自動車リサイクル日産スキーム

日産協定を徹底解剖 自動車リサイクル戦略 前編

勇気を奮い立たせてスキーム導入を断ったC社の社長

少し分かりかけてきた・・・その足で、今度は神奈川県東部に向かった。

ここにもやはり日産スキームを検討したものの断った自動車解体業者がいると分かったからだ。その社長も名称が出るのを嫌い、立ち話だけという約束で話を聞くことができた。C社の社長は舌鋒鋭い。

「1台分解してわずか8,000円という値段もあるけど、引き取りで往復1時間として、作業で約3時間。日産スキームでは、本来タイヤとホイールを別々にしなくてはいけないところだけど、うちなんかタイヤチェンジャーを持っていないので、そうなると、その分逆に日産にお金を出さないといけない。考えてもごらんよ、3~4時間仕事してわずか8,000円。となると時給2,000円にしかならない。その作業の中には、ワイヤーハーネスの取り外しも含むんだけど、クルマにより違うが大体1台のクルマからせいぜい10kgほどしか取り出せないよ。そのためにはインパネ、トリム、サイドシルなど剥がさなければいけない。慣れていないので大変な作業ですよ。しかも剥がした樹脂部品の裏側に付着しているフェルトやスポンジといった異物を除去しなければいけないとなると・・・」

C社の社長はさらに続ける・・・「しかも8,000円の手間賃というのは、当然必要となるトラックの燃料代、電気代、ヤードの管理費をその中からまかなわなければいけない。ただ、エアバッグとフロンの処理をすれば台当たり3,000円弱にはなるとはいえだよ、とにかく本気で、こんな割に合わない仕事はできないよ。でも、断れば日産のディーラーからクルマが入庫しなくなる恐れがあるので、断る時には勇気がいりましたよ。断ったとき、ずいぶんプレッシャーがかかってきましたね。その担当者からは、『取り引きしている販社に電話をかけてお宅の入庫を留めさせますよ・・・』とドーカツまがいのことも言われましたよ。日産としてはこのスキームで1台あたり4~5万円の利益が上がっているんじゃないかな、私はそう見ていますね」

かなりの上から目線で、日産はコトを運ぼうとしているのだろうか。

「この問題が起きた頃から、神奈川県自動車リサイクル事業協同組合(加盟数90社弱)では、何度も話し合いをしてきたんですが、結局、今のところまとまりなく終わっていますよ。私が知る限り現在5社前後がこのスキームを進めているようだけど、今、入庫台数が少なく、仕事が少なくなっているから付き合いというか日産ブランドのクルマが、永遠に入庫しなくなるのではないかという恐怖心でやっているんじゃないだろうか。

本音はそんなところだね。それにしても日産のスキームは、やればやるほど赤字に限りなく近くなる。机の上で考えたスキームというか、現場をまるで知らない頭のいい人が考え出したもの。契約書も100%あちらに都合よくできているし、しかも複雑に作ってある。責任は日産にはないという印象だね」

C社の社長によると、もともと神奈川県下の日産系の自動車解体業者は、横のつながりが薄く弱い立場だったという。ここをうまく突かれたという印象を持っているようだ。

調べていくうちに、このスキームの出元というか、発信元は、厚木にある日産の購買部と判明した。辞書を見ると、購買というのは、≪企業が企業活動に必要なものを外部から購入することで、原材料や部品、商品などの仕入れだけでなく生産設備、備品、サービス委託、あるいは配送などの業務も含まれる≫とある。

指定製造物品

『約10品目の「指定製造物品」と原単位。乗用車を軽自動車、1500cc未満、1500~2000cc未満、2000cc以上の4ブロックに分け、素材の現単位重量を明示している。「解体物品重量で契約するため、他車の物品で補填し、重量を合せてもいいこと」になっている。』

絶大な権力を握っている購買部が司令塔か?

AD
 data-src=有償運送許可研修を毎月開催" width="650" height="178" >

有償運送許可研修を毎月開催

せいび広報社では毎月、事故車故障車等の排除業務に係る有償運送許可の研修会を実施しています。会員限定ではなく、全国どの地域からも、法人・個人事業主でもどなたでもご参加いただけます。研修の受講者は、会社の代表者・経営者に限らず、従業員の方でしたらどなたでも、会社を代表して受講していただくことが可能です。

CTR IMG