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中澤雄仁弁護士の法務相談室 債権法が改正されたと話題になっているが、我が社でも対応が必要になるのか?

昨今、債権法が改正されたという話題について耳にすることも多いのではないかと思います。そもそも、債権法という名称の法律は存在せず、債権法改正というのは民法の一部分の改正のことを指しています。民法は、契約等に関するルール(債権法)を定めている他、所有権や抵当権といった権利関係(物権法)、さらには婚姻制度や親子関係、相続制度などのルール(家族法)などを定めている法律ですが、これらのうち、契約等に関するルールを定めている部分が債権法と呼ばれており、先日、債権法に関する規定と民法総則と呼ばれる民法の解釈の基本となる部分の一部が改正されました。
約120年ぶりの大改正が行われた
現行の民法が明治29年に制定された後、抜本的な改正は行われてきませんでしたが、平成29年5月26日、民法が改正されて債権法の規定が抜本的に改正されました。約120年ぶりの大改正である上、民法はあらゆる私人間の契約関係に適用される一般法として位置づけられているため、民法改正に伴い関連する他の法律も改正されます。
また、契約に関するルールを規定するものですので、大企業のみならず、あらゆる企業・個人に影響を与える法改正です。

債権法の抜本的な改正に至った主な理由としては、①社会経済情勢の変化への対応、 ②債権法を国民一般に分かりやすくする、との2点が挙げられます。
①について言えば、日本に初めて自動車が持ち込まれたのは明治31年のことですので、現在の債権法は、自動車が日本に存在する以前の社会情勢や価値判断に基づいて制定されたものです。
コンピューター等の発展により、面談や書面の郵送以外の方法による契約の締結も一般化してきており、帳簿の電子化等も進み債権管理の方法も容易となっています。クレジットカード決済や各種の保険契約など120年前にはなかったような態様の取引なども存在していますので、このような社会経済情勢の変化に対応するため、債権法を改正する必要がありました。
②についていえば、実務の運用や裁判例などで、解釈が定着しているものの、民法の条文には明確に規定されていないもの(一例をあげれば、敷金といった制度については、これまで民法に規定がありませんでした)があります。
それらの内容を、条文に落とし込むことで、民法を国民一般にとってより分かりやすくするという意味があります。

②の理由に基づく改正については、基本的には、従来の解釈を条文に反映したものですので、契約書のひな型等を変更しなくとも対応できる場合も多いのですが、①の理由に基づく改正については、新制度の開設ですので、契約書のひな型の変更など、様々な対応が必要になります。
大改正された債権法が施行されるのは、平成32年(2020年)4月1日からとなっており、それに向けた準備が必要になろうかと思います。改正の内容が多岐にわたっているため、次回以降、特に対応が必要になりそうな改正について解説していこうと思います。

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