資本金の額で税金の額が全然違う?

2017年7月7日

自動車整備士・整備工場経営の税務質問箱

せいび界2011年3月号掲載

Q1:資本金の額で税金の額が全然違う?

現在、個人事業を営んでいますが、法人成りを検討しています。そこで、資本金はいくらが妥当 なのか悩んでいます。資本金の額を決めるに当たって、何か注意すべきことがありますか?

A.資本金をいくらに設定するかは自由

数年前まで資本金には最低資本金制度というものがあり、会社設立には制限がありました。しか し、この制度は廃止され、最近では資本金1円でも会社を設立できるようになりました。

ただし、資本金1円ではやはり対外的な信用力に関わりますので、数百万円の資金を準備して 開業する方が多いようです。また、業種によっては1,000万円以上の資本金が必要となる場合もあります。

資本金額の設定は基本的に自由ですが、資本金が1,000万円前後の場合は税金が変わってしま うということがありますので、注意が必要です。
次に資本金の額によって税金が変わってしまう例を2つ挙げます。

設立1期目から消費税がかかる場合 「設立して最初の2年間は消費税がかからない」ということをよく耳にすると思いますが、実は 設立した1年目から消費税がかかってしまう会社があります。それは設立時の資本金が1,000万 円以上の会社です。
設立後2年間、消費税がかからないというのは、資本金が1,000万円未満の会社に適用される 制度で、資本金が1,000万円以上の会社は設立1年目から消費税がかかってしまいます。

会社設立時に「切りよく資本金1,000万円でスタートしよう!」という場合がありますが、1,000 万円ちようどでは1年目からでも消費税がかかってしまいますので、設立時は資本金900万円で 設立し、後で増資するということにすれば設立後2年間は消費税がかかりません (※2期目の途中 に増資しても2期目は消費税がかかりません。2期目が免税になるかどうかは2期目の期首の資本 金が1,000万円以上かどうかで決まるからです)。

資本金によって変わる均等割 決算が終了して赤字になってしまった場合、法人税のように所得に対して課される税金は発生し ませんが、均等割という税金は支払わなければなりません。均等割というのは都道府県や市区町村に事務所を置いているだけで所得とは無関係にかかってくる税金のことです。
この均等割という税金も資本金等の額(資本金十資本剰余金) によって、その支払う額が変わります。資本金等が大きくなると、負担する均等割の額も多くなり、今後毎年この税額を払っていけるのかということも資本金を設定する際に考慮しなければなりません。

資本金を変更する場合はご注意を 資本金を増資・減資しようとすると登記簿膳本を変更する費用や官報の公告に載せる費用など、 お金の問題が出てきます。また、減資を行うと、「なぜあの会社は減資をしたのだろう?」と対外 的信用の問題も出てきます。

資本金の変更という作業は手間とお金のかかるものです。最初の資本金の設定は自由ですが、将 来なかなか変更しづらいこと、毎年の税負担、外的な信用力の問題を考慮した上で慎重に検討すべ きでしよう。

また、減資には有償減資と無償減資がありますが、無償減資の場合には、減資資本金がその他資 本剰余金に振り替わるだけで、法人税上、資本金等の額(資本金十資本剰余金) は不変です。その 結果、法人県民税及び市民税における「均等割額」は、資本金を減額しても当初のまま不変です。

資本金等の額を減ずる方法としては、「有償減資」と「自己株式の取得」があります。特に資本 金が大きく、債務超過の会社にとっては、均等割額の負担はできるだけ回避したいところです。

債務超過の会社の有償減資の手続き次の通りです。 会社方では、有償減資はあくまで「資本金の減少手続き」と「剰余金の配当手続き」がセットで す。まず、株主総会で資本金の減資の決議をし、債権者異議催告手続きが終了すると、減資の効力 が発生します。

<仕訳>
資本金 ** / その他資本剰余金 **
次に、その他資本剰余金を配当原資として、総会で剰余金の配当の決議をしますが、債務超過の ため配当金は未払いとします。
<仕訳>
その他資本剰余金 ※※/ 未払金 ※※
この場合、債務超過ですので、利益積立金 (剰余金) はなく、税務上の「みなし配当」課税はあ
りません。これで、有償減資による「資本金等の額」の減額は完了です。

なお、この未払金ですが、株主にとっては回収困難な債権ですので、当該債権を会社に現物出資 します (「債務の株式化」)。
もちろん、債権 (未払金) の評価は、回収可能性で判断しなければなりませんので、その価額は 1円とします。
<仕訳>
未払金※※/資本金1円
/債務免除益※※

この債務免除益ですが、一定の場合を除き、法人税の課税対象になりますが、7年以内の欠損金 の範囲内であれば無税です。会社法上の解釈では上記の処理に異論が起こるところではありますが、 会社の実態に即した均等割額の課税を考慮すべきと思います。

Q2:保険金、相続した財産をローン返済に当てた場合

妻である私の母が亡くなり、保険金や土地売却で財産を得ました。そのお金 (相続税控除範囲内) を夫名義で借りている住宅ローンの返済に当てると、贈与税はかかりますか? 今、このお金は妻 である私名義の銀行口座に入っています。

A.返済額が一定金額を超えれば贈与とみなされる

贈与税とは、財産の贈与を受けた際に課税される税金です。贈与税には110万円の基礎控除があり、毎年1月1日から12月31日までに、その額を超える財産を贈与された場合に贈与税が課税されます。
ただし、親子や夫婦といった近親者の間で贈与する際には、いくつか注意すべきことがあります。

贈与にならない場合ー子供名義の預金 親が子供名義の口座に預金して、「贈与」していることがよくあります。しかし、たいていの場合、 本当の贈与にはなっていません。

贈与とみなされるためには、子供自身に贈与を受けるという認識があり、贈与されたお金を自分 で管理していることが必要です。口座の名義だけが子供で、通帳も判子もしっかり親が握っている なら、それは親の金と見なされます。

つまり、毎年110万円の範囲内で子供名義の口座に預金して、相当の年数が経過した後に、「実 はお前の名義で預金しておいたのだよ」と通帳と印鑑を渡してしまうと、その時に全額贈与したと 見なされ、かなりの贈与税が課税される可能性があるのです。

贈与になってしまう場合ー住宅資金の貸付 子供が家を建てる、または買う場合に、親がそのための援助をするということがあります。その 援助が「あげた」のではなく「貸した」だけだった場合、贈与税はかかるのでしようか。

もちろん、それが本当に「貸した」だけなら税金がかかるはずがありません。しかし、親から子 供にお金を貸す場合、銀行から借りるのとは趣が相当に違います。親は本当のところ、子供からきっ ちり返済してもらおうとは思っておらず、返済もある時払いの催促なしだったりします。つまり、 実質的に贈与である場合が少なくないのです。

ですから、贈与と見なされないために、それなりの形式を整えておく必要があります。

○金銭貸借契約書、償還表を作成すること
○償還表の期日にきちんと返済すること
一言で言えば、第三者とお金の貸し借りをする時と同様にするということですね。

贈与税節税のための工夫

今回の場合、贈与税の課税の対象となります。そのため、110万円を超える額の住宅ローンを 返済する場合、贈与税が課されるでしよう。
提案といたしまして、年間110万円以内の範囲で住宅ローンを返済されてはいかがでしようか? この手法を取れば、贈与税が課されることはないでしよう。

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