自動車リサイクル日産スキーム

日産協定を徹底解剖 自動車リサイクル戦略 前編

絶大な権力を握っている購買部が司令塔か?

ジャーナリストから見ると購買部とは、あまり顔の見えない部署。大学の後輩で外資系化学会社の購買部に長年いる人物に一般的に購買部の企業における立ち位置などを聞いてみると、筆者が考えている以上に企業の中では絶大な権力を握っている存在だ、という。

彼によると、断定こそできないが、コストカッターの異名を持つカルロス・ゴーンが有利子負債を削るべく、製品を作り出す上で、傘下にあるサプライヤー(部品メーカー)に仕入れ金のダウンを要求し実行に移したのもすべて購買部だったのではないかという。企業によっては、ロジスティクス(運送関連)はむろんのこと、旅費や下請け費用も購買部が担当しているのである。

・・・それにしても、日産の自動車解体業者に対する眼差しには独特のものがあるのでは? 今回の取材を進めるうちに、ふと19年前の出来事を思い出した。

詳細

『「指定製造物品」の詳細。単位はkg/台』

荷姿

『指定物品の要求品質と荷姿を明示。たとえば内装の樹脂部品に付着しているスポンジなどの異物を取り除くとか、ワイヤーハーネスを部位別に4タイプに分類するとか。』

 

日産が今の横浜ではなく、銀座に本社があった頃だ。当時、自動車専門誌の編集部員だった筆者は、手慰み的に書いた“ハウツー本”がバカ売れしてしまい、それがフリージャーナリストとしての道を開いてくれたのだが、その本とは自動車解体部品をテーマにした『解体ショップとことん活用術』である。この本は、リサイクルパーツを学者先生風に分析するのではなく、あくまでも一人の自動車ユーザーの立場で、紹介し、文字通り活用法を分かりやすく愚直に解きほぐしたものだった。かっこよくいえば≪廃油の香りがするページ作り≫を心がけた本だった。

ちょうどバブルの崩壊で世の中が節約ムードになりかけたタイミングもあり、市場に受け入れられたのである。フリーとなった筆者は、広い意味での営業活動をするべく、まず主だった自動車メーカーの広報部に挨拶に出かけた。日産の名物広報マンであるM氏が現れた。そこで、この『解体ショップとことん活用術』を差し上げた。以後お見知りおきください、の意味を込めてである。

ところが、この広報マン、この本を見るなり顔色が青ざめ、筆者に奇妙なコトを語気強く言い放った。「広田さん、あんた大変な世界に足を踏み入れましたね。S県のうちの部長(だったか?)がこれで大変な目に遭ったんですよ・・・」とのことだった。詳細は分からないが、地元の自動車解体業者と何らかの摩擦が起き日産マンが一人窮地に立たされたという意味のようだ。だから、くだんの広報マン氏も私の将来を心配してアドバイスしてくれたのだ。

それはそれでありがたいのだが、その時筆者は、逆にジャーナリストとして新たな意欲が湧いてきた。特に根拠こそないが、課題のある分野というのはジャーナリストとして新しい地平であるからだ。単に直感だけど。他の自動車メーカーの方からは特別こうした反応がなかっただけに、20年近く経った今も強烈に名物広報マンM氏の反応が記憶に残っている。ちなみに、気が付けば、19年間で、自動車リサイクルに関する単行本とMOOKを10冊も書いてしまった。だから今回の日産スキームは≪他人事(ひとごと)≫ではなかったのである。

いわば面従腹背!? スキームを実行するD商店

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