パワーウインドによる事故に注意 国民生活センターが挟み込み防止機能の実態を調査

国民生活センターは2026年7月1日、自動車の「パワーウインド」による子どもの挟み込み事故に関する報道発表資料を公表した。過去3年間だけでも幼児が窓ガラスに首を挟まれて死亡する重篤な事故が2件確認されているとし、消費者アンケート調査とパワーウインドの動作テストの結果を踏まえ、消費者への注意喚起とともに、業界団体・行政に対しても対策の徹底を要望する内容となっている。整備事業者や部品商にとっても、点検・整備の現場やユーザーへの情報提供の観点から押さえておきたい内容である。

調査の背景

パワーウインドはスイッチ操作で窓ガラスを電動開閉する装置として、多くの車両に標準装備されている。操作が容易である一方、子どもが遊びでスイッチを操作したり、運転者が窓ガラスの状態を確認しないまま動作させたりしたことによる事故が発生している。国民生活センターは1999年4月、2003年1月、2010年7月にも注意喚起を行っており、国土交通省も2010年12月に注意喚起を実施している。今回はそれ以降も医療機関ネットワークに事故情報が継続的に寄せられている状況を踏まえ、2026年3月から5月にかけてアンケート調査とテストを実施した。

パワーウインドの仕組みと安全機能

現在主流となっているのは、スイッチを押すと窓ガラスが下がり、引くと上がる方式。運転席にはスイッチを一度強く引く(または押す)だけで窓ガラスが最後まで自動的に閉まる(または開く)「Autoスイッチ(ワンタッチ式)」が標準的に装備されている。あわせて、窓ガラスの上昇中に異物の挟み込みを検知すると自動的に停止・反転する「挟み込み防止機能」を備える車種もある。ただし、この機能はすべての車両・すべての窓に装備されているわけではなく、スイッチを引き続ける操作を継続した場合には作動しないケースがあることも今回のテストで確認された。

報道・医療機関ネットワークに寄せられた事故事例

報道情報からは、2023年・2024年に後部座席の子どもが窓ガラスに首を挟まれ、意識不明の重体となった事例や死亡事例が確認された。いずれも保護者が窓を閉める操作を行った際、後方の状況を十分に確認していなかったことが背景にあるとみられる。

また、消費者庁と国民生活センターの共同事業である医療機関ネットワークには、2010年度以降の約16年間で17件の事故情報が寄せられており、指の挟み込みによる負傷のほか、窒息や骨折を伴う事例もみられた。子ども自身がスイッチを操作して挟まれたケースや、後部座席のロックを一時的に解除していた際に発生したケースなど、状況は多岐にわたる。

消費者アンケート調査の主な結果

過去5年以内にパワーウインドで自身または同乗者が挟まれた、または挟まれそうになった経験があると回答した全国の20〜69歳の男女500人を対象に実施したインターネットアンケートでは、次のような傾向が明らかになった。

  • 入院・通院を伴う事故の経験があったのは4.6%(23人)で、打撲・骨折のほか、切断や窒息といった重篤なけがも各1人みられた。
  • 入院・通院を伴う事故の74%が後部座席で発生していた。
  • 500人のうち42人が、同乗中の乳幼児がパワーウインドに挟まれた経験があると回答。乳幼児が挟まれた事例の84%が後部座席で発生していた。
  • 乳幼児が挟まれた事例のうち70%は「窓ガラスを閉める操作」中に発生しており、事故原因としては「周囲の状況や挟み込みの有無の確認不足」が63%を占めた。
  • 乳幼児が挟まれた経験のある回答者の約半数で、チャイルドシートが対象年齢に適合していない、ベルトが外れていた、そもそも使用していなかったなど、正しく使用できていなかった可能性がうかがえた。

車両テストの結果

製造・販売台数等を参考に、ハッチバック・SUV・ミニバン・軽自動車など代表的な7銘柄を選定し、パワーウインドが閉まる際の力や開閉時間、挟み込み防止機能の特性を調査した。

  • 全席に挟み込み防止機能が装備されていたのは7銘柄中2銘柄のみ。運転席には全銘柄で装備されていたが、助手席・後部座席では非装備の車両も多かった。
  • 挟み込み防止機能が作動しない状態でパワーウインドが閉まる際の力は173〜375N(約17.6〜38.3kgf)に達し、最大値を示したのはハッチバックタイプの軽自動車だった。閉まる力は車両や窓の大きさに単純には比例しないことも示された。
  • 過去の調査結果を踏まえると、閉まる力が300N(約30.6kgf)程度になると、大人でも片腕で窓ガラスの動きを静止させることが困難になるとみられる。
  • 全開から全閉までの動作時間はいずれの銘柄も概ね2〜3秒で、窓ガラスの厚さは約3㎜前後だった。短時間で大きな力が加わることから、挟み込み時の危険性は高いと考えられる。
  • 挟み込み防止機能を備えた銘柄でも、Autoスイッチを使わず手動でスイッチを引き続ける操作を繰り返すと、2度目以降は機能が作動せず窓ガラスが閉まってしまうケースが確認された。

消費者へのアドバイス

国民生活センターは、次の4点を消費者への注意点として挙げている。

  1. 乳幼児を同乗させる際は、対象年齢・体格に適合したチャイルドシートを取扱説明書に従って正しく使用し、ベルトを確実に装着すること。
  2. パワーウインドの危険性や操作方法、挟み込み防止機能の有無について、取扱説明書で正しく理解しておくこと。
  3. 子どもが同乗する際はパワーウインドのロック機能を活用し、子ども自身による誤操作を防ぐこと。
  4. パワーウインドを操作する際は自動車を停止させるなどして、窓ガラスが閉まる状況を目視で確認してから行うこと。

業界・行政への要望

国民生活センターは、消費者庁、こども家庭庁、国土交通省、一般社団法人日本自動車工業会に対し、パワーウインドの挟み込み事故防止に向けた消費者への注意喚起・啓発の継続を要望した。あわせて業界に対しては、スイッチを引き続けた場合でも挟み込み防止機能が確実に作動する設計とすること、挟み込みが発生した際に操作者が音や光などで速やかに気づける安全機能の開発を進めることも求めている。情報提供先には日本自動車輸入組合、日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会、日本自動車連盟なども含まれている。

整備業界への視点

今回の調査結果は、挟み込み防止機能の有無や作動特性が銘柄によって大きく異なることを示しており、点検・整備の現場でユーザーに車両ごとの仕様を正確に伝える重要性を改めて浮き彫りにしている。車検・点検時にパワーウインドの動作確認やロック機能の説明を行う機会は、事故防止の啓発ポイントとしても活用できるだろう。

出典:独立行政法人国民生活センター「パワーウインドによる事故に注意!」(2026年7月1日公表)

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