整備振興会の制度疲労

制度疲労が露呈「整備振興会」 ③OSSとは

OSS導入とは

制度疲労が目立ち始めた「整備振興会」について、一般社団法人東京都自動車事業振興協会の主な理事や学識者で構成する業界問題委員に集まってもらい、既存組織の問題点や課題について自由に議論をしてもらった。
制度疲労が露呈「整備振興会」②の続き

制度疲労が露呈「整備振興会」①はこちら

A 自動車の購入と保有には多くの手続き、税の納付があり、これをオンラインで一括して行う「自動車保有関係手続きのOSS」が開始され、新車新規登録の六割がOSS利用となっています。政府はこれを2017年1月までに全国拡大する計画であり、同時に継続検査にも広げる計画を進めています。このことを委員のみなさんは、どのようにとらえていらっしゃるのか伺いたい。
OSS=ワンストップサービス

C 私が一自動車オーナーという立場で見ると、あんまりメリットをが感じられない思いが強いです。一方、業界人としてみても既存の整備振興会などはのほほんとしているが、組織の収入が激減するなど組織運営に不安を感じていないのが不思議。

E OSSで、組織が立ち行かなくなる心配があるとはどういうことなのか。

A OSSにはいくつかの問題点があります。まず現行の整備振興会のメイン収入が車検割り会費など各地方地方でバラバラの金額を会費に組み込んでいる。これを日整連は「保安基準適合証管理システム」を構築して、全国一本にする計画です。また、税など手数料の取り扱いも各地バラバラ。これもどうなるのか決まっていない。これだけでも収入が増えたり激減する地区も出てくる。

D 自分たちがあちこちの役所や保険会社など回らなくてもよい、という理解だけだったのだが、伺っていると、どうも既存組織には激震が来るようですね。

B 先ほども申し上げたことですが、車検制度がこのまま存続するとは思えない。そうしたときにOSSはフォローにもなればアゲインストの風にもなる。こうした新制度を導入するときは、ぜひとも、結果として起きるだろう予見を十分にして、最近の例でいうとヘッドライトテスター照射テストで、車検が通らないで混乱となったようなことが起こらない措置をしてもらいたい。

D 本当に、ライトテスターでは、想定もせずに施行するチョンボを起こしている。もっと慎重にしてもらいたいね。

F 国交省のチョンボはこれに限ったことではないようですね。内輪だけで議論しているからこんなことが起きる。これなども制度疲労の一部と言えなくもない、と思いますね。

A その意味でいうと、現在、保適証管理システムを検討するチームを、傘下の各地方ブロックの代表専務理事に一任するようだが、これも中央団体に直言できない元運輸局出身者だけで構成する心配が出ている。もっと各方面の意見集約でまとめてもらいたいと思っているところです。

C いまの話を伺っただけでも、現在の振興会の主な収入源が風前の灯に見えて仕方がない。だから、現在の振興会の運営を適正にし、人員をできるだけ削減すること、支出を抑えること、など対策を打って置かないと大変なことになると思う。

A いまの会費収入は、さきほど申し上げたように車検台数で支払う方式を、振興会と商工組合で案分する方法がほとんどです。これを続けようとすると、保適証システムを販売店組織、中販連組織など横にも広げないと回りません。そうなると、車検、定期点検、ステッカー収入など必要なのか、販売店が大きく負担する現行方式への疑問も露呈する。振興会に加盟していない事業者からも会費を徴収する現在の方式の矛盾が露呈する。B氏がおっしゃったように、今後の車検制度の在り方まで議論が膨らむことも想定され、日整連だけの検討でよいのか疑問が残ります。

C 会員事業者が年々減少することも想定しておく必要がありますね。ところで、役所の問題に関連することですが、国家公務員倫理規程があらためて提起されている。つまり、マイナンバーで厚労省の贈賄、収賄事件、国土交通省の汚職事件、農水省の独立法人不正経理、車検情報を漏らした運輸局職員の違反事件など枚挙にいとまがなく起きている。本会にも、一般社団法人を取得したときに通達を受けたと聞いているが、現状はどんなか聞いているか。

A 残念なことですが、国家公務員の禁止行為は、まだまだ守られているとは言えない。利害関係者からの金品の贈与、供応接待、飲食を伴うパーティー等への隣席の在り方、など公務員に徹底されているとは言えない。一番身近のことでいうと、研修で使う教材の報酬受領なども相変わらず授受されている。受領する側が個人ではないが、実在しないグループ名など使って法外な報酬がやり取りされている。これなど、訴えればたちまちお縄になってしまう。

こうしたことが国家公務員の倫理規定で厳し禁じられていることを、国土交通省の役人も改めて自戒してほしい。

制度疲労が露呈「整備振興会」①

制度疲労が露呈「整備振興会」②公益法人は適正運営されているか

AD
 data-src=有償運送許可研修を毎月開催" width="650" height="178" >

有償運送許可研修を毎月開催

せいび広報社では毎月、事故車故障車等の排除業務に係る有償運送許可の研修会を実施しています。会員限定ではなく、全国どの地域からも、法人・個人事業主でもどなたでもご参加いただけます。研修の受講者は、会社の代表者・経営者に限らず、従業員の方でしたらどなたでも、会社を代表して受講していただくことが可能です。

CTR IMG