仮眠

仮眠時間は労働時間に入る?

Q,ウチは24時間体制のロードサービスを謳っているが、同業者の会合に出席した際、仮眠時間も時給を払わなければいけないと聞いた。本当だろうか?

A.「働いておらず、仮眠をしている時間が労働時間に入るなんて…」と考えられる方もいます。しかし、仮眠時間も労働時間としてカウントしなければならない場合「も」あるのです。これに関する裁判があります。

 

<ジェイアール総研サービス事件>

東京高裁 平成23年8月2日

守衛の業務に従事していた社d員の拘束時間は16時間、休憩時間4時間、睡眠時間4時間を合わせて合計24時間の一昼夜交代勤務でした。また業務は守衛2名の交代制で回していました。社員は休憩時間、仮眠時間も労働時間に当たると主張し、賃金の支払いを会社に求めましたが認められず、改善を求めて訴訟を起こしました。

裁判所の判断

東京地裁(平成21年12月16日)では社員の請求は退けられたものの、社員は東京高裁に控訴し、高裁では社員の主張が認められ、休憩時間と仮眠の時間は労働時間に当たるとの判断をされ、会社の敗訴となりました。

なぜ、このような結果となったのか、詳しくみてみましょう。まずは、休憩時間中については、次のような状況でした。

〇緊急事態が発生した場合の対応はもちろん、平常時においても、状況に応じて仕事中の守衛を補佐すべきことが予定されていた。

〇実際に、業務中の守衛が来訪者の対応を行っている場合、「電話等の対応を休憩している守衛が行う」とされていた。

上記のように、外出等の自由な時間は事実上制約されていました。休憩時間にテレビ、雑誌、新聞等を見ることは可能でしたが、受付に訪問者が来た場合は対応することが義務付けられ、それを怠ったら、叱責された事実などもあったのです。

このように、業務(労働)からの解放が保障されていなかったため、法的には労働時間とみなされたのでした。さらに具体的な資料をみてみましょう。

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守衛服務心得(抜粋)

勤務中はもとより休憩中においても、みだりに職場を離れてはならない。

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このルールにより、裁判所は「休憩時間は会社の指揮命令下にある」と判断し、休憩時間を労働時間と判断したのです。仮眠時間についてですが、下記となっていました。

〇制服を脱いで自由な服装で守衛室内のベッドで仮眠することも可能であったが、帰宅することは許されていなかった

〇社員は業務が発生した時、直ちに対応できるように決められていた

〇仮眠していても、警報に対応することなど、緊急事態に応じた臨機の対応をすることが義務となっていた

警報等の対応そのものは頻繁に起こるものではありませんでしたが、上記の「守衛服務心得」により「仮眠時間も会社の指揮命令下にある」と判断されたのです。ですから、法的な労働時間の考え方は

○社員が指揮命令下にある

○実際の業務が行われていなくても、業務から解放されていない

という場合は労働時間としてカウントされるということです。特に、仮眠の時間でも警報に対応することが義務付けられ、緊急時に出動することが規定で決められていたので、仮に仮眠していても労働時間との判断となったのです。

では、法的に労働時間とされないためには、どのような対応が必要かをみてみましょう。それは、以下の要件を満たす必要があります。

○休憩時間、仮眠時間等について、規定やマニュアルにより、業務に従事する必要がないことを明文化する

→休憩時間等に業務を行うことを禁止する条文を盛り込む

○業務日報等で休憩時間等に業務を行っていない旨の報告をさせる

→ 「休憩」と記載させる

→日常的に「きちんと休んでいる」ことを報告させる

さらに、休憩室等を確保することができる場合は、「待機室」と「休憩室」を物理的に区別するなどの対応をとることが重要です。

このようにしておいたとしても、仮に、休憩時間や仮眠時間に緊急で、社員が稼働しなければならなくなったら、その時間の賃金を支払いが必要となります。

ビル管理業に限らず、社員が業務の間に休憩、仮眠しているケースは多いです。しかし、その間であっても、業務に対応することになっているならば、結果としての対応の有無に関わらず、労働時間に含まれてしまうのです。

逆に言えば、煙草を吸う休憩時間も労働時間なので、これが多い社員には注意をする必要があります。いずれにせよ、休憩時間、仮眠時間も労働時間に含まれる場合があるので、含ませたくないならば、業務との「明確な区分」が必要なのです。

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