協力会社との契約書には収入印紙が必要?

2015年8月4日

自動車整備士・整備工場経営の税務質問箱

せいび界2011年10月号掲載

Q1.当社では、協力会社と「業務委託契約書」を結んでいるのですが、この契約書には収入印紙を貼る必要がありますか。あるとすれば、いくらの収入印紙を貼ることになりますか?

A.印紙税とは、印紙税法に規定される課税文書に課せられる自己申告式の国税です。その課税文書とは、主に2者以上の間で取り交わされる契約書や領収書です。納税義務者は文書の作成当事者となります。

印紙税の納税は、収入印紙を購入して、課税文書へ貼付け消印することなどで行います。
課税文書のうち領収書については、ほぼ金額だけで決まるためあまり問題になることはありませんが、契約書についてはよく問題になります。印紙税でいう契約書は一般的な契約書より範囲が広いため、この文書は「契約書」ではないので印紙を貼る必要はないと判断していたら、印紙税的には契約書に該当してしまい、印紙を貼っていないのが問題になることがありうるということです。

そもそもなぜ契約書や領収書を発行しただけで税金がかかるのか?については、そういう取引を行う者にはそれだけの税金を払うだけの資力がある(担税力といいます)ためと言われています。

1.課税文書に該当するかどうかの判断

印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の三つのすべてに当てはまる文書をいいます。
(1) 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

課税文書に該当するかどうかはその文書に記載されている内容に基づいて判断することとなりますが、当事者の約束や慣習により文書の名称や文言は種々の意味に用いられています。そのため、その文書の内容判断に当たっては、その名称、呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号等の実質的な意味を汲み取って行う必要があります。例えば、タイトルが「業務委託契約書」となっている場合、そのタイトルだけで判断することはできず、あくまで契約書毎に内容を検討して判断しなければならないのです。

2.「業務委託契約書」は課税文書?

上記の基準に則って、業務委託契約書が課税文書に該当するか検討してみます。
まず、「(1) 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。」に該当するか?です。この点につき、一般的な業務委託契約は、請負契約か委任契約のいずかに該当します。
請負契約である業務委託契約書は、課税物件表の第2号:請負に関する契約書(いわゆる「2号文書」)に該当する可能性があります。
委任契約である業務委託契約書については、長期間の契約書や基本契約書であれば、第7号:継続的取引の基本となる契約書(いわゆる「7号文書」)に該当する可能性があります。7号文書に該当するかどうかは、印紙税法施行令第26条各号のいずれかに該当するかどうかで判断されますが、その中に「委任契約書」という記載はありません。

このため、原則として、委任契約である業務委託契約書は、7号文書にも該当しませんので、印紙税が課税されず、収入印紙も貼る必要がありません。ただし、印紙税法施行令第26条には「代理店契約書、業務委託契約書その他名称のいかんを問わず、売買に関する業務、(途中省略)を継続して委託するため作成される契約書で、委託される業務又は事務の範囲又は対価の支払方法を定めるもの」(同第2号)のように、委任契約書の内容として記載されるような事項も規定されており、例えば売買に関する業務委託をする場合には注意が必要です。

まとめると、(1)の要件については、原則的に請負契約である業務委託契約は課税、委任契約である業務委託契約は非課税、ということになります。

次に、「(2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。」に該当するか?です。これはつまり、当事者のうち片方だけの意思ではなく、双方の合意のもとに契約したものかどうか、ということですね。そもそも契約とは、互いに対立する2個以上の意思表示の合致、すなわち一方の申込みと他方の承諾によって成立する法律行為ですから、契約書とは、その2個以上の意思表示の合致の事実を証明する目的で作成される文書をいうことになります。業務委託契約書は、当然これに該当し、(2)の要件は満たすことになります。

最後に、「(3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。」に該当するか?です。非課税文書の例としては「記載された金額が1万円未満」とか「契約期間が3か月以内で更新の定めのないもの」といったものがあります。業務委託契約書の場合、非課税文書になる可能性もありますが、一般的にはならないと考えてよいでしょう。つまり、(3)の要件は満たすことになります。

まとめると以下のようになります。

請負契約である業務委託契約書 … 印紙を貼らなければならない(契約金額に応じた金額)
委任契約である業務委託契約書 … 原則的に印紙を貼らなくてもよい(売買など委任内容によっては4,000円の印紙を貼る必要あり)

3.印紙税について注意すべき事項

① 注文書の書き方
自動車業界の場合、自動車を販売する際注文書を書くわけですが、車両だけでなくオプション品の販売についても記載されていることが少なくありません。その際の書き方ですが、例えば「HDDナビ」と記載すれば、それはただの販売なので印紙を貼る必要はありませんが、「HDDナビの取付」と記載すれば、請負に該当するので印紙を貼る必要があるとされています。細かい話ですが注意が必要です。

② 税務調査
印紙税については、通常の税務調査の際に見ることもありますし、印紙税のみの税務調査というものも存在します。後者については、印紙税を調査する税務署の人員も少なく、一人で広範囲を担当するため、税務署が印紙税の調査に来たとすれば正に「大当たり」(はずれ?)というべきでしょう。

調査の際には、租税公課のうち印紙の金額をピックアップし、領収書の控えと照合したり、作成している契約書又は契約書に準ずるものの内容を見て課税文書に該当するかどうかを検討します。

ちなみに、税務調査の際に印紙を貼るべき文書に貼っていないことが発覚すると本来の印紙税+2倍の過怠税の計3倍の金額を徴収されてしまいます。また、印紙のデザインは毎年変わると言われており、直前になって貼ってもそのことが分かってしまいます。課税文書にはきちんとそのとき貼りましょう。

また、課税文書に該当するかどうかは内容によって判断の難しい場合があります。そういう場合は、税理士や税務署に確認するようにしましょう。

NBC税理士法人

☎03-5225-0024

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