一般社団法人日本自動車販売協会連合会(自販連)が2026年6月10日に発表した2026年5月の中古車登録台数(新規・移転・変更の3業務合算)は、合計273,495台となり、前年同月(288,282台)比5.1%の減少と3か月ぶりに前年水準を下回った。前月(300,690台)比でも9.0%の減少。5月としては中古車統計49年間で下から2番目の低水準にとどまり、なかでも小型乗用車は87,456台と5月として統計開始以来の過去最低を更新した。中古車流通の縮小は、整備業界にとって保有ユーザーの入れ替わり=新規顧客接点の減少を意味するだけに、看過できない数字だ。
【用語解説】中古車登録台数の「3業務」とは
新規登録……一時抹消(ナンバー返納)状態のクルマに再びナンバーを付ける手続き。オークション等で仕入れた抹消済み在庫車の販売などが該当する。
移転登録……ナンバーが付いたまま所有者が変わる手続き。いわゆる「名義変更」で、中古車売買の最も一般的な形。3業務中最大のボリュームを占め、中古車の実際の商流を最もよく映す。
変更登録……所有者は変わらず、使用者の氏名・住所など登録事項が変わる手続き。ローン・リース車両の使用者変更や転居に伴う管轄変更など、売買を伴わないものも含む。
※3業務合算は「中古車の販売台数」そのものではない点に注意。1台が下取り→業者間移転→ユーザー販売と動けば複数回カウントされ得る、登録業務ベースの流通量指標である。
総合計は273,495台・5.1%減 5月として49年間で下から2番目
5月の総合計273,495台は、2026年2月以来3か月ぶりの前年割れ。5月単月としては、コロナ禍の2020年(246,117台)に次ぐ歴代2番目の低さで、直近20年で見ても同様の位置づけとなる。ピークだった1996年5月の476,998台と比べれば、市場規模はおよそ6割の水準まで縮んだ計算になる。
一方、1〜5月累計は1,526,844台(前年累計比99.0%)と、ほぼ前年並みの水準は維持している。5月の新車登録台数(大型特殊車・被牽引車等を含む216,401台)に対する新中比率は126.4%だった。
車種別登録台数(2026年5月)
| 車種 | 当月台数 | 前年同月 | 前年比 | 累計前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 普通乗用車 | 148,254台 | 156,135台 | 95.0% | 100.4% |
| 小型乗用車 | 87,456台 | 93,674台 | 93.4% | 95.5% |
| 乗用車計 | 235,710台 | 249,809台 | 94.4% | 98.5% |
| 普通貨物車 | 14,087台 | 14,173台 | 99.4% | 100.3% |
| 小型貨物車 | 16,223台 | 16,794台 | 96.6% | 103.2% |
| 貨物車計 | 30,310台 | 30,967台 | 97.9% | 101.9% |
| バス | 1,257台 | 1,054台 | 119.3% | 94.7% |
| その他(特殊車・特種車等) | 6,218台 | 6,452台 | 96.4% | 103.5% |
| 総合計 | 273,495台 | 288,282台 | 94.9% | 99.0% |
※出典:自販連「2026年5月度中古車登録台数」(2026年6月10日発表)。新規・移転・変更の3業務合算。
小型乗用車は8か月連続減で「5月として過去最低」を更新
今月の統計で最も象徴的なのが小型乗用車(5・7ナンバー)だ。87,456台(前年比6.6%減)は2025年10月から8か月連続の減少で、これまで5月の過去最低だった2020年(コロナ禍)の90,292台をも下回り、統計開始以来の5月最低記録を塗り替えた。1991年5月の321,043台というピークと比べれば、実に4分の1近い水準だ。
背景には、新車市場と同様に進む「3ナンバー化」がある。乗用車のSUVシフト・ボディ大型化により、中古車流通の主役も普通乗用車へ移行が続く。実際、普通乗用車は当月こそ5.0%減(148,254台)と6か月ぶりにマイナスへ転じたものの、1〜5月累計では前年比100.4%とプラスを維持しており、小型乗用車(累計95.5%)との明暗がはっきり分かれている。
一方、バスは1,257台(前年比19.3%増)と2025年10月以来7か月ぶりの2桁増。直近20年の5月では上から3番目の水準で、観光・送迎需要の回復を背景とした中古バス流通の活発さがうかがえる。
移転登録は6.5%減 輸出抹消は累計107.7%と高水準続く
業務種別では、中古車新規が81,080台(前年比3.3%減)、移転が173,577台(同6.5%減)、変更が18,838台(同0.5%増)。ボリュームの大きい移転登録の落ち込みが総合計を押し下げた。ただし累計では新規が102.3%と前年を上回っており、市場全体が一方的に冷え込んでいるわけではない。
注目は輸出抹消だ。5月は129,777台(前年比1.4%減)と4か月ぶりに減少したものの、1〜5月累計では721,592台・前年比107.7%と高い伸びを維持している。円安基調を背景とした中古車輸出の活況が、国内流通の「玉」を海外へ吸い上げる構図は依然として続いており、国内の中古車価格の高止まり要因となっている。なお、永久抹消は5,665台(前年比26.9%減)と大幅減で、使えるクルマは廃車にせず輸出・再流通へ回す流れが鮮明だ。
メーカー別ではトラック系が堅調 日野8.0%増・いすゞ4.0%増
メーカー別(新規・移転・変更合算)では、トヨタ119,226台(前年比94.3%)、輸入車41,754台(同95.4%)、日産30,361台(同93.8%)、ホンダ28,182台(同94.4%)と、乗用車系は軒並み前年割れ。マツダは88.9%と落ち込みが大きい。
対照的に、日野108.0%、いすゞ104.0%、三菱103.9%とトラック系・三菱が前年超え。物流需要を背景とした中古トラック流通の底堅さが数字に表れた。都道府県別では47都道府県中、前年を上回ったのは滋賀(103.4%)のみという全国的な減少だった。
整備業界が注目すべき3つのポイント
(1)中古車購入を起点とした新規顧客接点の減少
中古車の移転登録は、保有ユーザーの入れ替わり、すなわち整備工場にとっての新規顧客獲得チャンスと直結する。5月の移転6.5%減は、納車整備・購入後点検といった入庫機会の目減りを意味する。中古車販売を併営する工場では、仕入れ環境とあわせて商談動向の変化に注意したい。
(2)入庫車両の「3ナンバー化」への対応
小型乗用車の過去最低更新と普通乗用車の累計プラスは、整備工場に入庫する車両構成が着実に大型化していることを裏付ける。SUVを中心としたタイヤの大径化・車重増は、リフト能力、タイヤチェンジャー・バランサーの対応サイズ、部品在庫の見直しに直結するテーマだ。
(3)輸出活況による国内保有の長期化=経年車整備の需要増
輸出抹消が累計107.7%と高水準で推移する一方、永久抹消は累計82.8%と大幅減。国内では「手放さず長く乗る」傾向が一段と強まっており、平均車齢の上昇が続く。経年車特有の下回り・足回り整備、ゴム部品・補機類の交換需要は今後も拡大が見込まれ、点検時の提案整備が収益機会となる。
中古車登録の単月減少は新規顧客接点の面では逆風だが、保有の長期化・車両の大型化という構造変化は、いずれも1台あたりの整備需要を押し上げる方向に働く。統計の「減少」の中身を読み解き、自社の設備投資とメニュー設計に落とし込みたい。
出典:一般社団法人日本自動車販売協会連合会「2026年5月度中古車登録台数」「車種別コメント」(いずれも2026年6月10日発表)


