年末調整、サラリーマンの節税とは?

税務

自動車整備士・整備工場経営の税務質問箱

せいび界2011年12月号掲載

Q.年末調整のシーズンが近づいています。会社に扶養家族のことを書いた紙や保険のハガキを提出したのですが、書き方によっては還付金が多くなったりするのですか?そもそも、サラリーマンに節税は可能なのでしょうか?

A.給与の支払者は、毎月(日)の給与の支払の際に所定の「源泉徴収税額表」によって所得税の源泉徴収をすることになっていますが、その源泉徴収をした税額の1年間の合計額は、給与の支払を受ける人の年間の給与総額について納めなければならない税額(年税額)と一致しないのが通常です。

この一致しない理由は、その人によって異なりますが、

  1. 源泉徴収税額表は、年間を通して毎月の給与の額に変動がないものとして作られているが、実際は年の中途で給与の額に変動があること
  2. 年の中途で控除対象扶養親族の数などに異動があっても、その異動後の支払分から修正するだけで、遡って各月の源泉徴収税額を修正することとされていないこと
  3. 配偶者特別控除や生命保険料、地震保険料の控除などは、年末調整の際に控除することとされていること

このような不一致を精算するため、1年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足額を求め、その差額を徴収又は還付し精算することが必要となります。この精算の手続を「年末調整」と呼んでいます。

年末調整すると還付になることが多いので、これを楽しみにしているサラリーマンも少なくありません。会社は、その1年間の給与台帳と当人から提出された「扶養控除等申告書」と「保険料控除申告書」を元に年末調整しますので、還付額を増やしたければその2つの提出書類の書き方を工夫する必要があります。

1.年末調整で還付額を増やすチェックポイント

まず、サラリーマンの所得税の計算方法ですが、大雑把にいえば、給与総額(いろいろ天引きされる前の金額)から所得控除額を控除して、残った所得に税率を掛けて計算します。

所得税額=(給与総額-所得控除額)×税率

当然ながら給与の総額は変えることができませんし、税率は所得控除後の金額に応じて決まっていますから、これも変えることはできません。つまり、今回説明する年末調整で還付額を増やすポイントとは、所得控除額をいかに増やすかということになります。

所得控除は大きく、①給与所得控除、②扶養控除、③保険料控除の3つに分けられます。このうち給与所得控除は、給与総額に応じて計算式が決まっているので変えることはできません。ですので、所得控除の中でも特に②扶養控除と③保険料控除を増やすことができれば所得税額を減らすことができる訳です。

まずは、扶養控除のチェックポイントです。

・子供以外にも扶養親族がいないか(配偶者や子供だけを考えがちですが、生計を一にしていて収入が少ない親族であれば扶養になる可能性があります)?

・寡婦控除を受けられませんか(バツイチで子持ちの場合はもちろん、バツイチで子供がいなくても親を扶養していれば寡婦控除を受けられます)?

・誰の扶養にするか検討しましたか(共働きの場合、扶養家族をどちらの扶養にするかは自由です。扶養の人数によっては控除しきれずに無駄になってしまうことがありますので、誰の扶養に入れるか最適な組み合わせを考える必要があります)?

次に、保険料控除のチェックポイントです。保険料控除には、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除の3種類があります。

・年の途中で就職した人は、国民年金や国民健康保険・任意継続の健康保険の記入をしましたか(年の途中で就職した場合、前の会社を辞めて今の会社に就職するまでの間、国民年金や国保・任意継続の健康保険を支払っているはずです。これらは社会保険料控除として全額控除されますので、なんとしても控除に入れたいところ。領収書をなくしていても再発行してもらえます)?

・生命保険の入り方を工夫していますか(生命保険料控除額の計算では、「一般の生命保険」と「個人年金保険」の2種類に分けてそれぞれに5万円の控除枠があります。たくさん保険に入っていても「一般」ばかりでは5万円までしか控除になりませんが、「個人年金」も組み合わせて入ると最大10万円まで控除になります)?

2.サラリーマンの節税

サラリーマンの節税は、以上のような年末調整時に還付額を増やすというのがメインになりますが、他の方法をご紹介します。

  1. 自分の借りている部屋を社宅にする

これはアパートや賃貸マンションを借りている場合に使える方法です。

今住んでいる部屋を会社契約にしてもらい、社宅扱いにするのです。この場合、全額会社負担ですと給与とみなされてしまいますが、半額以上本人が負担すれば給与とはみなされません。

例えば、現在月給30万円で6万円のアパートに住んでいる場合、そのアパートを社宅にし、給与を27万円に下げて3万円を本人負担とすると、会社負担額も増えませんし、本人は給与が下がった分所得税と社会保険料が下がり、手取りは増えることになります。

非常にいい方法ですが、会社契約に変更してもらうため、会社と大家さんに説明して理解を得る必要がありますし、途中で退職したらどうするかなど考えておく必要もあります。

2.副業をする

何かの副業(事業所得になります)をして、赤字になるようにします。確定申告をすると給与所得と損益通算できますので、所得税が戻ってくることになります。

副業というと難しそうですが、これだけネットが普及した時代ですからアフィリエイト(楽天市場などに登録し、ホームページなどで楽天市場などで取り扱っている商品を紹介し、誰かがそのホームページ経由で買ってくれたら手数料が入るといった仕組み)やせどり(ある商品をリサイクルショップや古本屋などで仕入れ、ネットオークションなどで転売して差益を得るもの)など、簡単に始めることができます。こうすることで、自宅で使っていた様々な費用、例えばインターネットにかかる通信費や光熱費の一部を「経費」にすることができるようになります。また、そもそも赤字にして所得税の還付を受けることが目的なので、必死に売上を稼ぐ必要もないわけです(もちろん、きちんと稼いでもいいですが)。

ただ、副業を禁止している会社もありますので、本来は会社にきちんと説明して理解を得ておく必要があるでしょう。副業していることが会社に発覚するのは、市町村から住民税の通知が来るときです。確定申告書には事業所得について、特別徴収にするか普通徴収にするかチェックを付ける欄があります。普通徴収にチェックを付けると、事業所得の分だけの納付書が自宅に届き、その納付書で納付することになり、会社に発覚することはありません。一応参考までに。

 

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