掃除活動は労働か

始業前の清掃時間は労働か?&社会保険料を下げるには?

自動車整備士・整備工場の労務相談室

せいび界2012年1月号Web記事

Q、始業前の清掃時間は労働か?

ウチは地域貢献の一環で始業前に社内だけでなく、周辺道路まで清掃を行っている。しかし、中途入社の社員が「清掃は会社の指示で行っているから、この時間は労働時間だ。だから残業代をもらわないとやりたくない」と言い出した。この時間は労働時間に含まれるのだろうか?

A、法律上、労働時間の定義は、

○会社の指揮下にある
○上司の命令で働いている
○待機時間なども含まれる

となっています。

これに対して、

○休憩時間
○通勤時間

などは労働時間に含まれません。ただし、グレーな部分もあります。だから、今回のように労働時間に関するご質問をいただくのです。例えば、

○昼休みの受付担当 → 労働時間になる

○休日の研修会 → 強制参加なら、労働時間になる。自主参加なら労働時間にならない

○上司からの指示がない残業 → 上司が黙認なら労働時間になる

○朝のラジオ体操 → 強制参加なら労働時間になる

つまり、労働時間は「強制」、「指示」などの実態で判断するのです。

では、今回のご質問の場合はどうなるのでしょうか? この会社では全員が掃除をしています。だから、法律上は労働時間となります。しかし、これと違う判例もあります。

具体的には、「仕事前30分程度は準備の時間」という判決です。つまり、「準備時間は労働時間ではない」としたのです。故に、「残業代の支払いも不要」となったのです。

ここからが大切な話です。では、このケースで労働基準監督署の調査が入ったらどうなりますか? おそらく大目に見てくれるでしょう。なぜならば、監督官にも「常識」があるからです。

実際、私が調査に立ち会った時、監督官が「良識の範囲で任せます」と言ったこともあります。監督官も多くの中小企業を見ています。権利を主張するだけの社員に、社長が泣かされていることも知っています。

しかし、すべての大目に見てくれる訳ではありません。朝の掃除(準備時間)は「法的には」労働時間だからです。このような場合の対策例は、

○朝の掃除時間も労働時間とする
→労働時間をきちんと決めて守る(社員の義務)
→休憩時間もきちんと決めて守る(社員の権利)

または、

○朝の掃除は強制としない
→社員が自主的に行動する環境を作る

などです。

もちろん、社員が掃除をしない会社も注意が必要です。なぜならば、社長が

○始業30分前に来て、準備をするのは当然だ
○9時は仕事を開始する時間で、会社に来る時間ではない
○もっと早く来い

と言えば、それは業務命令になってしまうからです。

こういう会社は多いですよね。これは朝の掃除を強制している会社とまったく同じ状況なのです。この認識が甘い会社は多いので、注意してください。実際、私に電話がかかった場合、大半の社長さんは、

○認識が甘かったです……

○もっと早くに知っていればよかった……

○知っていれば、対策できたのに……

とおっしゃいます。

そうなんです。事前の準備がすごーーーーーく大切なのです。しかし、

○残業の問題などに気がついている

○うちの会社には来ないだろうと思っている

○放置している

という会社は多いのです。しかし、そんなことはありません。いきなり電話があり、「明日行きます」ということもあるのです。もちろん、準備ができている会社が安心するならOKです。

しかし、大半の会社は準備ができていないのに、安心しているのです。タカをくくっているのです。皆さんもお気をつけください。

 

Q2.社会保険料を下げるには?

ウチは業績は右肩上がりではないものの、何とか横ばいを維持しているという状態なので、少しでも利益を増やせるようにコスト削減に力を入れている。しかし、それもやり尽くした感があり、残るは社会保険料かと考えている。とはいえ、社会保険料を下げるには給料を下げるか人員を減らすしか考えられず、頑張っている社員を思うととても実行に移せない。他に社会保険料を下げる手段はないものだろうか?

 

A2.

社会保険料は給与の額で決まるから、高くても仕方がないと思っていらっしゃいませんか? たしかに給与の額をベースに社会保険料が決まります。しかし、この給与の額には一定の幅があるのです。そして、同じ幅の範囲内であれば、社会保険料は同じ額なのです。

例えば、月額23~25万円未満が一定の幅(23万円の人と24万9,000円の人は同じ負担)になります。また、月額25~27万円未満が一定の幅(25万円の人と26万9,000円の人は同じ負担)になります。

では、具体例でご説明しましょう。

年収が350万円のAさんとBさんがいます。Aさんの給与は月額25万円で、賞与は夏25万円、冬25万円です。

結果の年収 → 25万円×14ヶ月=350万円

そして、Bさんの給与は月額が24万5千円で、賞与は夏28万円、冬28万円です。

結果の年収 → 24万5千円×12ヶ月+28万円×2ヶ月=350万円

つまり、AさんとBさんは同じ年収です。しかし、Bさんの方が会社が負担する社会保険料は年間2万円少なくなります。そして、Bさんが負担する社会保険料も年間2万円減ります。

だから、年収350万円なら、Bさんの給与体系にした方が、会社も本人も得なのです。もし、同じ条件の社員が15人いたらどうでしょう。2万円×15人=30万円が「何もしないで」削減になります。

○会社は負担が減る

○社員の年収(額面)は変わらない

○社員の手取り額は増える

いかがでしょうか? やらない手はないですよね。さらに年収が高額な社員の場合は、もーーーーーっと効果が出るのです。ぜひ、皆さんの会社でもご検討ください。

ライター紹介

内海正人:日本中央社会保険労務士事務所 代表/株式会社日本中央会計事務所 取締役
主な著書:”結果を出している”上司がひそかにやっていること(KKベストセラーズ2013)、管理職になる人が知っておくべきこと(講談社+α文庫2012)、上司のやってはいけない!(クロスメディア・パブリッシング2011)、今すぐ売上・利益を上げる、上手な人の採り方・辞めさせ方!(クロスメディア・パブリッシング2010)

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