雇用を増やした企業が減税を受けられる?

税務

自動車整備士・整備工場経営の税務質問箱

せいび界2011年9月号掲載

Q.平成23年度の税制改正で、雇用を増やした企業が減税を受けられるようになったと聞いたのですが、どんな制度ですか?

それを受けるために、具体的には何をすればよいのですか?

A.平成23年度税制改正については、これまでもいくつかご紹介してきましたが、国会の混乱で、成立したもの、成立はしたものの開始時期が遅くなったもの、成立の見込みが立っていないものなど様々です。今回ご紹介する雇用促進税制は、4月にさかのぼって適用になるため、平成23年度税制改正法案の中では数少ない予定通り実施されるものと言えます。

厚生労働省のホームページでは、今回の雇用促進税制について次のように説明されています。

「税制改正法が6月30日に公布され、雇用を増やす企業を減税するなど税制上の優遇制度(雇用促進税制)が創設・拡充されました。是非ご活用下さい!
1年間で10%以上かつ5人以上(中小企業は2人以上)従業員を増やす等の要件を
満たした事業主に対する税制優遇制度が創設されました。
従業員の増加1人当たり20万円の税額控除が受けられます。
この優遇措置を受けるために必要な「雇用促進計画」の受付は、8月1日からハローワークにおいて開始します。
※ 平成23年4月1日から8月31日までの間に事業年度を開始する事業主の場合は、10月31日までに届ければ良いことになっています。
9月1日以降に事業年度を開始する事業主の場合は、事業年度開始後2か月以内に雇用促進計画の提出を行ってください。」
対象企業も少なくないようで、企業によってはかなりの節税になりそうです。次の項目でもう少し詳しく説明します。

1.税制優遇制度の概要

今回の雇用促進税制は、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの期間内に始まる事業年度内において、
① 雇用者増加数5人以上(中小企業は2人以上)
② 雇用増加割合(増加した人数÷増加前の人数)10%以上
の両方の要件を満たす企業は、雇用増加数1人当たり20万円の税額控除が受けられます。
ただし、当期の法人税額の10%(中小企業は20%)が限度になります。
これは、税額控除であって補助金とか助成金ではないので、もともと赤字で法人税がない企業にはメリットがありませんし、1人当たり20万円といっても法人税額に対する限度があるので、中小企業であればもともと200万円以上の法人税額が発生していなければ満額の税額控除を受けることはできません。
(200万円×20%=40万円 … 2人分)

逆に、もともとある程度利益が出ていて、さらに人を増やして拡大していきたいという企業にとっては非常にメリットのある税制と言えます。
ちなみに、個人事業主の場合は、平成24年1月1日から平成26年12月31日の期間に適用になります。

2.対象となる企業・事業主の要件

今回の雇用促進税制の税額控除の対象となる企業や事業主の要件は、次のようなものです。
① 青色申告書を提出する事業者であること
② 適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと
③ 適用年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を5人以上(中小企業の場合は2人以上)、かつ、10%以上増加させていること
④ 適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額(前事業年度の給与等の支給額+前事業年度の給与等の支給額×雇用増加割合×30%)以上であること … 前年度の平均給与の30%以上の給与を新しく雇用した人に支給している、といったイメージです
⑤ 風俗営業等を営む事業主ではないこと

要件は、雇用者の数を増やす以外はそれほど厳しくないように思います。ただ、②⑤などは、一発で要件から外れてしまいますが。

3.税額控除を受けるための手続き

まず、事業年度開始後2カ月以内に、目標の雇用増加数などを記載した「雇用促進計画」を作成し、ハローワークに提出することが必要です。
ただし、3月~5月決算の法人等はもう2カ月以上経過してしまっていますので、経過措置として、平成23年4月1日から8月31日までの間に事業年度を開始する事業者は、10月31日までに提出すればいいことになっています。
その年度終了後、税務署に申告する前に、ハローワークで雇用促進計画の達成状況の確認をもらいます。これには2週間から1カ月程度の期間が必要らしく、会計事務所としては結構つらいところです。最低でもそれくらい余裕をもって決算業務を終了させなければならない訳ですから。それはともかく、あとはハローワークで確認を受けた雇用促進計画書の写しを添付して税務署に申告をするだけです。
「雇用促進計画書」は、以下のような様式です。

事業所の名称 事業所の所在地 雇用保険適用事業所番号 労働者の数(計画開始時) うち雇用保険一般被保険者数(計画開始時) 労働者の目標増加数 うち雇用保険一般被保険者目標増加数

 

募集・採用時期 職種・労働条件 公共職業安定所への求人提出希望 担当者名 電話番号

 

記載する項目はそれほど多くありませんし、結果的に税額控除の対象になる・ならないはともかく、とりあえず出しておいても損はないと思います。

また、税額控除を満額受けられなくても、紙一枚出しておくだけで数万円でも控除を受けられるかもしれないわけで、やってみない手はありません。いずれにしても会計事務所の協力が不可欠ですので、一度ご相談されてはいかがでしょうか。

NBC税理士法人

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