ソニー・ホンダモビリティ(SHM)は2026年3月25日、共同開発していた電気自動車(EV)「AFEELA(アフィーラ)」の開発および販売を中止すると発表した。対象は初代モデル「AFEELA 1」と今後予定されていた後続モデルで、EV事業戦略の見直しが背景にある。
アフィーラは、ソニーのデジタル技術とホンダの車両開発力を融合した次世代EVとして注目を集めていたが、市場投入直前で計画が白紙となる異例の展開となった。
なぜアフィーラは開発中止となったのか
今回のアフィーラ開発中止の主因は、ホンダの電動化戦略の見直しにある。
ホンダはEV投資や商品計画の再構築を進めており、その影響でアフィーラに必要な開発基盤や生産体制の前提が崩れた。結果として、従来計画のままでは事業として成立しないと判断された。
アフィーラはホンダのEVプラットフォームや製造リソースへの依存度が高く、戦略変更の影響を直接受けやすいプロジェクトだった点も大きい。
発売直前での中止 AFEELA 1の行方
「AFEELA 1」は北米で2026年後半、日本では2027年前半の販売開始が予定されていた。
すでに展示会では量産仕様に近い車両が公開されており、開発は最終段階に入っていたとみられる。それだけに、今回の開発中止は自動車業界に大きなインパクトを与えている。
なお、予約済みユーザーに対しては預託金の全額返金が実施される。
整備業界への影響 EV時代の投資判断に警鐘
アフィーラの開発中止は、整備業界にとっても無関係ではない。
同車はソフトウェア中心の車両設計やOTA(無線アップデート)を前提とした次世代EVであり、従来とは異なる整備・診断対応が求められるモデルだった。
そのため現場では、
- 高電圧対応設備の導入検討
- EV・ソフトウェア診断スキルの習得
- 新規ブランド対応の準備
といった動きを視野に入れていたケースもある。
今回の中止は、こうした「先行投資のリスク」を改めて浮き彫りにしたといえる。
EV戦略の揺らぎとハイブリッド回帰
現在、自動車メーカー各社はEVシフトを進める一方で、需要の伸びや収益性を見極めながら戦略の見直しを進めている。
ホンダもその一例であり、ハイブリッド車(HEV)への軸足を強める方針を示している。
これは整備業界にとって、
- エンジンと電動の複合整備需要の継続
- 既存スキルの活用余地
- 急激なEV専用投資の回避
といった現実的なメリットももたらす。
今後の整備業界に求められる対応
アフィーラ開発中止は、「EV時代の不確実性」を象徴する出来事といえる。
今後、整備事業者に求められるのは、
- 特定メーカーに依存しない体制づくり
- 汎用的な電動化・診断スキルの強化
- 段階的な設備投資
といった柔軟な対応だ。
EV化の流れは続くものの、その進展スピードや方向性は一様ではない。
今回の事例は、整備業界に対し「どの技術に、どのタイミングで投資するか」という判断の重要性を改めて示したといえる。

