スキャンツールを使う

スキャンツールへの接し方

自動車整備故障診断整備のススメ

せいび界2014年8月号

それぞれの立場から考えるスキャンツールへの接し方

先月号ではスキャンツールを導入しないネガティブな部分に焦点を当てたが、今回はスキャンツールへの接し方について各社の考え方をまとめてみた。

まずメーカーサイド、そして販売サイド(部品商)、最後にユーザーサイド(整備工場)がスキャンツールには関係してくる。最後の整備工場サイドでは実際にメーカー、部品商が関わった整備工場の実体験を添えているので、是非参考にして欲しい。

メーカーサイドの話(ボッシュ)

「我々の会社ではパーツ&バイツサービスという仕組みを導入しております。
元々これはドイツの本国で整備工場のパーツ売上が下がった際に取られた手法で、車が整備できる状況すらも作り上げることを指します。車が直せる状況を作りながら同様に部品も売っていく形になります。ディーラーであればメーカーのスキャンツールがありますので、整備自体には問題はありません。

しかし一般の整備工場となると、スキャンツールが無い=整備ができないという、現在の日本に起きている状況と非常に酷似した状況が10年前のドイツでも起きていました。実際このパーツ&バイツを導入してからは部品売上の比率が平均的に戻りましたので、効果のほどは織り込み済みです。整備工場が(スキャンツールが無いから)車を直せなくなったので、整備工場支援を我々メーカー側が行っていこうと、日本でも取り入れるようになったのです。

メーカーと部品商がホットラインで繋がり、メーカーが直接整備工場や研修会などへ出向き、スキャンツールの使い方や整備の仕方などを教える、そして部品は弊社の商品を使ってもらう。
整備工場はうまくメーカーと部品商を使って自社を伸ばしていくことができるのです。まさにWIN-WIN と言えるのです。」

このようにスキャンツールメーカーとしては自社の商品を拡販していくと同時にスキャンツールの使い方を教えて整備工場支援をしていく姿勢を見せている。スキャンツールがなければ今後の整備シーンに対応できない現実を教えてくれるというわけだ。

部品商サイドの話①(北海道某部品商)

「いつも部品を販売し、お客さまから要望があればスキャンツールなどを用立てて販売していました。もちろん部品など消耗品も同様にお客さまへ販売していましたので、お客さまには毎日足を運んでいました。これはどの部品商でも同じことが言えるのではないかと思いますが、パーツ&バイツを導入してからは大きく変化がありました。

まず売った以上は勉強しようという当たり前ですが、中々出来ないことが出来るようになりました。知識もつけなくては販売出来ない、当たり前ですが今までと違ってパーツ&バイツのおかげでより深く突っ込んだ話を出来るようになったと思います。お客さまとの関係も我々より歩み寄るようになったので深くなりましたし、スキャンツールを販売するにしても事例などを見せて分かりやすく説明できるので、理解も早く納得して販売出来ます。」

部品商サイドの話②(某部品商)

「スキャンツールは扱っていますが、お客さまから要望があってもどれを勧めていいものかと毎回悩みます。メーカーの営業マンに同行説明をしてもらうのですが、使い方はもちろん機能や性能差を説明する方が多い気がします。スキャンツールを使って何が出来るかを説明もしますが、お客さまは今一つ納得してくれないので、何ともむずがゆいところです。」

両極端の二社の事例を出したが、スキャンツールへの関わり方を見てもその差は一目瞭然だ。全ての部品商がそうだとは言わないが、整備工場との接点の多い部品商こそが勉強していかなくてはいけない好事例と言える。積極的に取り組んでいる部品商と消極的に取り組んでいる部品商とではスキャンツール以外の販売量にも大きな差が出てくるのは言うまでもない。

ユーザーサイドの話(北海道整備工場)

「元々、使わなくてはやっていけないと思っていたが、パーツ&バイツの話が来た時は正直驚いた。何より教えてくれるというのがよかったし、今まで技術的に積み上げてきたものがスキャンツールが無いと無駄になってしまう事態を回避出来たのでとてもよかった。お客さまからも『お前の所行けば何でもやってくれるな』とありがたい言葉も聞けた。

車が好きで始めたこの仕事だったから、自動車整備が出来なくなるのは嫌だった。パソコンのクリックも知らなかった私でも使いこなせるようになるのは労力がかかったと思うかも知れないが、そこはしっかりサポートしてくれる営業がいてくれたお陰でとても助かった。その営業が転勤すると言った時はスキャンツールを返そうかと思ったよ(笑)」

北海道の豊和自動車の奥山社長は今年で68 歳になるが、「車が好きだ」という言葉に全てが詰まっているのではないかと思う。整備工場を経営している人で車を見るのも嫌だという人はそんなに多くはないだろう。どちらかと言えば車は好きな筈だ。そんな車が好きという単純な要因がスキャンツールの導入に踏み切った理由としても挙げられた。

もちろんパーツ&バイツがトリガーとなったのは言うまでもないが、自動車整備工場として一番大切なのはお客さまとの関係だと言える。完璧に整備をすることはとても重要だ。しかしその手段が無ければ関係すら作ることなくディーラーへ持って行かれてしまう。ディーラーでなくともスキャンツールを使って信頼関係を築いている工場へ流れてしまうだろう。

極端な話だがメーカーとは部品やスキャンツールを売りた部品商としては部品もスキャンツー売っていきたい、整備工場は車もながら整備もやって(わがままな客さま対応をしながら生き残ってなくてはならない。エンドユーザー快適に車に乗りたい。スキャンツはこの極端すぎるサイクルに欠かせい存在になっているのだ。

現実的に豊和自動車も北海道の部品商も今なお成長している。その底にあるのはお客さまのためだろしかしそれを可能にさせているのキャンツールであったと言ってもいいではないだろうか?スキャンツールがければ整備が出来ない、分かりやもよく聞く言葉である。パーツ&バで車に関わってくる会社が幸せになるのならば、これを使わない手はない。

最後になるが、豊和自動車と部品そしてスキャンツールメーカーの営業ンの三人それぞれがパーツ&バイツ対して消極的でなかったからこそのような素晴らしい事例があったとえる。メーカーも部品商も整備工場積極的にスキャンツールに関わるこ切に願う。

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