故障診断整備のススメ

数値化の重要性と測定作業

故障の原因探求には必ず勘が必要
勘とは理論に基づいた想像力のこと 

勘という言葉があります。誰でも想像で考えること(ここかな? これが怪しいな?)を行っていると思います。これに理論的な裏付けを行うとなると、そのシステム全体を理解して数値で判断する必要があります。つまり、装置(センサー・アクチュエーター)の作動や配線回路を数値で表す作業「計測作業」であり、この作業なくして電子装置の判断は出来ないということです。簡単に言えば、テスターを使わずに電子装置の診断は有りえないし、数値は絶対に裏切らないということです。

■ 測定について考える

自動車の測定作業で代表的なものは以前も書きましたが、電圧、電流、抵抗です。測定するテスターはサーキットテスターです。サーキットテスターにはデジタルとアナログの2種類がありますが、今回はどちらでも良いので、自分の持っているテスターで考えて頂ければと思います。

電圧(V)ですが、クルマは直流DC12Vが基本であり、代表的なパーツのバッテリーの基準電圧は満充電で12.6Vです。しかし、電圧だけでは容量までは分からないので、バッテリーテスターが必要になってきます。

次にセンサーですが、現在のクルマには様々なセンサーが付いています。このセンサーに対するECUからの供給電圧、これが基準を満たしていなければ、センサーは正確に動きません。また、センサーからECUに送られる信号電圧(もしくは電流)の測定も必要です。

次にアクチュエーターですが、アクチュエーターはECUからの作動電圧で動きます。これらの電圧を測定して判断するのです。いずれも個々に基準値があり、測定結果と比較して最終的な判断を下すのです。

次は電流(A)ですが、修理作業で代表的なものは暗電流でしょう。クルマに乗っていない状態で消費される電気の量であり、一般的な状態であれば20mA~ 50mA程度が基準です。これらを超えるとバッテリー上がりの原因になるので注意が必要です。最近多いのはOBD端子に後付するアクセサリー、社外のセキュリティーをつけると75mA程度になります。測定方法は電圧、抵抗と違い、テスターを回路に直列に繋いで測定します。これ以外に大電流を商品するスターターモーターやフューエルポンプモーターがあります。スターターモーターの放電電流は75A ~ 200A以上と大きい為、サーキットテスターでは測定出来ません。そのためにケーブルを挟んで測定するクランプメーターが必要になります。

最後に抵抗ですが、代表的なものは水温吸気温等の温度センサーでしょう。
これも基準値と比較しての判断になりますが、注意したいのは、抵抗は温度によって変わるということです。基本的に温度が上がると抵抗率も大きくなるので、測定条件には注意してください。今年は積極的に測定作業に取り組み数値で判断するようにしてください。

監 修:ボッシュ株式会社 長土居大介

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