準備の時間は労働時間に入る?&休日にかかる残業代は高くすべき?

2015年8月4日

Q、休日にかかる残業代は高くすべき?

周辺で廃業した工場があったせいか、このところ入庫台数が増えており、先月も社員が残業する日が何日かあった。そのことで、ある社員が「私は金曜日に残業して、12 時を回って土曜日になったことがあったが、同じくらいの時間を平日に残業したA 君と同じ残業代なのは納得がいかない」と言ってきた。休日にかかる残業は高めに払うべきなのか?

A、

ご質問にある社員さんをBさんとし、Aさんの場合と比較してみましょう。共に、定時の終業時刻は午後5時とし、残業代のベースとなる時間単価は、1,000円とします。Aさんは月曜日に残業し、午前2時まで働きました。Bさんは金曜日に残業し、土曜日(休日※)の午前2 時まで働きました。 ※この休日は法律上の休日とします。
この場合、両者とも午後5時~午後10時は通常の残業、ただし、Aさんの場合は午後10時~午前2時が深夜残業なのに対し、Bさんの場合、午後10時~午前0時はAさんと同じ深夜残業ですが、午前0 時~午前2 時は深夜の休日出勤となるのです。

A さんの場合次のようになります。

○午後5 時~午後10 時の残業代…通常よりも25% 増
→1,000 円×1.25=1,250 円で計算
○午後10 時~午前2 時の残業代…さらに25% 増(=50% 増)
→1,000 円×1.5=1,500 円で計算

一方、B さんの場合、次のようになります。

○午後5 時~午後10 時の残業代…通常よりも25% 増
→1,000 円×1.25=1,250 円で計算
○午後10 時~午前0 時の残業代…さらに25% 増(=50% 増)
→1,000 円×1.5=1,500 円で計算
○午前0 時~午前2 時の残業代…さらに10% 増(=60% 増)
→1,000 円×1.6=1,600 円で計算

このようにAさんとBさんでは同じ2時まで残業したとしても、計算方法が異なるのです。

Bさんの例をさらに深く掘っていきましょう。ここでは土曜日を休日としています。ただし、この休日が会社が任意で決めた休日か、法律上の休日かということによって、さらに取り扱いが変わるのです。

(1) 土曜日を会社が任意に決めた休日とした場合

→土曜日は休日であっても、残業の計算上は休日と考えない
→午後5 時~午後10 時は通常の残業
→午後10 時~午前2 時は深夜の残業(深夜の休日出勤ではない)
→結果として、月曜日に残業したA さんと同じになる

(2) 土曜日を法律上の休日とした場合(=B さんの例)

→土曜日まで食い込んで残業した分は深夜の休日出勤
→午後5 時~午後10 時は通常の残業
→午後10 時~午前0 時は深夜の残業
→午前0 時~午前2 時は深夜の休日出勤

これをベースに計算してみましょう。計算上の単価は上記と同じで1,000 円とします。

(1) 土曜日を会社が任意に決めた休日とした場合

○午後5 時~午後10 時(通常の残業)
1,000 円×1.25×5 時間=6,250 円
○午後10 時~午前2 時(深夜の残業)
1,000 円×1.5×4 時間=6,000 円
○合計 12,250 円

(2) 土曜日を法律上の休日とした場合

○午後5 時~午後10 時(通常の残業)
1,000 円×1.25×5 時間=6,250 円
○午後10 時~午前0 時(深夜の残業)
1,000 円×1.5×2 時間=3,000 円
○午前0 時~午前2 時(深夜の休日出勤)
1,000 円×1.6×2 時間=3,200 円
○合計 12,450 円

このように結果としての残業代が変わってくるのです。

しかし、多くの会社の就業規則では、法律上の休日と会社が任意に決めた休日を分けていません。ちなみに分けていない場合は、すべての休日が法律上の休日と見なされます。ですから、上記のうち、(2) の高い方の残業代が適用されるのです。

具体例を挙げましょう。休日を分けていない就業規則には、こう書かれています。

第○条 休日は次の通りとする。
(1) 日曜日
(2) 土曜日
(3) 国民の祝日
(4) 年末年始(12 月30 日から1 月3 日まで)
(5) その他会社が指定する日

しかし、休日の整理を明確にした就業規則はこうなります。

第○条 休日は次の通りとする。
(1) 日曜日
(2) 土曜日
(3) 国民の祝日
(4) 年末年始(12 月30 日から1 月3 日まで)
(5) その他会社が指定する日
2. 前項の休日のうち、法定休日は日曜日とする。

このように分けておけば、誤解も生じず、残業代も安く済みます。ちなみに、これを分けなくても罰則はありません。しかし、トラブル防止、残業代の抑制を考えると、分けることをお勧めします。

なお、休日に関しては会社が自由に決められます。さらに、法律上の休日、会社が任意で決めた休日も会社が自由に決めることができます。しかし、何となく土日は休日としている会社が多いのですが、こういう些細な部分もきちんとしておくべきです。

 

ライター紹介

内海正人:日本中央社会保険労務士事務所 代表/株式会社日本中央会計事務所 取締役
主な著書:”結果を出している”上司がひそかにやっていること(KKベストセラーズ2013)、管理職になる人が知っておくべきこと(講談社+α文庫2012)、上司のやってはいけない!(クロスメディア・パブリッシング2011)、今すぐ売上・利益を上げる、上手な人の採り方・辞めさせ方!(クロスメディア・パブリッシング2010)

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