税務

役員借入金の利息について

経営サポーター活用術

Q、 弊社では会長から役員借入金(1,000 万円)があります。役員借入金に対して会社から金利を払
うことにしました。金利の妥当性を税理士と弁護士に確認したところ、次のような回答がありまし
た。どちらが正しいのでしょうか?

税理士事務所:「最大でも法定金利の15%以内に収めないといけない」
弁護士事務所:「最大でも5%までしか設定できない」

A、

当事者間の契約または慣習によって定められる利率を約定利率といい、法律上利息を付すものとされている場合や契約において利息を付す旨が定められているにもかかわらず利率の定めがない場合には、法律に定める法定利率によることになります。

約定利率であっても当然無制限には課すことできず、以下の利息制限法の規定によることになります。すなわち、元本が10 万円未満の場合は年20%、10 万円以上100 万円未満の場合は年18%、100 万円以上の場合は年15% の利息(いずれも年利)が上限です 。かたや当事者間に特に利息の約定がない場合は、民事上の利率として年5%が規定されています。

よって、税理士事務所は「利息をとるなら最大でも15%以内」といい、弁護士事務所は「利息については何も定めがないけれど請求するなら5%」という意味合いなので、そのいずれもが正しいことになります。ただし、利息制限法の上限いっぱいの金利をとるというのはそれだけの金利を取る妥当性も求められます。15%の上限まで金利を取る時には事前に税理士に確認をした上で、契約書等を交わすことをお薦めします。

なお役員が会社にお金を貸す場合は利息を徴収しなくても問題はありません。事業の運転資金として銀行から借りると利息がかかるため、役員から借りるという企業もあります。

一方で会社からお金を借りる場合は必ず利息を徴収する必要がありますので注意が必要です。

資金調達の方法は銀行や役員からお金を借りる以外にも様々な方法があります。最近では、取締役会の議決だけで発行できる少人数私募債が注目を集めています。募集の対象者は経営者個人、経営者の親族、知人、社員、取引先などの縁故者になるのですが、償還期限や利息を自由に設定でき、保証料も不要です。選択肢の一つとして考えてもよいかもしれません。

原田 博実(はらだ ひろみ)
MBA 経営学修士/関西学院大学大学院 経営戦略研究科 修了
関西学院大学特定プロジェクトビジネスマイニングセンター
客員研究員(2007 年~ 2011 年)
主な著書 「スバルだより」(富士重工/ 2011 年より連載)
「整備戦略 経営特集号」(日刊自動車新聞社)
「財務諸表” 寝かせ読み” 速読法」(アスキー新書/ 2010 年)
「“クルマ屋” 経営塾」(日刊自動車新聞社/ 2011 年)

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