通に間接的に影響する税制も大きく動いた。令和8年度税制改正大綱において、自動車関係諸税については環境性能割の廃止が決定。これに先立ってガソリン税の暫定税率廃止法案が可決するなど、ユーザー負担の軽減が図られる結果となった。全軽自協をはじめ自動車関係団体の要望活動が一定の成果を上げた形だ。

会長挨拶では、今年の最大の課題を税制と位置づけ、「軽自動車は地方の暮らしを支える生活の足、中小企業にとっては仕事の道具」と強調。自動車税・軽自動車税のあり方、重量税の上乗せが今年決まる予定であるとして、「軽自動車は国民生活に不可欠」「さらなる税負担増には絶対反対」と強く主張する姿勢を示した。10年前に軽自動車税が1.5倍に引き上げられ、ユーザーが悲鳴を上げ販売が減った経緯にも触れ、「二度とユーザーに負担をかけないよう」と関係省庁への理解を求めた。

ただし、令和9年度税制改正に向けては、令和10年度以後における自動車税および軽自動車税のあり方について、その課税趣旨を踏まえつつ、自動車の重量および環境性能に応じた公平・中立・簡素な税負担の仕組み等について検討し、令和9年度税制改正において結論を得るとされた。利用段階の課税の適正化に向けては、自家用の乗用自動車のうち電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車について、車両重量に応じた一定の負担を求めるとされ、具体的な税率等も令和9年度税制改正において結論を得ることが明記されている。電動化の進展を見据えた課税の見直し議論は今後も続くため、整備・販売の現場としては動向を継続的に注視する必要がある。

来賓挨拶 軽自動車検査協会「令和11年1月に新システム公開、DXで自動化投資」

来賓として挨拶した軽自動車検査協会の江角直樹理事長は、昨年度の登録車の新車販売がマイナス3.5%と減少に転じた一方、軽自動車は2年連続で全体を上回ったことに触れ、軽自動車が日本の道路事情に適した生活の足・仕事の道具であるとの認識を示した。

実務面で注目されたのは、今年4月に手数料を改定したことへの言及だ。理事長は「いただいた手数料は利用者へのサービス向上という形で還元したい」と述べた。さらに、人口減少による労働力不足が深刻化する中、より少ない人数で業務を回すための業務効率化・生産性向上が必要だとして、DXを活用した自動化への投資方針を示した。具体的には、令和11年1月に軽自動車の検査システムの公開を予定しており、この機会を捉えて自動受付機・自動更新機の導入やキャッシュレス化に取り組むとした。OSSについても対象車種の拡大や土日祝日対応など、より使いやすい改善を進める意向だ。

また、一昨年1月から始まった記録等事務代行については、今年に入って軽自動車の電子車検証の率が9割を超え、利用率が上がってきていることを報告。特に石川県・福井県では軽自動車検査証に占める記録事務代行の比率が5割を超えているという。検査の窓口効率化や申請者の生産性向上に直結する取り組みであり、整備事業者の検査関連業務にも関わる動きとして押さえておきたい。

来賓挨拶 ダイハツ「サプライチェーン維持に感謝、軽タクシー制度にも期待」

続いて挨拶に立ったダイハツ工業の井上雅宏氏(日本自動車工業会軽自動車委員会副委員長)は、中東情勢をはじめ自動車産業を取り巻く環境が大きく変わっている中、経済産業省によるサプライチェーンの維持や物流の円滑化への対応に謝意を示し、「これからも現場の声を密に届けて連携したい」と述べた。シンナーや潤滑油など、整備・塗装の現場が直面する供給課題とも通じる問題意識であり、メーカー側からも政府対応への評価が語られた点は注目される。

井上氏はまた、海外メーカーの軽EV参入が予定されていることに触れ、「お客様視点では選択肢が増えることは問題ない」としつつ、競争を勝ち抜く一メーカーとして良い商品を出していく決意を表明。製造・販売・サービスを一貫してお客様に選んでいただける商品とサービスを、全国軽自動車協会連合会とワンチームで盛り上げていきたいと語った。

さらに、2026年6月に国土交通省から軽自動車のタクシー利用制度の施行に関する発表があったことにも言及。登録車と同じ安全基準のもと、小さくても安全安心な車として軽自動車が進化を続けることへの期待を示した。軽自動車が物流のラストワンマイルを支える存在であり続けるとの認識のもと、「軽は日本を動かす原動力」と結んだ。

その他の実務関連トピック

事業報告では、整備・流通の現場に関わる施策が幅広く報告された。主なものを整理しておく。

軽自動車検査情報の電子的提供

全軽自協は軽自動車検査協会から情報提供機関として承認を受け、「軽自動車検査情報提供システム」を運用している。高速道路会社等への軽自動車検査情報の提供や、車検証電子化に伴う車検証情報の問い合わせに対応し、令和7年7月からは流通確認業務システムへの情報提供を開始した。情報提供機関の必須条件である情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC27001/JIS Q 27001」の認証についても、令和7年度の更新審査・適用範囲変更審査を受け、適合が認められている。

リコール情報・流通統計の提供

軽自動車のリコール情報を使用者に通知するために必要となる軽自動車検査情報1192万件を、情報利用者である軽四輪メーカー各社へ提供。検査対象外軽自動車届出情報(軽二輪)50.4万件も軽二輪メーカー各社へ提供した。また「市区町村別軽自動車車両数」の冊子を作成し、関係省庁・関連団体に提供するなど、統計情報の整備・提供も継続している。

不正改造車排除運動・整備人材育成への協力

不正改造車を排除する運動や自動車点検整備推進運動に参画し、ポスター掲示・チラシ配布を全国で展開。自動車整備人材が不足する中、「自動車整備人材確保・育成推進協議会」に幹事団体として参画し、ジャパンモビリティショー2025への出展(小学生等の若年層を対象にした自動車整備士の体験コーナー等)や、整備士のPRポスター印刷・発送などにも協力した。整備業界の人材確保は全軽自協としても継続課題と位置づけられている。

自動車公正取引協議会との連携

自動車公正取引協議会の各委員会等に出席し、公正な取引推進に協力。令和5年10月の公正競争改正規約の施行による中古車の販売価格の支払総額表示を定着させるための普及活動にも協力した。中古車を扱う事業者にとって、支払総額表示の徹底は引き続き重要なポイントである。

軽自動車税の徴税関連業務・税止め代行

事務所窓口において、都道府県および市区町村から軽自動車税(環境性能割・種別割)申告書の受付業務を受託。平成25年4月から全国展開している「軽自動車税納付情報提供サービス」は、令和8年3月末時点で2県86市区町村に提供されている。また各事務所では、転入車両にかかる転出市町村に対する軽自動車税申告の代行業務(税止め代行)も行っている。

令和8年度の方針 最重点・重点施策で整備・流通現場を下支え

令和8年度の事業計画では、最重点施策として「軽自動車制度・関係税制の維持」「全軽自協の組織体制の強化」「情報提供事業収入を確実に維持するための取り組みの推進」「軽自動車OSS対象範囲拡大への適切な準備・対応」「流通改善対策の推進」を掲げた。

重点施策には「事務所における軽自動車検査申請等代行事業の取り組みと拡大推進」「軽自動車届出手続き等のデジタル化及びキャッシュレス化への適切な準備・対応」「流通確認業務サービスの確実な実施・普及拡大」などが並ぶ。令和7年度に本格稼働した流通確認業務サービスとOSS拡大を軸に、デジタル化対応を一段と進める方針が鮮明だ。

軽自動車は、地方の生活の足、中小企業・農林漁業・小規模商工業の仕事の道具として、毛細血管のように地域の経済活動を支えている。ユーザーの約4割は女性、約4割は60歳以上であり、買物・送迎・運搬に加え通院にも利用される。都市部では配送・営業活動を支え、地方では移動手段として不可欠な存在だ。こうした軽自動車を扱う整備事業者・部品商・卸売業者にとって、流通確認のスキーム変更、OSS拡大、車検システムの刷新、税制の動向は、いずれも日々の業務に直結する。総会で示された方針と各施策の進捗を、引き続き注視していきたい。

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