社員貸付制度を設けたい&社員同士がケンカをしたら?

ケンカ

自動車整備士のお仕事・労務について労務相談室

せいび界2013年4月号Web記事

Q、社員貸付制度を設けたい

政権が変わり景気回復に期待がかかる状況だが、個社レベルでいえばまだまだ好景気とはいえない。社員のことを思うと昇給をしてやりたいが、現状ではそれも難しい。代わりといっては何だが、社員貸付制度を設けたい。どのようにしたらよいのだろうか?

A、

大手の会社では社員貸付制度が昔からありますが、最近では中小企業でも増えています。ご質問の趣旨以外にも、従業員が消費者金融からお金を借りた結果、滞納し、給料を差し押さえられたので、今後はそれを防ぎたいという趣旨での導入もあるようです。

いずれの趣旨にせよ、社員貸付制度を作る上でのポイントは、まず、「給料と会社が貸したお金は相殺できない」ということです。労働基準法第17条にも書かれており、「貸付金があるから働かざるを得ない」という拘束を禁止しています。

また、給料から差し引けるものは、法律上決まっています。例えば、以下のものです。

  ○ 法律上のもの(例:税金、社会保険料)
  ○ 労使協定で決められたもの(例:寮費、社内預金、共済費)

逆に言えば、これら以外のものは「勝手には」差し引けないのです。しかし、現金での返済では事務手続きが煩雑になります。ですから、会社がお金を従業員に貸し、返済してもらう場合、現実的には給料からの天引きとなっています。

これは、以下の前提で、給料からの天引きがOK となるのです。

  ○ 社員貸付制度の規定がある
  ○ 福利厚生が目的である
  ○ 返済に関する労使協定がある

社員貸付制度を作りたいなら、まずは規定作りから始めましょう。そして、次の項目を決めましょう。

  ○ 目  的(例:社員の福利厚生のため)
  ○ 金  利(例:外部からの借入金の最低金利に0.3% 上乗せ)
  ○ 対  象(例:勤務3 年以上の正社員のみ)
  ○ 限 度 額(例:一般職は100 万円以下、課長職は300 万円以下)
  ○ 使  途(例:ケガ・病気の緊急時、教育資金、資格取得)
  ○ 担  保(例:連帯保証人1 名)
  ○ 返済方法(例:最高3 年以内で毎月25 日に元利均等返済)
  ○ 禁止事項(例:返済が終わるまでは、再度の借入不可)
  ○ 手 続 き(例:申請用紙のひな形、金銭消費貸借契約書、返済予定表)

そして、労使協定を結ぶのです。労使協定とは、「従業員の過半数で組織する労働組合の代表者」、または、「従業員の過半数の代表者(労働組合がない場合)」と会社が書面で締結します。

なお、労使協定は労働基準監督署に届け出る必要はありません。繰り返しになりますが、労使協定を結ばないと、給料から天引きできないのです。

不況が続く現在、昔のような定期昇給はできない会社もあります。

現在の世の中を考えると、社員貸付制度は企業規模を問わず、大きな意味のある制度です。ただし、中小企業の場合には、この制度を導入したくても、資金的に厳しい場合もあります。

この場合は東京都中小企業従業員生活資金融資等の公的融資もあります(他府県、市区町村でも同様の制度があります)。この制度は会社が貸すのではなく、東京都などが従業員に貸してくれる制度です。

消費者金融で借りるなら、まずはこの制度を検討すべきです。この制度を社員に紹介しましょう。少しの工夫でも、従業員が安心して働くことができるのです。

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