就業規則

就業規則を作りたい&社員が精神病の疑い?

自動車整備士のお仕事・労務について労務相談室

せいび界2013年5月号Web記事

Q、就業規則を作りたい

この連載でも再三に亘って、「就業規則を作った方がいい」というアドバイスがあるので、弊社でも作りたいが、どう作っていいか途方に暮れている。作るに当たってのポイントは何かあるだろうか?

A、

よくいただくご質問に、「就業規則はいつ作ったらいいのでしょうか?」というものがあります。就業規則は労働基準法に沿って、社員が働くルールを決めるものです。そして、「社員が10 人以上になったら作るもの」となっています。

ちなみに、この「10人」という数字には正社員だけでなく、パート(一定の労働時間を満たした人)なども含まれます。

ですから、「正社員9人-作成義務なし」「正社員3人、パート7人-作成義務あり」となるのです。つまり、正社員もパートも「従業員」として合算して、判定をするのです。

さらに、10人という数字ですが、「企業単位で見るのか?」「事業所単位(=支店、工場単位)で見るのか?」と質問をいただくことも多いです。これは「事業所」単位となります。

ですから、1つの事業所に10人以上の従業員がいる場合、事業所ごとに所轄の労働基準監督署に就業規則を届け出るのです。このように10人というルールの部分だけでも細かな決まりがあるのです。

それから就業規則を作る場合の手続きを解説しましょう。必要な手続きは、①従業員の代表から意見を聞き、意見書を提出してもらう、または、①従業員の過半数が加入する労働組合から意見書を出してもらう、②就業規則を事務所に備え付け、閲覧可能な状態にする、ということです。

まず、①についてです。この意見書を提出して、会社が作成した就業規則を労働基準監督署に届け出るのです。ちなみに、反対意見や批判的な意見があっても、法的には受け取る義務があるので、労働基準監督署は受付ます。

しかし、現実的には、「社員の同意が得られていないなら、作り直した方がいいですよ」と言われ、戻されることもあります。ここはケースバイケースとなります。

また、従業員代表などから意見書が提出されない場合もあります。この場合は、意見を求めても提出されなかった経緯の説明文書を添付すればOKです。いずれにせよ意見書などがないと受け付けをしてくれません。

それから②の就業規則の周知についてです。就業規則を作っても、保存場所が社長の机の中では意味がありません。作成した就業規則は社員に知らせないとその効果がないのです。

労働基準法では、「事業所に紙媒体で備え付け、誰でも閲覧できる状況にする」「社内のイントラネット等で誰でも閲覧できる環境にする」などが法的に求められています。これに関して、参考となる判例があります。

 <フジ興産事件 最高裁 平成15年10月>

  ○ 社員と得意先との間でトラブル発生
○ この対応に関する上司の指示に反抗的な態度を取る
○ 上司に暴言を吐くなど、職場の秩序を乱した
○ 会社は就業規則により懲戒解雇を実施
○ 社員は「就業規則が職場にない」とし、解雇無効を主張

たったこれだけのことなのに、裁判は最高裁までもつれ、結果は解雇無効となったのです。
つまり、会社は敗訴したのです。

ちなみに、地裁、高裁では会社の勝訴でした。なぜならば、これまでの判決に「就業規則は周知されていなくても解雇は有効」という傾向にあったからです。「就業規則が周知されていなくても、解雇に相当するレベルの行為があれば、解雇は有効」という流れだった
のです。

それがこの平成15年の最高裁の判決で流れが大きく変わったのです。どんなものもそうですが、最高裁での判決は世の中の流れに大きく影響します。この判決の中で、会社の敗訴理由として、「就業規則の効力を発生されるには労働者に周知させる手続きが必要」「社員がいた事業所は就業規則を備え付けていなかった」となっています。

つまり、就業規則を作っただけでは効果はないのです。社員に伝えて初めて効果が発生するのです。現実問題として、「社員が入社するごとに、就業規則の場所を教えている」という会社はそれほど多くありません。

ということは、結果として、「社員は就業規則がどこにあるか分からない」となっているのです。これを防ぐためには、新入社員が入社したら必ず渡すマニュアルなどを作成し、そこに就業規則の保存場所も記載しておきましょう。

こうしておけば、本人が「読まなかった」「知らなかった」ということは通りません。簡単なことですが、ちょっとした工夫で会社のリスクは減らすことができるのです。

 

次ページは、社員が精神病になったら・・・

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