充電制御システム搭載車に取り組もう!

充電制御システム

自動車整備故障診断整備のススメ

せいび界2013年12 月号

充電制御システム搭載車に取り組もう!

近年発売されているエコカーなど大半のクルマには、充電制御システムが搭載されている。充電制御システムとは、無駄な充電をさせないようにしてエンジンの負担を軽減することで、省燃費を実現する仕組みのことである。今回は、この充電制御システムを搭載したクルマの故障診断について紹介する。

充電制御システムとは?

充電制御システムを搭載していない従来のクルマは、エンジンがかかっている間、オルタネーターが休みなく発電し充電を継続する仕組みだった。この仕組みでは、バッテリーが満充電になっても常に充電しようとする。しかし、余分な電気はバッテリーには蓄積されず、行き場を失った電気は無駄に捨てられていた。

また、常にオルタネーターが稼働し発電しているということは、エンジンに大きな負荷がかかっているということである。当然、大きな負荷がかかったままのエンジンでは、本来の性能を発揮することが出来ず、燃費も悪くなる。
そこで考えられたのが、充電制御システムである。バッテリーの充電量が満充電を100% とした時、60~ 80% 辺りの一定量まで充電されると、ECU からオルタネーターへと発電を停止する指示が出る。
発電が停止すると、バッテリーが充電から放電へと切り替わり、満充電になることがないので、余分な電気が生まれることもなくなる。さらに、発電も停止するということはエンジンにかかる負荷が軽減されるので、省燃費で走行でき、燃費も向上するという訳である。

また、バッテリーの充電量が60% 以下になれば、先ほどとは反対にECU がオルタネーターに発電の指示を出し、充電を再開することになる。
上記のように充電のON/OFF を繰り返すことで、燃費を向上させる仕組みが充電制御システムである。

充電制御車対応バッテリー

一方、このシステムによりバッテリーへの充電を制御することで、省燃費で走行することが可能になったものの、バッテリーにかかる負荷が大きくなっている。
最近のクルマには、ECU など電気を必要とする部品が多く搭載されているため、そもそもバッテリーにかかる負担は増大していた。その上、充電制御車では、充電制御システムによって充電のON/OFF を繰り返すため、汎用バッテリーでは耐えられない環境になっている。
他にも、過酷な環境によってバッテリーの寿命を縮め、性能が低下することで、周囲の部品にも影響や負荷を与える可能性もある。
そのため充電制御車には、短い時間で効率良く充電可能な高速充電性能の高い、ハイスペックなバッテリーが必要不可欠となる。
高性能な充電制御車用バッテリーは、汎用のバッテリーと比較して価格も高い。だからといって、充電制御車に対応していないバッテリーを安易に付けてしまうと、クルマ本来の性能が発揮できなくなってしまう。

充電制御車が入庫した際には、それに適したバッテリーが付いているかどうかのチェックが必要である。
もし、スタンダードなバッテリーを取り付けていた場合には、こちらから積極的に対応バッテリーを提案していくことも必要だ。
ここで重要なのが、充電制御車の見分け方である。充電制御車を外観から見分けることは難しいので、見分けるために知っておくべきことは3つある。

一つは「低排出ガス車」や「燃費基準○○% 達成車」などの青色や緑色のステッカーである。ステッカーが貼られていクルマは充電制御車の可能性が高い。
もう一つがセンサー、バッテリーの充電を制御するために必要な充電量を感知するセンサーである。バッテリーの端子付近にセンサーが取り付けられていれば、やはり充電制御車の可能性が高い。
他にも、「DBA」や「CBA」といった排ガス区分のクルマであれば充電制御車の可能性がある。

バッテリーやオルタネーターのチェックに最適なスキャンツール

こうした充電制御システムや対応バッテリーについて、知っているユーザーは少ない。だからこそ、整備士がユーザーに代わって、充電制御車かどうか見分けなければならないし、充電制御車についても説明しなければならない。また、充電制御車用バッテリーの劣化状態やオルタネーターの発電状態をチェックすることも必要になる。
通常、バッテリーテスターを用いて、オルタネーターの電圧の状態を見るが、その時にリップルなど波形をしっかりと確認することで、オルタネーターが正常に発電しているかどうか簡易チェックをしているはずだ。
しかし、充電制御車の場合、オルタネーターが充放電を繰り返すため、正確に測定することが出来ず、バッテリーテスターでは対応が難しい。

また、オルタネーターの発電量を計測する際には、常にオルタネーターが発電している状態で電流を見ることが望ましいのだが、電流の計測装置は高価なため、やはり電流の測定をすることは難しい。
そこで登場するのが、スキャンールだ。スキャンツールであれECU からオルタネーターに対して発電を指示し、発電時の電圧を測定することが出来るのである。
つまり、充電制御車など日々進しているクルマに対応するためにスキャンツールも高度なシステムも対応出来るものを導入する必要あるということだ。
クルマが進歩して、そこにコンピュータが絡む以上、電気の知識は避けては通れない道である。今回の事例は、クルマのシステムにECUが大きな影響を与えているという例である。また、ECU を見ることの出来るスキャンツールが無ければ、今後は何も出来なくなってしまうことの現れでもあるので、対応したスキャンツールの導入が望まれる。