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理論空燃比-故障探求との関連

自動車整備故障診断整備のススメ

せいび界2014年10月号

理論空燃比 - 排気ガスの関連性と故障探求との関連性

スキャンツールを使いこなすために

9月号では理論空燃比と排気ガスの関連性について述べたが、今月号では故障探求との関連性について考えてみる。

調子が悪いクルマというのはエンジン、吸排気系、電装系、様々な場所にトラブルを抱えているからこそ調子が悪いのであって、そこには原因が必ずある。たとえ旧車であっても最新モデルであっても原因の究明、故障探求をしなくては整備自体が出来ない。

当然スキャンツールが重要なファクターとなってくる。現代のガソリンエンジンは調子が良ければ排気ガスのCO、HC、NOX 等はほとんど排出されない。

排ガステスターで計測すればCO、HCともに限りなく0に近い数値のはずだ。これは前回の説明の通りである。ということは、排気ガスを分析すれば空燃比の狂いが分かることになる。

空燃比コントロールを知る

今までは排ガス検査にパスすればメカニックは排気ガスの状態を調べずにいたが、
・COが1%以上
・HCが300ppm以上

排出されて初めて原因を考えていた。しかし今後、車検における排ガス検査基準が厳しくなることを考えると、車の制御システムを理解していなければ故障探求が難しくなる。

その制御の一つが空燃比コントロールである。だからこそ排ガステスターを常備する必要もあるし、車検毎と言わず入庫毎にスキャンツールを繋ぐことが今後の顧客満足度向上にも繋がる。

エンジンチェックランプが点灯した時にだけスキャンツールを使っていては理解が難しくなる。理解を深めるためにもまずは日常的にスキャンツールに慣れていただきたい。

空燃比コントロールの理屈を知る

排気ガスのチェックは車検基準を満たしているからOKではなく、測定した数値を見てCO、HCが高い場合は何故か、ということを考える必要がある。
何度も何度も繰り返しになるが、筆者が整備工場を回るとこんな言葉を聞く。「排ガス検査で引っかからなかったラッキーだった」と。これは整備士しては非常に残念な言葉だ。

何も無くて排ガス検査に通ったのか、それともたまたま排ガス検査に通ったのか、不備がある、不安があると知りながらも排ガスチェックをしていない証拠である。こんなことにならないためにも空燃比コントロールの理屈を知ってもらいたい。

CO2COHC
 最適燃焼非常に高い低い非常に低い
燃費良好低い低い低い
混合気濃い低い高い高い
混合気薄い低い非常に高い高い

(排ガスの状態)
O2センサーについて先月号で触れたがO2センサーは空燃比コトロールにおいて重要な部品であり、スキャンツールでチェックすべきである。

図にあるようにラムダ1(理論空燃比)にコントロールされていればCO、HC、NOXが一番低くなるラムダ1の状態で三元触媒が排ガスを浄化すればそれら全てが低くなるという理屈だ。これがラムダコントロールである。

裏を返すとCO、HC、NOXが高いということは空燃比をコントロールしている何かが故障しているということになる。その中の一つが前回、今回で取り上げているO2センサーなのである。

では、O2センサーは何をしている部品なのか? それはO2センサーが取り付けられている場所を見れば分かるはずである(詳細は2月号、3月号を参照。弊社ホームページで電子書籍でも閲覧可能)。

O2センサー以外にも空燃比をコントロールしている物、または影響を与える物は他にもある。今後はそれらの物を数値化してみる必要がある。そのためにスキャンツールが必要になる。

エンジンの燃焼を理論空燃比コントロールして触媒が効いていれば理論上マフラーからはCO2(二酸化炭素)とH2O(水)しか出ない。

指で触ってもカーボンが付かない。もちろん車の調子がよければ燃費も上がる。そのような整備をしてこそプロフェッショナルではないだろうか。

排ガステスターコード一覧

監 修:ボッシュ株式会社 長土居大介

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