ミスを隠す社員には?&突然社員が失踪したら?

ミス

自動車整備士・整備工場の労務相談室

せいび界2012年9月号Web記事

Q、ミスを隠す社員にはどう対処すればよいか?

日頃から仕事のミスなど、自分の評価に不利になることを隠す整備士がいる。注意しても、怒鳴りつけても改善されない。どのように対応すればいいだろうか?

A1、

組織で仕事を行う場合、情報を共有化しなければなりません。そこでほうれんそう (報告、連絡、相談) がとても重要になります。

ただし、ミスを上司に報告することは心理的に嫌なものです。結果として、被害が拡大した状況で発覚するということもあります。だから悪い情報ほど「早く」報告し、損害を最小限に食い止めなければなりません。自分の評価を気にするあまりにミスを隠すのは、自分を「一時的に」守るために組織を犠牲にしているのです。結果としては、自分すらも守れていないのです。

この報連相が出来ていない会社は多く、社内の連絡体制の流れが悪い会社もたくさん あります。この場合、いきなりガミガミ言っても効果はありません。 大切なことは次の2つです。

○報連相の形式を整えること
→当社では、状況に応じた報告書の流れを作っています。
→報連相を個人の意識に頼ってはいけません。
→誰が行っても同じになるオペレーションを組むことが大事です。

○コミュニケーションを密にすること
→上司と部下の関係が何でも言える関係を築く。
→関係が出来ていても、言いにくいことは言いにくいものです。

さらに、具体的な形式を整えるという意味では、就業規則に「情報の共有」、「報告、連絡、相談の徹底」を記載しましよう。

例えば、次のように記載します。

第○条 欠勤、遅刻、早退及び休暇の連絡等の届出事項並びにその他職務に関連するすべての事項について、従業員はほうれんそう (日常的に行うべき報告、連絡、相談並びに挨拶、合図等を言う。) を徹底しなければならない。これに違反した場合は、懲戒処分を行うことがある。

私が就業規則のコンサルをする場合、「この規定を抜きますか?」と社長に確認します。

そうすると、100%の社長が「いや、入れておいて下さい」と回答されるのです。それだけ報連相を重視されているということです。

それから、ことあるごとに日常業務の中で、「報連相の大切さ」「情報を隠す危険性」 についても伝えましよう。

日常的に伝えること小さなミスがあったときに伝えることが重要です。

ただし、情報を隠した結果、大きな損害が発生することもあります。この場合、会社は本人に対して「一定の処分」を科すことができます。これについても就業規則に記載しないといけません。

具体的には次のように記載すればいいでしよう。

第○条

従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、情状に応じ、譴責※、減給又は出勤停止とする。

○過失により会社に損害を与えたとき

○虚偽の申告、届出を行ったとき

○重大な報告を疎かにした、又は虚偽の報告を行ったとき

※譴責(けんせき)とは、始末書を提出させ反省を促すこと

もちろん、処分をすることが目的ではありません。ただし、情報共有の重要性を認識してもらうためにも、罰則を設けることは重要です。ただし、実際に処分を行うかどうかは別問題です。あくまで、意識をもって欲しいので形式を整えるのです。

また、上司が部下をかばい、これにより被害が拡大することもあります。これでは上司として「不適格」です。場合によっては、降格することも考えましよう。

さらに、上司自身が情報を隠したり、チェックを漏らしたため、会社の損害が大きくなった例もあります。場合によっては、懲戒解雇もやむを得ないケースもあります。 これに関して、参考となる判例があります。

<尾崎町農協事件 大阪地裁 平成7年4月>

○不正な入出金処理を行った部下がいた

○上司は管理職でありながら、部下の入出金手続きを管理しなかった →通常業務をしていたら、当然気がつく状態であった

○農協は大きな損害を受けた

○上司と部下は解雇になった

○解雇に納得がいかない上司は裁判所に訴えた

裁判所の判断は

○職場秩序を著しく害した

○金融機関として信用を著しく害した

○管理職としてあるまじき行為 として、「解雇は有効」としたのです。

情報の共有は組織の核となるべきことです。報連相の重要性を社員に意識させ、そのオペレーションの形式を整え、運用し、改善を繰

り返すことが重要です。

報連相に関する悩みを打ち明けられることがよくありますが、その会社に共通していることは下記の2つです。

○悪いニュースを報連相すると、必ず怒鳴られる

○報連相の「形式的な流れ」が出来ていない

報連相が流れていない会社には、流れていない具体的な理由があるのです。

これを根本的に改善しない限り、報連相は上手くいかないのです。ちなみに、書類が多すぎて、報連相の流れが悪くなっている会社もあります。 昔、松下幸之助さんは下記の行動を取りました。
(1) 社内の文書を全部、自分のところに集めた
(2) 「必要な書類は取りに来い」と伝えた
(3) 一定期間経過後に誰も取りに来ない書類は廃止した

社歴が長い会社はこういう血の流れが悪くなっている部分もあります。いずれにせよ、「『何が』『どうなれば』、報連相がスムーズにいくのか?」ということを改めて考えてみて下さいね。

 

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