貸し倒れ損失の算入時期は?&税金の損金算入について

税務

自動車整備士・整備工場経営の税務質問箱

せいび界2012年9月号掲載

Q1 、貸し倒れ損失の算入時期は?

当社 (年1回3月決算) の取引先であるA社は、平成21年1月に破産手続終結の決定がさ れています。しかし、当社が有するA社宛売掛債権の残額(最後配当による弁済を受けた後のもの) 3,000万円については、平成21年3月期に貸倒れとして会計処理及び税務処理を行っていませんでした。

当社は、A社宛売掛債権の残額を平成22年3月期に貸倒損失として会計処理する予定ですが、 この貸倒損失は平成22年3月期の損金の額に算入されると考えてよいでしょうか。

A1、

平成22年3月期の損金の額に算入することができないため、平成21年3月期の申告につい て、確定申告書の提出期限から1年以内に更生の請求を行うべきであると考えられます。

破産法は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もっ て債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的としています。

破産手続は、債務者である破産者の財産を換価処分することによって、債務者に配当を行う手続です。

[破産手続きの流れ]

破産手続開始の申し立て→債務者財産の保全手続き→破産手続開始の決定→破産債権の届出→ 破産債権の確定→破産財団の換価→最後配当→破産手続終結の決定 ※破産財団 (破産者の財産等) をもって破産手続の費用をまかなうことができないと認められる

場合は、裁判所は、破産手続廃止の決定をし、破産手続を終了します。

破産者が個人である場合には、破産法が債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること を目的にしていることから、免責許可の決定の確定により、配当を除いた破産債権についてその責任を免れることとなります。破産者が法人である場合には、配当されなかった部分の債権を法的に消滅させる免責手続はなく、破産手続廃止の決定又は破産手続終結の決定がなされた時点で、破産法人は消滅することになります。

法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる事実が発生した日に属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入することとなります。

(1) 会社更生法の規定による更生計画認可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(2) 会社法の規定による特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額

① 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
②行政機関又は金融機関その他第三者の幹旋による当事者間の協議により締結された契約でその内容が①に準ずるもの

(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額

なお、法律上の貸倒れに該当する事実は、法的に金銭債権が消滅したかどうかにより判定するた め、損金経理の有無は問いません。

法律上の貸倒れに該当する事実には、会社更生法等の規定による更生計画認可の決定等の手続が 掲げられていますが、破産法の手続の場合は掲げられていません。

ただし、法人の破産手続においては、配当されなかった部分の破産債権を法的に消滅させる免責 手続はありませんが、破産手続廃止の決定又は破産手続終結の決定がなされた時点で破産法人は消 滅することとなり、破産法人に対して有する金銭債権も消滅することとなっています。よって、破 産手続廃止の決定又は破産手続終結の決定がなされた時点において貸倒れが発生したとすることが 相当であるとされます。

また、破産手続の終結前であっても破産管財人から配当金額がゼロであることの証明がある場合 や、その証明が受けられなかった場合であっても債務者の資産の換価処分が終了し、今後の回収が 見込まれないまま破産手続終結までに相当な期間がかかるときは、法人税法基本通達9-6-2の事実上の貸倒れにより貸倒損失として損金経理を行い、損金に算入することも認められます。

貴社の取引先であるA社は、平成21年1月に破産手続終結の決定がされていますので、その時点でA社宛売掛債権の貸倒れが発生したものとして平成21年3月期の損金の額に算入するベきこととなります。よって、平成22年3月期の申告において損金の額に算入することは認められず、平成21年3月期の申告について、確定申告から1年以内に更生の請求により、減額更生を求めることとなります。

参考として個人の破産手続においては、免責許可の決定の確定により、配当を除いた破産債権に ついてその責任を免れることとなるため、その免責許可の決定の確定時に破産債権が滅失したもの として貸倒損失を損金の額に算入することが認められると考えられます。

また、個人の破産者に対する債権の貸倒れについては、客観的、主観的事情を総合すれば、遅く とも破産手続の終結した時点において、債権の全額が回収できないことが明らかとなっていたとい うべきとした事例や、いわゆるサラ金債務者について破産宣告(現行の破産法における破産手続開 始の決定に相当) がなされたときは、既に債務過重で配分すべき財産もなく、破産宣告と同時に破 産手続廃止となるのが一般的といえるから、破産宣告があったことをもって貸倒れがあると認めるベきとした事例があります。

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