教育バカがいる会社は潰れない

カーベル社長伊藤一正

人材育成特集 カーベルに見る人財教育

せいび界2015年7月号

株式会社カーベル 伊藤一正社長インタビュー

「社会人になってからが本当の勉強だ」という言葉は、よく耳にするが、自動車業界とて例外ではない。しかして、その実態は?そこで今回は、今なお教師になる夢を抱きつつ、この業界の教育に力を入れている㈱カーベルの伊藤一正社長にインタビューを行った。合わせて先日開催された最強店長研修の模様も紹介する。

―カーベルさんが教育に熱心なのは、今なお教師への夢を抱いている伊藤社長によるところが大きいと思います。教師を目指したきっかけとは何だったのでしょうか?

伊藤社長(以下、伊藤) 小学校の卒業文集に書いたのですが、憧れの先生がいまして、教えてもらってできなかったことができた喜び、分からないことが分かるようになる喜び、こういったことの蓄積で将来、学校の先生になりたいと思いました。

その夢を最終的に形にしようと思っています。ですから今のビジネスも、人に教える資格を得るために実績を作ったり、自信を作ったりという位置づけでもあると言えると思います。

今月、カーベルを立ち上げてから6人目の、加盟店の息子さんが入ってきます。加盟店さんから6人も息子さんを預けていただけるということは、過去預かった5人、彼らの成長がまずは認められた証だと思います。

できなかったことができるようになるという事例を増やしていくことが、自分自身の今の喜びであったり、生きた証だったり、そういうようなことをやりがいにして、ここまできています。

―整備技術は皆さん資格をお持ちなのでともかく、経営面でこの業界の教育は十分と言えるでしょうか?

伊藤 一部の方を除いて、全くダメだと思います。車屋さんにとって、クルマが太陽ではなく、車屋さんを照らしてくれるお客様が太陽なのです。クルマは単なる商品なのです。お客さまに嫌われたら万事休すという、ビジネスの当たり前中の当たり前が今までおろそかになっていて、商品=クルマさえ良ければ売れる、でも今はそうではないということに車屋さんが気付き出したので、気付いた車屋さんと共に成長したいですし、早く気付いていただきたいのです。

最終的には、ユーザー評価しかないので、「あの店、あの人最悪」と言われたら、どんなに良い商品を売っていてもアウトです。全部をぶち壊すのは人なのです。

また、特に感じているのが、私たちの競争相手は誰だ? ということです。今、新車市場のチェーン店の競争相手はディーラーなのです。オニキスさんでも、ジョイカルさんでもないのです。たぶん彼らも感じていると思います。

人・モノ・カネ・情報のうち、モノ・カネ・情報はディーラーと競争したら負けます。しかし1on1で競争した時は、人の部分だけは勝てる可能性がとても高いので、だから勝てるステージで勝負する。お金もかからないですし。

―経営を学ぶ場、自体があまりなかったですよね。今回、開催した最強店長研修の狙いはどこにありますか?

伊藤 結論からいいますと、小中高大に、国語、算数、理科、社会の授業はありますが、店長の仕事という授業はないのです。だから店長として力がないのではなくて、店長としてやるべきことを知らないだけなのです。知らない理由は習っていないから=教えてないから、なのです。

そのため、この5日間で知らないから知っているというステージアップ、それで5日後には知っているからやっているへステージアップします。

やることとその優先順位が分かってしまえば、必ず人は動き始めます。それをこの5日間で徹底的にやりました。逆にいうと1日や2日では無理なのです。

知らないのを知っているに変えるだけで2日かかりますから。店長の仕事は4つの責任です。4つの責任とは、業績責任、育成責任、報連相責任、改善責任です。さらに、これを教え込む「きょういく」のステージも4つありまして、教育、強育、共育、協育です。

カーベルが加盟店さんに対して行っている「教育」はスタートダッシュ勉強会であり、レベルアップ勉強会です。そして「強育」が今回の5日間。「共育」が今年特に力を入れている視察ツアーです。3月が滋賀ダイハツ、7月がレクサス星ヶ丘と、優秀なディーラーに訪問して直接学ぶ機会です。「協育」は全国大会であったり、キャンペーンであったりということです。

こうした「きょういく」が、会社としてこの方針、この方向で行くということに繋がる。これが大事です。理由は簡単で、車屋さんは言葉は悪いですが、人間動物園なのです。バラバラになるようにできているのです。

「クルマが好き」という共通点があるにしても、生まれも育ちも考え方も血液型も年齢も性別もみんな違いますよね。だから車屋さんは基本的に、バラバラになるようにできているのです。だからこそバラバラにならない、仕組み・仕掛け、私達でいう「車検<社検」が必要なのです。会社の点検・検査をして、一体化するしかないのです。

社員教育を含めて、経営のやり直し、今までのやり方ではダメだということに気付いている方がとても多いですね。

その刺激となるものがディーラーの変化、カフェプロジェクトであったり、残価ローンを始めたりといったこと、それから、大型店や未使用車店や39.8万円の車を揃えた専門店なのです。

しかし、気付いた方から変えようとしているものの、変え方が分からなくてみんなつまずいているのです。だからそれを私達が教える。教えられるのは、私達が実践者であるからです。
私達は自身が実践してきたことの中から、気付きを教えていく集団なのです。この実践者というスタンスが、加盟店さんにも受け入れられているのだと思います。
―車屋の今後さんについて、何か感じるところはありますか?