自動車リサイクルの潮流 第98回:地域別の抹消登録台数に関する統計整理

山口大学国際総合科学部准教授

阿部 新

1.中古車国内流出台数の割合

 筆者は阿部(2018)において、首都圏を事例に地域別の抹消登録台数(廃車台数)を算出した。抹消登録台数は、前期末自動車保有台数+当期新車販売台数-当期末自動車保有台数によって算出するが、地域別の場合、これに当期中古車国内流入台数を加える。阿部(2018)では1983年と2017年の首都圏8都県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)の抹消登録台数を算出し、その増減を比較した。

 地域別の抹消登録台数の内訳は、使用済み自動車台数、中古車輸出台数、抹消状態車両の増加数、中古車国内流出台数である。阿部(2018)では、1983年と2017年の首都圏8都県別の抹消登録台数を示すとともに、1983年についてはそのうちの中古車国内流出台数の内訳、2017年については中古車国内流出台数、中古車輸出台数を除いた残量を示した。

 図1は、阿部(2018)と同様の1983年と2017年の首都圏8都県別の抹消登録台数を示したものである。また、そのうちの中古車国内流出台数については、阿部(2018)では1983年のみだったが、図1では2017年分も付け加えている。さらに抹消登録台数中の中古車国内流出台数の割合も追加している。

 阿部(2018)で言及されたように、この2時点間で抹消登録台数が減少していたのは東京都のみであり、他は増加している。特に埼玉県、千葉県、神奈川県の増加幅は大きい。また、このうちの中古車国内流出台数を見ると、上記3県の増加は中古車国内流出台数の増加によるものが大きいことが分かる。

 つまり、各県内で使用済みとなる数量は抹消登録台数ほどには増加していないことが想定される。なお、抹消登録台数中の中古車国内流出台数の割合は全て都県で増加している。

 容易に指摘されることだが、1983年と2017年という2時点間の比較は、傾向を的確に示しているとは言えない。これらの年が異例である可能性もあるし、またその間の変動が複雑に起きていることもあり、図1のように単純とは限らない。

 そのため、これらの時点のみならず、可能な限り他の年の抹消登録台数やその内訳を示すべきである。問題はどのようにしてそれを出すかである。本稿では地域別の抹消登録台数の算出においてどのような統計を用いるべきかを検討する。

図1

図 1 抹消登録台数と中古車国内流出台数の割合(左軸単位:台、右軸単位:%)

出典:日本自動車販売協会連合会『自動車統計データブック』1984年版、2018年版より筆者作成

注:抹消登録台数は前期末自動車保有台数+当期新車販売台数+当期中古車国内流入台数-当期末自動車保有台数により算出したもの。「その他」は抹消登録台数から中古車国内流出台数を差し引いたもの。

 

2.地域別の抹消登録台数における課題

 都道府県別の抹消登録台数を算出するためには、都道府県別の自動車保有台数や新車販売台数のほか、中古車国内流出入台数のデータが必要である。新車販売台数は、登録車(新車登録台数)と軽自動車(新車販売台数)に分かれていることがあり、それらも含めて入手する必要がある。

 これらのデータは全国合計であれば多くの資料、データ集にあるが、都道府県別となるとあるようでない。例えば、自動車検査登録情報協会のホームページに都道府県別の自動車保有台数が示され、エクセルファイルとしてダウンロード可能だが、各年3月末時点の数値であり、対象期間にずれが生じうる。

 また、日本自動車工業会の『自動車統計月報』には、インターネット上で2001年以降の都道府県別の自動車保有台数を把握することができるが、都道府県別の新車販売台数は示されていない。今回の限りでは、インターネットで閲覧できる都道府県別の新車販売台数関連のデータは見当たらなかった。

 そのような背景から、阿部(2018)では日本自動車販売協会連合会の『自動車統計データブック』を用いた。これは、都道府県別の自動車保有台数、新車販売台数(新車登録台数、軽自動車販売台数)がともに暦年で掲載されており、抹消登録台数の算出において、対象期間のずれの懸念はない。しかも中古車国内流出入台数が掲載されている貴重なデータ集であり、地域別の抹消登録台数を算出するには重要である。

 ただし、欠点がないわけではない。同書の都道府県別の自動車保有台数の合計値には軽自動車や二輪車が含まれているが、都道府県別の新車登録台数の合計値にはこれらは含まれていない。よって、単純にこの合計値を計算式に投入すると、車種による誤差が生じる。そこで、(1)保有台数の合計値から二輪車を差し引き、(2)新車登録台数の合計値に軽自動車の新車販売台数を加える作業が必要である。

 『自動車統計データブック』では、都道府県別の軽自動車の販売台数は掲載されており、(2)については対応できるが、二輪車の都道府県別の保有台数が掲載されておらず、(1)については対応できない。よって、阿部(2018)では、都道府県別の自動車保有台数について、7車種(乗用車(普通、小型、軽)、貨物車(普通、小型、軽)、バス)の数量を個々に足し合わせることとした。

 さらに、地域別の抹消登録台数の算出においては中古車国内流入台数も用いるが、『自動車統計データブック』のデータは特種用途車、大型特殊車を含む。中古車国内流入台数の数値は同書しか掲載されていないため、保有台数や新車販売台数の車種の範囲を特種用途車、大型特殊車を含めた形に合わせる必要がある。

 特種用途車、大型特殊車の保有台数は、二輪車同様、『自動車統計データブック』には個別に掲載されていない。そこで、阿部(2018)では、特種用途車、大型特殊車の保有台数の差が大きくないという前提で、これらを除いたもの(乗用車、貨物車、バスの合計値)を保有台数とし、抹消登録台数を算出した。

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