退職願いを受け取ったが・・&若い社員が喧嘩して・・・

喧嘩

自動車整備士・整備工場の労務相談室

せいび界2012年11月号Web記事

Q、退職願を受け取ったが・・・

先日、工場長が「独立する」と言って、退職願を出してきた。とりあえず、私は「預かっておく」と言い、その場は終わった。

しかし翌日に工場長が「やはり撤回したい」と申し出てきた。この場合は、「法的に」どうなるのだろうか?

A1、

当社員が会社を退職する場合、退職願を提出することが一般的です。

では、この退職願は

○社員からの一方的な労働契約の解除 (提出=有効) なのか?

それとも、

○労働契約の解約の申し込み (提出=単なる申し込み) なのか?

どちらになるでしようか? この場合、提出したものが「辞表」ならば、「提出=有効 (労働契約がその時点で解除)」

となります。

しかし、「単なる退職願」であれば、「提出=有効」とはならないのです。つまり、労働契約が終了にはならないのです。 実際に次のような判例があります。

<全自交広島タクシー事件 広島地裁 昭和60年4月>

この事件は、退職願が「即時解約か、合意解約か」で争われました。 そして、判決は

○雇用関係は信頼が重視される継続的関係

○ー般的には、従業員は円満退職を求める

○会社側も同じため、退職願は労働契約の合意解約の申し込み

となったのです。 つまり、「退職願の提出=退職の申し込み」ということです。 だから、「退職願=有効」となるための条件は、

(1) 従業員が退職願を「提出」
(2) 会社側が「承諾」
(3) 退職が「決定」

となります。

今回のケースでは、退職願を「預かっている時」に撤回してきました。また、社長も 「預かっておく」と言っています。

だから、「承諾前=撤回が可能」となるのです。

しかし、社長がその場で「分かった」と言っていれば、「分かったという発言=承諾」 となり、「法的には」撤回できません。もちろん、現場では弾力的な運用が必要になります。

ただ、こういう部分が保全されていないため、行き違いが生じることもあります。

そこで、就業規則に「退職の手続」を記載しましよう。

<記載例>

第○条 (退職手続)

(1) 社員が自己の都合により退職しようとする場合には、少なくとも1ヶ月前までには、退職願を提出しなければならない。

(2) 前項により退職願を提出した者は、会社の承認があるまで従前の職務に服し、その後は職務引き継ぎ等、会社の指示に従わねばならない。ただし、退職願を提出後、2 週間を経過しても承認について、何ら返事がない時はその経過した日をもって承認されたものとみなす。

ちなみに、(2)は民法によります。しかし、市販の就業規則のひな型では、「退職願提出後2週間経過した日が退職日」としている場合もあります。もちろん現実的に2週間では引き継ぎが出来ない場合もあります。

だから、大切なことは

○(1)のように1ヶ月とすること(例)

○会社の業務がきちんと引き継がれること ということです。ちなみに1ケ月が一般的ではありますが、職種によっては2〜3ケ月 という場合もあるでしよう。

ただし、法的に完全に縛れる訳ではありませんが、確実な有効性はあります。また、 そもそも従業員は就業規則に同意していることが前提*です。

※雇用契約書にその旨の記載が必要 ←重要!

だから、「就業規則に記載=確実な有効性」と言えるのです。当然ですが、就業規則は「現 実的に運用できるか」を考えて作成すべきなのです。

 

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