自動車リサイクルの潮流 第102回:アフリカ向け中古車輸出市場に関する統計整理

山口大学国際総合科学部准教授 阿部新

 

1.はじめに

 アフリカは、日本からの中古車の輸出先としてかねてから知られている。南アフリカ共和国(以下「南アフリカ」)が中継貿易国であることや、ケニアやタンザニアなど東アフリカ地域を中心に輸出されていることなど漠然とした認識はあるが、どのような国・地域、どのような車種、どの程度の金額など正確には分かっていない。

 筆者はこれまで貿易統計を用いて日本や他国からの中古車輸出を見てきたが(阿部,2007;2009;2010b;2010c;2012;2016;2017a;2017b)、アフリカについては部分的に言及した程度である。他者のレポートを含めても、アフリカに重点を置き、全体を整理する記述は、筆者の知る限りない。

 一方、ヨーロッパからもアフリカに中古車は輸出されている。ヨーロッパの中古車輸出のデータは、筆者もかつて集計したことがある(阿部,2010a;2017c)。ハンドルの利用の違いがあり、ヨーロッパの中古車は、同じアフリカであっても日本の中古車とは異なる先に輸出されている。

 それを議論するためには、やはり正確にデータを捉える必要がある。このような背景の下、本稿では日本からアフリカへの中古車輸出市場を整理する。

 

2.アフリカとは

 まず、アフリカにどのような国・地域が含まれるのかを見ておきたい。定義には様々あるだろうが、ここでは日本の財務省貿易統計の「外国貿易等に関する統計基本通達 別紙第1 統計国名符号表」を参考にする。

 同通達では、地理圏としてアジア、中東、中東欧・ロシア等、西欧、北米、中南米、アフリカ、大洋州、特殊地域の9区分がある。このうち、アフリカの国・地域は表1の通りである。

表 1 貿易統計におけるアフリカの国・地域

モロッコ、セウタ及びメリリア(西)、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプト、スーダン、西サハラ、モーリタニア、セネガル、ガンビア、ギニア・ビサウ、ギニア、シエラレオネ、リベリア、コートジボワール、ガーナ、トーゴ、ベナン、マリ、ブルキナファソ、カーボベルデ、カナリー諸島(西)、ナイジェリア、ニジェール、ルワンダ、カメルーン、チャド、中央アフリカ、赤道ギニア、ガボン、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ブルンジ、アンゴラ、サントメ・プリンシペ、セントヘレナ及びその附属諸島(英)、エチオピア、ジブチ、ソマリア、ケニア、ウガンダ、タンザニア、セーシェル、モザンビーク、マダガスカル、モーリシャス、レユニオン(仏)、ジンバブエ、ナミビア、南アフリカ共和国、レソト、マラウイ、ザンビア、ボツワナ、エスワティニ、英領インド洋地域、コモロ、エリトリア、南スーダン

出典:財務省貿易統計「外国貿易等に関する統計基本通達 別紙第1 統計国名符号表」

 

 よく知られているように、日本の中古車の輸出先は左側通行(右ハンドル車利用)の国・地域が多い。アフリカでもケニアやタンザニアなどは左側通行とされるが、その点も整理しておく必要がある。

 ChartsBinというウェブサイトにおいて「Worldwide Driving Orientation by Country」というものがある。これを見ると、以下が左側通行の国・地域として記述されている。

 

表 2 左側通行の国・地域一覧

Anguilla, Antigua and Barbuda, Australia, The Bahamas, Bangladesh, Barbados, Bermuda, Bhutan, Botswana, Brunei, Cayman Islands, Christmas Island, Cocos (Keeling) Islands, Cook Islands, Cyprus, Dominica, Falkland Islands (Islas Malvinas), Fiji, Grenada, Guernsey, Guyana, Hong Kong, India, Indonesia, Ireland, Isle of Man, Jamaica, Japan, Jersey, Kenya, Kiribati, Lesotho, Macau, Malawi, Malaysia, Maldives, Malta, Mauritius, Montserrat, Mozambique, Namibia, Nauru, Nepal, New Zealand, Niue, Norfolk Island, Pakistan, Papua New Guinea, Pitcairn Islands, Saint Helena, Saint Kitts and Nevis, Saint Lucia, Saint Vincent and the Grenadines, Samoa, Seychelles, Singapore, Solomon Islands, South Africa, Sri Lanka, Suriname, Swaziland, Tanzania, Thailand, Timor-Leste, Tokelau, Tonga, Trinidad and Tobago, Turks and Caicos Islands, Tuvalu, Uganda, United Kingdom, British Virgin Islands, Virgin Islands, Zambia, Zimbabwe

出典:ChartsBin statistics collector team 2009, Worldwide Driving Orientation by Country, ChartsBin.com, viewed 1st September, 2019, <http://chartsbin.com/view/edr>.

 

 以上を照らし合わせると、アフリカにおいて左側通行の国・地域は、ボツワナ、ケニア、レソト、マラウイ、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、セントヘレナ及びその附属諸島(英)、セーシェル、南アフリカ共和国、スワジランド、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエになる。

 

3.アフリカ向けの中古車輸出の全容

 これらを踏まえ、データを見ていく。まず、日本の中古車輸出台数(バス、乗用車、トラック)について、アフリカ向けとアフリカ以外の地域向けの数量を区分したものを図1に示す。

 これを見ると、アフリカ向けは増加傾向にあり、2001年は2.5万台程度であったが、2007年に10万台、2012年に20万台を超えている。直近の2018年は34万台程度と過去最高の数量になっている。

 2009年にロシアなどの輸入制限の強化で、日本から全世界向けの中古車輸出台数は大幅に減ったが、アフリカ向けは減少しなかった。そのため、中古車輸出台数全体におけるアフリカ向けのシェアは、2008年の12%から2009年は23%と急増している。

 その後、全世界向けの中古車輸出は増加し、2008年の水準にまで戻ってきているが、アフリカ向けの割合は減少しておらず、全体の22~23%程度である。直近の2018年は26%にもなっている。つまり、日本の中古車輸出台数の4分の1程度がアフリカ向けである。

 

図 1 日本からの中古車輸出台数とアフリカの割合の推移

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

注:バス、乗用車、トラックの合計。2001年のみ4月~12月の実績値。

 

 上記のアフリカ向けの中古車輸出について、車種別に示したものが図2である。先に示したように、全世界向けの日本の中古車輸出市場は、2009年に大幅に縮小したが、アフリカ向けは縮小しておらず、微少に増加している。

 その後も増加をし続けているが、2016年に突如として減少している。それ以降は再び元の水準に戻り、2018年は2001年以降で最多の数量となっている。

 車種別に見ると、まず、乗用車は全体的に増加傾向であり、2005年と2016年を除いた全ての年で前年を上回る数量となっている。トラックは、2008年まで増加傾向であり、2009年から2012年まで4万台弱、2013年以降は概ね5万台前後の横ばいで推移している。

 これらから、アフリカ向けの中古車における乗用車の割合は、2008年までは下降傾向であったが、2009年に上昇傾向に転じている。大まかに捉えるとアフリカ向けの中古車のうち乗用車の割合は70%~80%程度ということができる。

 

図 2 日本からアフリカ向けの中古車輸出台数と乗用車の割合

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

注:バス、乗用車、トラックの合計。2001年のみ4月~12月の実績値。

 

4.新車は輸出されているか

 一方、新車はどうなっているのだろうか。次の図3はアフリカ向けの自動車(バス、乗用車、トラック)の輸出について、新車と中古車に区分したものである。図において、「区分なし」と表記しているものは、貿易統計上で新車・中古車の区分のない品目である。

 そのほとんどがノックダウン車であり、わずかにあるのはゴルフカートや雪上車などである。よって、「区分なし」の数量はほぼ新車であると言ってよい。

 これを見ると、2008年までは新車が中古車を大きく上回っていたが、2009年に新車が大幅に減少し、中古車との大小関係が逆転したことが分かる。その後、中古車は引き続き増加傾向になり、新車は減少傾向になっていることも分かる。

 

図 3 日本からのアフリカ向けの自動車の輸出台数の推移(新車・中古車別)

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

注:バス、乗用車、トラックの合計。2001年のみ4月~12月の実績値

 

 日本からの新車の輸出について、2001年~2018年の合計値を主要国・地域別に並べたものが次の図4である。また、ここでは各国・地域についてバス、乗用車、トラックの車種別に示している。なお、この期間に輸出された新車の合計の車種別割合は、アフリカ全体ではバスが15%、乗用車が69%、トラックが16%である。

 国・地域別では、南アフリカ向けが圧倒的に多く、この期間にアフリカに輸出された新車の35%を同国向けが占める。つまり、3分の1を超えている。車種別に見ると、同国向けはバスが12%、乗用車が80%、トラックが8%となっており、乗用車が圧倒的に多い。同国向けの乗用車(新車)の輸出はアフリカ全体の41%にもなる。また、トラックよりバスの方が多い点も興味深い。

 エジプト、ナイジェリア向けも南アフリカ同様に、バスの数量が比較的多い印象を持つ。同じ期間に日本からエジプト、ナイジェリアに輸出された新車の合計の22%、36%がバスである。

 一方で、アルジェリア向けはトラックが多く、同期間に同国に輸出された新車の41%をトラックが占める。アルジェリアは、日本からアフリカの新車トラック輸出の31%のシェアである。

 これらに続くリビア、モロッコは乗用車の割合が大きく、バスはほとんど輸出されていない。このように新車においては、国・地域により車種が異なることがあり、それぞれの特徴が見られる。

 図4に挙げられた主要国・地域のうち、左側通行の国・地域は、南アフリカの他、モーリシャス、ケニア、タンザニアのみである。モーリシャスはアフリカ全体の2%、ケニア、タンザニアは1%程度でしかない。

 つまり、日本からの新車の輸出先は右側通行(左ハンドル)の国・地域が多い。左側通行(右ハンドル)の国・地域は、他の生産国から新車を輸入しているということなのだろうか。

 

図 4 2001年~2018年の日本からアフリカ向けの新車輸出台数合計(主要国・地域別)

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

注:バス、乗用車、トラックの合計。2001年のみ4月~12月の実績値

 

5.中古車の輸出先

 一方、中古車はどうだろうか。同じく2001年~2018年に日本からアフリカに輸出された中古車の合計について、国・地域別に示したものが図5である。これを見ると、新車とは異なり、左側通行(右ハンドル車)の国・地域が多いことが分かる。右側通行の国は、コンゴ民主共和国、ナイジェリアのみである。

 このうち、南アフリカとケニアは、それぞれアフリカ向けの中古車輸出台数の28%、25%のシェアであり、これらの2か国で52%になっている。続くタンザニア、ウガンダのシェアは13%、10%であり、上位4か国でアフリカ向けの中古車の75%にもなる。

 つまり、これら4か国でアフリカの4分の3を占める。さらにモザンビーク、ザンビア、ボツワナ、モーリシャスを加えた8か国で91%になる。

 車種別に見ると、アフリカ向けに輸出された中古車のうち、乗用車が79%、トラックが19%であり、バスはわずか2%である。新車と比べると、バスの割合は小さい。また、新車の場合は国によって車種別の割合が異なることがあったが、中古車の場合、主要国・地域ではだいたい同じような割合である。

 また、車種別の輸出先についてだが、乗用車は図5にある通りの順で多い。トラックは南アフリカ、ケニア、ウガンダ、タンザニアの順で多く、バスは南アフリカ、タンザニア、モザンビークの順で多い。

 以上の構造は直近の単年で見ても概ね同じである。2017年、2018年の南アフリカ向けは、25%、26%、ケニア向けは26%、23%、タンザニア向けは17%、17%、ウガンダ向けは9%、8%である。

図 5 2001年~2018年の日本からアフリカ向けの中古車輸出台数合計(主要国・地域別)

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

注:バス、乗用車、トラックの合計。2001年のみ4月~12月の実績値

 

 図5の上位8か国向けについて、直近10年間の中古車輸出台数の推移を見たのが次の図6である。これを見ると、南アフリカは変動があり、2011年から2015年までは減少傾向であったことが分かる。

 2015年がこの期間で最も少なく、2016年は若干増えているが、同程度の数量である。その後2017年に大幅に増加し、2018年はこの10年間で最も多い水準となっている。

 ケニアも変動はあるが、南アフリカとは異なったものとなっている。全く逆の動きとしては2011年から増加傾向となり、2015年に最多となっている点である。2016年に急減したのは何らかの制度的な影響だろうか。2017年はすぐに回復していることも分かる。

 他の国もそれぞれ異なった動きを示している。タンザニアは右肩上がりで概ね増加傾向であり、直近の2018年が最多となっている。ケニアと同様、2016年に若干の減少があった点は気になるところである。

 ウガンダは全体的に横ばいであるが、2015年と2016年は若干少ない。モザンビークは2014年がピークであり、2015年に若干の減少後、2016年に大幅に減少し、その後3年間は増加傾向である。ザンビアは2013年がピークであり、それから減少し、同じように2016年を底として増加傾向に転じている。

 これらを見ると、それぞれ異なる動きが見られるものの、2015年と2016年に低迷している点は共通する。南アフリカ、ウガンダは2015年と2016年、ケニア、タンザニア、モザンビークは2016年に低迷する何らかの原因が起きたかどうかである。これらは記事などでフォローすべきである。

 

図 6 日本からアフリカ主要国向けの中古車輸出台数の10年間の推移(主要8か国別)

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

注:バス、乗用車、トラックの合計

 

6.車種別の中古車輸出台数

 前節で見た通り、アフリカ向けの中古車の8割程度が乗用車である。これをさらに細かく見ておきたい。次の図7は2018年のアフリカ向けの中古乗用車について、排気量・エンジン別の割合を図示したものである。

 これを見ると、ガソリン車で1000cc超1500cc以下が50%、1500cc超2000cc以下が23%、2000cc超3000cc以下が16%であり、これら3車種で89%にもなる。

 

図 7 2018年のアフリカ向けの中古乗用車の排気量別シェア

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

 

 図8は、半数のシェアを占める1000cc超1500cc以下のガソリン車について、2017年、2018年の主要国別の数量と単価を示したものである。単価は単純に金額を数量(台数)で割ったものである。これまでの図により主要国は大方予想がつくが、単価については国により異なっていることが理解できるだろう。

 南アフリカは10万円程度であるのに対し、ケニアは41万円程度、タンザニアは16万~17万円程度である。最も低いのはレソトであり、9万円前後である。ボツワナも11万円程度である。反対にモーリシャスは80万円を超えており、飛び抜けて高い。

 図にはないが、同国の2016年の単価は99万円にもなっている。同程度の排気量ではあるが、年式が異なることなどが想定され、年式規制、関税の存在も見ておく必要がある。いずれにしろ、20万円を下回っている国が多い。

 よく知られているように、輸出申告書において1品目の価格が20万円以下は、少額貨物と呼ばれており、その分の数量は貿易統計に計上されない。図8は貿易統計に計上されているものである。単価が20万円以下であっても、統計に計上されるということは、1品目の価格は20万円を超えているということである。

 つまり、同じ品目で複数台の輸出申告をしており、合計値が20万円を超えているものと予想される。一方、そのような事情は、少額貨物の存在の可能性を否定しない。1台単位で20万円以下のものが輸出されていれば、貿易統計に反映されないが、このような輸出がどの程度かは把握できない。

 他の排気量について見てみると、同じように単価が20万円以下の国・地域はある。660cc超1000cc以下について、最多シェア(38%程度)のケニア向けの単価は30万円程度だが、次に多い南アフリカ向けは11万円程度である。

 それに続くタンザニア、ガーナ、ナミビア、モザンビークも全て20万円以下である。1500cc超2000cc以下になると、タンザニアやウガンダも20万円を超えるようになってきているが、南アフリカ向けは13万円程度、ボツワナも13万円から16万円である。

 さすがに2000cc超3000cc以下にもなると主要国向けの単価は20万円を超えている。いずれにしろ、国・地域によって輸出単価が異なることを理解しておく必要がある。

図 8 日本のアフリカ向け中古乗用車の数量と単価(1000cc超1500cc以下のガソリン車)

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

 数量的には少ないが、660cc以下のいわゆる軽自動車について主要5か国を見たのが図9である。2018年の日本から全世界向けの中古軽自動車は、中古乗用車の4%程度であるが、アフリカ向けに限定すると中古車乗用車の1%程度である。そのため、他の地域と比べると軽自動車の市場は小さい。

 ただし、図9を見ると、2018年にナイジェリアとケニアで急増していることが分かる。2019年の実績値は1月から7月までであるが、ケニアはこの時点で既に2018年の実績を超えている。これは市場が開き始めたということなのだろうか。なお、単価については2018年の実績で、ナイジェリアは9.5万円、ケニアは28.5万円である。

 

図 9 日本のアフリカ向け中古乗用車の数量(660cc以下のガソリン車、単位:台)

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

注:2019年は1月~7月の実績(確報値)

 最後にハイブリッド車について見てみたい。これも図7に見るように、2018年のアフリカ向けの中古乗用車のシェアは小さい。日本から全世界向けの中古乗用車輸出におけるハイブリッド車の割合は14.5%程度であるが、アフリカ向けでは2%程度である。

 軽自動車と同じく、市場は小さいと考えられる。そのような中、モーリシャスとケニアに集中していることは分かる。単価はモーリシャスが120万円程度、ケニアが60万円程度である。セーシェル向けの数量は少ないが、単価は200万円程度と高い。この市場は広がるのかどうか、関心を持っておきたい。

図 10 日本のアフリカ向け中古ハイブリッド車の数量

出典:財務省貿易統計より阿部新集計

注:統計品目番号「870340100」を集計。2019年は1月~7月の実績(確報値)

 

7.まとめ

 本稿では、これまであまり整理されてこなかったアフリカ向けの中古車輸出市場について検討した。まず、アフリカ向けの中古車輸出は増加傾向であり、日本の中古車輸出台数の4分の1程度にまでなってきていることが分かった。

 かつてアラブ首長国連邦などから東アフリカ諸国に再輸出されていると言われていたが、それが追加されればアフリカ向けの中古車輸出市場はさらに大きくなる。同国からの再輸出について現在はどうなっているか、その数量がどの程度なのかを知る必要がある。

 また、新車は、右側通行の国・地域向けが多く、その数量は減少傾向にあるなどいくつかの特徴があった。中古車は、新車とは異なり、左側通行の東・南アフリカ諸国に集中している。

 具体的には、南アフリカとケニアで半数、タンザニア、ウガンダを加えた4か国で4分の3、モザンビーク、ザンビア、ボツワナ、モーリシャスを加えた8か国で9割程度になる。一方、この8か国だけを見ても、それぞれ数量の変動は異なり、アフリカを一括りにすることは危険であることも分かった。

 排気量別に見ると、1000超1500cc以下のガソリン車が半数であり、1500cc超2000cc以下、2000cc超3000cc以下のガソリン車を含めると9割程度にもなることが分かった。これに対して軽自動車やハイブリッド車の割合は低い。

 単価では、南アフリカを中心に10万円台と低いが、ケニアやモーリシャスなど単価の高い国もあり、この点でもアフリカを一括りできないことを認識した。少額貨物がどの程度あるかを探るのは難しいが、南アフリカ向けなどに焦点を当てることは重要である。

 実は、2019年は、南アフリカ向けの中古車輸出台数が急減している。それまでの増加が著しかったこともあるかもしれないが、同国からは再輸出されるため、再輸出先で何らかの変化があったものと思われる。再輸出先はどこなのかを改めて議論するとともに、直近の動きについて記事などをフォローする必要がある。

 本稿では、日本の視点でアフリカ向けの中古車輸出市場を見てみた。一方、冒頭で示したようにアフリカにはヨーロッパからも中古車が輸出されている。単純にハンドルの違いにより市場は分かれていると予想するが、その予想が本当にあてはまるかどうかである。これについては今後の課題としたい。

 

参考文献

阿部新(2007)「中古車輸出の現状」寺西俊一編『トヨタ財団2005年度研究助成報告書 アジアにおける自動車リサイクルの実態調査および国際的制度設計に関する政策研究』第1章,1-12

阿部新(2009)「貿易統計から見る中古車輸出市場の動き」『月刊整備界』40(4),28-32

阿部新(2010a)「中古乗用車の貿易量に関する日欧比較:国際資源循環の観点から」『一橋大学経済研究所Discussion Paper Series』,A-No.531

阿部新(2010b)「中継貿易拠点における中古車貿易量(前編)」『月刊整備界』41(1),74-77

阿部新(2010c)「中継貿易拠点における中古車貿易量(後編)」『月刊整備界』41(2),58-62

阿部新(2012)「最近の中古車輸出市場の動きについて」『月刊自動車リサイクル』(12),56-65

阿部新(2016)「中古車輸出台数は増加したのか」『月刊自動車リサイクル』(61),42-51

阿部新(2017a)『国境を越える自動車のリサイクル』未公刊資料

阿部新(2017b)『諸外国における中古車貿易統計』未公刊資料

阿部新(2017c)「欧州の中古車輸出市場の現状」『月刊自動車リサイクル』(79),36-47