今さら聞けないO2 センサーの話 vol.1

三元触媒コンバーター

自動車整備故障診断整備のススメ

せいび界2014年2月号

今さら聞けないO2 センサーの話 vol.1

エンジンチェックランプが点灯した際に、一番多い故障事例がO₂センサーに関するものだろう。
聞いた話によると、部品商1 社当たりでは、少なくとも月間10 本から20 本は売れているという。
ということで、今回は、今さら聞けないO₂センサーの基本的な事柄や故障診断に関連する話を紹介する。

O₂センサーの役割

O₂センサーが壊れた時に、スキャンツールで診断をすると、「P0030 /P0031」という故障コードがよく検出される。この故障コードは、O₂センサーヒーター故障によって検出されるものがほとんどである。
たいていのメカニックは、この故障コードが出ると、O₂センサーを交換していることだろう。
だが、ここで一つ考えて欲しいのは、そもそも「O₂センサーヒーター」とはどういったものなのかということである。
O₂センサーヒーターは、その名前の通りに、O₂センサーを暖機するための装置である。

では、なぜO₂センサーを温めなければならないのだろうか。これを知るためには、そもそも「O₂センサー」そのものが何をしているものなのかを知らなければ、答えは出てこない。
O₂センサーは、一言でいうと、エンジンの空燃比を理想的な値にコントロールするのに重要なセンサーである。その取り付け位置からも分かる通り、排気ガス中の残留酸素濃度を検出し、その検出結果を電気信号としてECU に送信している。ECU はその結果を元に、理論空燃比14.7:1 にするために、燃料の濃さを調節している。言うまでもないことだが、理論空燃比とは、ガソリンと空気の理想的な混合比率である。この割合は、理想的な燃焼を行うためだけでく、一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)を浄化させるために最も効率のよい比率でもある。

O₂センサーを暖機する理由

混合機を理論空燃比14.7:1 にコントロールするのに重要なセンサーであるO₂センサーだが、大半のO₂センサーに使われているジルコニアという素材は、600℃以上の温度でないと活性化されない。
ということは、寒冷時の朝、冷え込む時間帯などにエンジンをかけると、当然エンジン自体も冷えているため、排気ガスの温度も低い状態になる。この場合、O₂センサーは低い温度のため活性化されず、正確な信号を送ることが出来ないのだ。
つまり、エンジンをかけた瞬間から正確な信号をECU に送るため、O₂センサーを温める必要があるのだ。
さらに言えば、もし上手く温めることが出来ないと、エンジンをかけた瞬間の排気ガスはガソリンが濃くなるので、排気ガスを浄化する触媒に大きなダメージを与えてしまうことになる。
結果的に、触媒の劣化が早まり、故障に繋がる。そして、交換することになるのだが、触媒は高額なため、ユーザーにとっては手痛い出費となる。

上記のような結果を、防ぐためにO₂センサーにはヒーターが付いているのである。

万能ではないスキャンツール

さて冒頭でも述べた故障コード「P0030 / P0031」の話に戻るが、この故障コードはO₂センサヒーターの故障により検出されるものなのだが、実は、ヒーターが壊れていても、O₂センサー自体は問題なく、ECU に信号を送っている場合があるのだ。
エンジンをかけた瞬間は、O₂センサーが温まっておらず、正確な信号を送れない。しかし、エンジンを回続ければ、自然と温度は上昇し、排気ガスは最高で800℃まで上昇する。

ある程度(600℃)暖まれば、O₂センサーは正常な信号を送ることが出来るようになるのだ。
もし逆に、ヒーターは問題なく動作しているが、センサーが故障している場合はどうなるのか。
J-OBD2 を搭載する以前のクルマ(2005 年位までの車両で2 ステップタイプのO₂センサー装備車)の場合、ECU がO₂センサーの信号を検知できないため、エンジンチェックランプは点灯しない。また故障コードも検出されないのである。

エンジンチェックランプが点灯していない上に、スキャンツールを繋げても故障コードが出ないため、メカニックは故障していると考えず、故障を見逃してしまうことになる。
しかし、実際にはO₂センサーが故障しているため、空燃比は理想値からズレてしまう。この時の排気ガスをテスターで計測すれば、排気ガス中のCO やHC は高い数値を示すだろう。これはスキャンツールが万能でないという、一つの例である。O₂ンサーやヒーターの役割と機能、燃比制御方法をしっかりと頭に入ことで、初めてスキャンツールの性がより発揮されるのだ。

こうした知識が頭に入っていれば、今後、O₂センサーに関連する故障診断をしていく上で、メカニックは効率的に故障原因の探求が出来るようにもなる。
この事例を通じて言いたいことは、O₂センサーとは、ヒーター回路を含めて、何をしている部品なのかを知てほしいということである。
O₂センサーが何者か分かれば、客さまにも分かりやすく案内するができ、より信頼されるメカニックとして、集客にも貢献できるはずだ。
スキャンツールを持っているのであれば、故障コードの読み出しだけではなくO₂センサーの出力波形を確認るクセをつけて欲しい。

今さら聞けないO2センサーの話vol.2へ

今さら聞けないO2センサーの話vol.3へ

 

スキャンツール記事一覧はこちら >