交際費?それとも役員賞与?

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自動車整備士のお仕事・労務について労務相談室

せいび界2014年11月号Web記事

Q、交際費?それとも役員賞与?

先日、弊社の優良顧客を招待してのゴルフコンペを開催した。費用はすべて弊社持ちで「交際費」として計上するつもりだったが、顧問税理士から「役員賞与」と判断される可能性があるとの指摘を受けた。交際費として処理できないのだろうか?

A、

同族企業の場合、実質的には個人的費用である支出が交際費として、処理されている場合もあります。そして、税理士側も「交際費にしておけば、否認はされないだろう」と考えている場合もあります。しかし、これは本当にそうなのでしょうか?パチンコ業を営むA社の青色申告の判例を元に考えてみます。

<パチンコ業 法人A社の青色申告 東京地裁(昭和57年5月20日)>

A社の代表取締役Bはゴルフのプレー代45万270円を交際費と処理していたが、交際費ではなく、役員賞与と税務調査で否認され、裁判所に訴えられた。

裁判所の判断

○プレー費用はいずれもB自身のプレー費用である。
○同伴者の多くはBと同じ在日韓国人で、金融、キャバレー、パチンコ、土木等の事業をしている者であり、A社の事業に直接関係する者ではない。
○いずれも親睦を主な目的としたもので、それ以上の格別の意味はない
○Bは在日本大韓民国居留民団品川支部長を務める他、A社以外にC社の代表取締役も兼ね、妻または息子が代表取締役をするD社及びE社の経営にも関与しており、ゴルフが好きであった

以上の事実からプレー費用はA社の事業との関連性がなく、交際費に該当しない。在日韓国人のゴルフ同好者等との交遊を兼ねながら、自分の趣味として行ったもので、役員賞与に該当すると判断し、納税者敗訴となりました。

また、Bは一審の判断を不服とし、控訴しましたが、東京高裁(昭和59年4月26日)も第一審の判断を支持する結果となりました。

ちなみに、A社は「ゴルフを通じ、同業者や他の事業者等から有益な情報を入手したり、従業員対策、資金対策の便を得たるすることができ、プレー費用はA社の事業に必要な交際費である」と主張しました。しかし、東京地裁は

○そのような便益は考えられるが、それは事業家としてのB個人の問題
○A社の事業との具体的な関連性に結びつく事柄ではない

と判断しています。
いかがでしょうか?当然ですが、金額が多いか少ないかで、交際費か?個人的費用か?の判断が分かれる訳ではありません。
ですから、この判決でも約45万円のプレー費用が問題になっているのです。もちろん、ゴルフが事業を行う上で必要なケースもありますが、そうではないケースもあります。

特に「同業者や他の事業者等から有益な情報を入手したりすることは個人の問題であり、事業関連性は無い」と判断されている部分には注目して頂きたいと思います。

もちろん、この事例は「1つ1つのプレー費用に事業関連性がない」と判断されたから、こういう結果になったのです。
しかし、税務調査の現場では、http://tinyurl.com/mgku6gaにも書いたように、 「交際費が多額なので否認」とされていることもあります。
しかし、交際費が多いか少ないかは否認の根拠とはなり得ず、あくまでも「1枚1枚の領収書が【個別的に】事業と関連があるか無いか」で判断すべきものなのです。
この考え方を飛ばし、税務調査の現場では強引な指摘がされており、税理士も納税者も認めてしまっていることがあるので、ご注意下さい。

 

ライター紹介

内海正人:日本中央社会保険労務士事務所 代表/株式会社日本中央会計事務所 取締役
主な著書:”結果を出している”上司がひそかにやっていること(KKベストセラーズ2013)、管理職になる人が知っておくべきこと(講談社+α文庫2012)、上司のやってはいけない!(クロスメディア・パブリッシング2011)、今すぐ売上・利益を上げる、上手な人の採り方・辞めさせ方!(クロスメディア・パブリッシング2010)