第179回 自動車リサイクル法5回目の見直しの議論(続き)このタイミングでのイランでの戦争・ホルムズ海峡封鎖をいかに考えるか

熊本大学人文社会科学研究部(法学系)・環境安全センター長

外川 健一

1.はじめに

2026年3月2日、自動車リサイクル法の5年ごとの見直しの4回目、20年目の見直しに関する経産省・環境省の合同会議(正式名称は、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG 中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会 第65回合同会議)が、千代田区永田町の東急キャピトルタワーおよびオンラインのハイブリッド形式で開催された。

20年目の見直しの際に、両省が掲げた論点は
①使用済自動車にかかる動向把握 (オートオークション等における解体業者の取引動向も含む)
②不適正な解体業者等の実態把握と対応の検討
③ リサイクル料金の適切な運用と検証
④ 不法投棄・不適正保管車両及び被災車両の適正処理
⑤ 情報システムの効率的な活用
⑥ 自動車リサイクルの高度化
⑦ 再生プラスチックの流通量拡大
⑧ リユース可能な部品の流通促進
⑨ 使用済自動車由来の車載用蓄電池の再資源化の推進
⑩ CN・3Rの高度化
の10点であり、このうち合同会議では、①、②、⑤、⑥、⑦が中心に議論された。そして、これまでの議論踏まえ、20年目の見直しの報告書は、2026年6月9日に開催される合同会議において報告される予定である。
図1は、2026年3月2日の合同会議の資料2経産省・環境省による「自動車リサイクル制度をめぐる各種状況について(補足資料)」の2ページからの抜粋である。つまり、両省は10の課題を挙げつつ、9月からの合同会議の議論を踏まえて、3つの補充資料を準備した。今回はそれぞれを見ていこう。

2.解体業者のオークション参入状況等調査

自動車リサイクル法は、使用済自動車の逆有償という事態でも、いかにリサイクルをシステマティックに、環境調和型に行うかに主眼が置かれていた。そして自動車リサイクル法の仕組みを議論していた2001年から2003年にかけては、オークション会場はあくまでも中古車を求めて、中古車ディーラーが競り落とす場であり、解体業者が使用済自動車を引き取るルートは、新車ディーラー、中古車ディーラー等から、ユーザーの買い替えに伴って発生する中古車を(場合によっては逆有償で)引取っていた。しかし、2026年の現在はまったく事情は異なる。解体業者等からの、使用済自動車の入手困難、オークションでの中古車業者とメシの種となる出品車の奪い合いが起こっている。そこでこの状況がどのようになっているのか、経産省は、(一社)日本自動車リサイクル機構:JAERA、(一社)日本自動車リサイクル部品協議会:リ協にオンライン等で3週間の期限でアンケートを実施した。依頼先は768社、有効回答は177事業者(回収率約23%)であった。

図1

資料)第65回合同会議 資料3-2『自動車リサイクル制度をめぐる各種状況について(補足資料)』p. 2より転載。

この調査では、以下のようなことが報告された。
・解体業者における使用済自動車の調達台数について、2025年は2020年と比較すると減少した一方、オークション経由での調達割合は増加
・調達台数の減少傾向が続いている中、解体業者の85%以上が、使用済自動車の調達台数はこの10年で減少したと回答。 <主なコメント※>・スクラップ相当の車両もオートオークションに出品することがあり、中古車の輸出増加や外国人バイヤーの参入、損害車オークションの開催等と相まって、解体業者に回る車両が減少していると感じる。
・解体業者の50%以上が、オークション経由での仕入割合はこの10年で増加したと回答しており、台数確保の観点からオートオークションへの依存が高まっていると考えられる。<主なコメント>・使用済自動車の引取台数が減って、オートオークションで仕入れることが多くなった。オークションで仕入れなければ台数を確保できない。
・オートオークション全体で入札額が高額化していること等を背景に、解体業者のオートオークションでの落札率は低水準(22%)となっている。
・また、落札率が10%以下にとどまる事業者が約半数(49%)を占めていることから、調達手段として不安定であることがうかがえる。
・使用済自動車の仕入れを目的とした入札金額は5〜10万円帯が最多(31%)であり、多くの事業者は一定の価格レンジ内で入札している。
・一方で、入札上限は20万円以上とする回答が最多(42%)で、実際に20万円以上で最も多く入札している事業者が一定割合(23%)存在。
・解体業者が流札車両を使用済自動車として引き取ったことがある実績について、オークション会場から紹介があった「出品店」からの場合が20%、「オークション会場」からの場合が26%と、既に一定割合存在することが判明。
・法令を遵守していない外国人解体業者への取り締まり強化、実質的な使用済自動車と見られる自動車のオークションへの出品制限やルール作り、海外流出規制などへの要望の声が聞かれた。<主なコメント>使用済自動車が適正なルートで処理され資源循環が持続的に行われる仕組み作りを要望する。/古物商の許可のみで解体する車として引き取りし、壁や区分けもされていない場所で解体作業しているケースがある。/無許可業者への取り締まりとして、解体ヤードの定期的な監査やルール厳正化等の取り締まりを要望する。/オークションの応札保証が高いので、整備業者等も解体に回さずにオークションに出品していると聞く。/エアバックを展開せず解体したり、外観上明らかに使用済自動車と思われるものを出品するなどの業者を取り締まってほしい。使用済自動車の定義の明確化やオークションへの規制などができないか。/事故現状車等が海外に流出してしまっている。走行のキロ数制限や年式制限などにより、輸出に一定の規制をかけ、国外に流れてしまう資源を制限すべき。
そして、解体業者にとってのオートオークション市場での調達環境が懸念される中、中古車輸出事業者や外国人解体事業者は、円安や制度上の優位性(結果として日本人解体業者よりも緩い規制、労働者への社会保険料無払い等)を背景に価格競争力を強めていると考えられる。この点については図2を参照されたい。

図2

資料)第65回合同会議 資料3-2『自動車リサイクル制度をめぐる各種状況について(補足資料)』p. 8より転載。
ところで、以上の調査結果を目にして本誌の読者は何をお感じだろうか?自動車解体業界がコロナ禍以降はとくに口酸っぱく発言し、リ協やJAERAへの調査で訴えてきたことが、再度掲載されただけではないか?実際に、この類の調査はこれまで数年にわたっての調査が行われている。とくにリ協は毎年リサイクル部品市場アンケートを行い、オークションの利用状況も調査している。
参考までにこの1月に公となったリ協30年史から、リ協の市場規模調査の部分を転載する。ここで記載されている「リサイクル料金支払額」とは、基本的にはオークションで使用済自動車を落札する額と同じではないが、この額を最低限支払わないと、オークションでは落札できないことが想定されている。

3.リ協会員社市場規模アンケート調査

リ協が設立以降、10年以上にわたって継続的に実施している調査が、「一般社団法人 自動車リサイクル部品協議会 会員市場規模アンケート調査(「以下、「市場規模アンケート」と略す。」である。
第1回の調査期間は2013年4月1日~2014年3月31日で、調査対象は会員443社で回答は220社(回答率:49.7%)であった。質問項目は、リサイクル部品(リユース・リビルト部品)の国内・海外(輸出)それぞれの売上高と、事業所規模別(従業員数別)を調査した。その結果、国内の部品売上高(新品を含む)は558億2,600万円で、1事業所当たり平均2.5億3,750万円の売上、輸出部品売上高は、160億8,700万円で、1事業所当たり平均7,312万円の売上であった。
第6期(2016年)の第2回調査からは使用済自動車の入庫台数も調査対象に加わった。さらに第7期(2017年)の第3回調査では、使用済自動車を購入する際に支払ったリサイクル料金の額(仕入額ではないことに注意)も調査対象になった。
第8期に行われた第4回(2017年)の調査からは、調査期間を1月1日から12月31日までとした。第1回より第3回までは、会員社に直接郵送にてアンケート用紙を送り、回答書を同封の返信用封筒にて回収してきたが、回答率を高めるため、第4回より各団体事務局経由にてアンケート用紙の送付、回収をしてもらう方法に変更した。しかし、結果的に第3回と同数の回答となった。また、調査対象各社に、従業員数(正社員・パート・アルバイトそれぞれ)、新品部品を含む部品売上金額も調査するようになった。第4回のアンケート調査の結果としては、国内リサイクル部品(リユース・リビルド部品)売上が縮小し、輸出リサイクル部品(リユース・リビルド部品)売上は増加したが、全体としては減少傾向が見られた。使用済車両は増えているが、軽自動車、部品取り出来ない使用済車両が増えている傾向が見受けられる。回答数が前年と同数だが、全年と同じ企業が回答したかが明確でないため、単純比較は出来ない。しかし、傾向だけは見て取ることが出来ると自己評価している。
第9期に行われた第5回(2018年)の調査からは、インターネット(Yahoo、その他)を利用したリサイクル部品の販売額も調査対象となり、この年は49億2,200万円と、リサイクル部品販売額全体の約6%を占めた。また第11期に行われた、第7回、2020年の調査では、素材価格の高騰も考慮に入れて素材の売上も調査対象に加わった。

表1.リ協会員によるリサイクル部品市場調査の概要表

資料)一般社団法人自動車リサイクル部品販売団体協議会『30年史』より抜粋。

上の表1.は、上記調査の第4回以降の概要である。国内自動車リサイクル部品販売額は安定している。一方、輸出リサイクル部品販売額は年によって変動がみられる。ただし、1 社当たりでみると、国内部品販売額の減少傾向は留まっているが、輸出リサイクル部品販売額はコロナ終息後の2022年から減少傾向にあるものの、2024年には若干の回復が観られた。また、1社あたりの素材販売額は2021年をピークに減少傾向にある。ただし、2026年2月の米国によるイラン攻撃以降のホルムズ海峡閉鎖以降、アルミスクラップを中心に素材市況が再度高騰している。
使用済自動車の仕入れ難はこの表を観ても明確に分かり、それを手に入れるために支払うリサイクル料金も2017年には1 社当たり平均730万円だったのが、2024年には1 社当たり平均2,340万円にまで急増している。また、Yahoo等のネット販売額も部品売上総額の10%前後で推移しており、中古部品ベンダーにはなくてはならない存在となっている。

つまり筆者が強調したいのは、9月からの議論で問題視されていたのは、外国人解体業者との共存問題(彼らが果たして日本のシステムをどの程度理解しているのか?現状として日本語がわからない業者に自動車解体の許可を与えることもある現状のままでいいのか?本当に彼らが合法的な解体を行っているのか?悪貨が良貨を駆逐する経済学でいう「逆選択」の現象が観察されていないのか?)が議論の中心であったはずだ。なのに、調査がオークションに絞られ、しかも国内の解体業者に同じような調査を行うことはあまり意味がない。このリ協30年史でも、わかるように、2017年の調査から一貫して使用済自動車の確保難の問題、中古車ディーラーと競り勝って解体用の使用済自動車を、お金を支払って購入するという異常な事態がどんどん深刻化しているのである。
筆者は現段階で調査すべきは、オークション会場の現状に焦点を当てるのではなく、自動車リユース・リサイクルを日本においてビジネスとして行っている外国人業者(中古車ディーラー・外国人解体業者)の動向であるべきと考える。調査すべきはオークションというよりは、外国人解体業者の解体工程上の問題点や、彼らのビジネスモデルではないか?フロン類、エアバッグ類、ASRのメーカー責任3品目の適正処理・再資源化は確かに重要だが、プレーヤーに外国人が多く参入し、国際秩序が激変し、石油危機以上に深刻な資源の確保の問題が認識されている現在、わが国で発生する都市鉱山の代表例である中古車を、市場原理だけで海外へ流出する現状を、今一度考えるべきであるし、海外の優秀なリサイクラーとのパートナーシップの構築が、まさに現在求められているのではないだろうか。

4.JARSのシステム大改造後の更なる情報の利活用について

3月2日の第65回合同会議での報告で、筆者が注目したのが2026年1月からスタートした自動車リサイクルシステム:JARSシステムの大改編のポイントであった。というのは、新システムのスタートの段階で、解体業界ではどの程度混乱があったかに関心があったからである。2026年の年明けから筆者は、解体業者を訪問をする際には、必ずこの質問をしたが、大なり小なり混乱はあったが2026年5月末現在には、ほとんどの業者が新システムを使いこなして操業できている模様である。
さて、新しいシステムの主な機能として、1つ目は車種や燃料区分等の様々な切り口による預託・保有・引取・輸出に係る台数の抽出ができるようになったことが挙げられる。そして、車両の属性(義務者や燃料区分、預託年度等)ごとに、フロー(新車/廃車/輸出)とストック(預託済)の動きも追える機能が加わった。両省はこのシステムによって、「資源としての自動車の動向が可視化できる。」と豪語している。しかし、注意すべきなのは使用済自動車として日本国内での解体工程が始まった場合に、上記のフローが初めて把握されることであり、懸念される違法解体や中古車段階での輸出、非認定全部利用(輸出)で海外へ持ち出された使用済自動車の把握はもちろんできない。
両省が強調した新しいシステムの機能の2つ目は「LIB搭載車の預託・引取・輸出と取り外したLIBの動向の把握」ができるようになったこと、である。合同会議資料では「LIB搭載車の預託~保有~引取・輸出の台数をメーカー、車種、地域、仕向け地等の様々な切り口で分解。LIB動向の現状を把握することにより、LIBに関わる課題等の検出に活用することができる。」と書かれてある(本文では、LIBをLiBと表記している。)。ここでポイントとなるのが、「預託」の意味である。というのは、電気自動車だろうがガソリン車だろうが、メーカーの拡大生産者責任が課せられているASR、フロン類、エアバッグ類に関しては、ユーザーからの預託金が支払われ、それらが管理される。しかし、電気自動車の車載用リチウムイオン電池自体には、メーカーの拡大生産者責任が課せられたわけではない。そして車載用リチウムイオン電池に関しては、2015年の3回目の5年ごとの見直しの合同会議にて、「適正処理のセーフティネット構築の必要性」が指摘され、一般社団法人日本自動車工業会(JARP)を窓口とした回収システムを構築、2018年10月より運用している。しかし、このシステムはあくまでもセーフティネットであるため、日本で解体される電気自動車のLIBがすべてこのシステムで処理・再資源化されるわけではない。それにも関わらず、「LIB搭載車の預託・引取・輸出と取り外したLIBの動向の把握」ができるようになった」と政府が豪語するのは、いずれはLIBをエアバッグ同様のメーカーによる指定回収物品に追加する準備をしているとも考えられる。両省や自動車メーカーが意識している改正EU電池規則では、車載電池のリユース・リサイクルの拡大生産者責任は自動車メーカーに課せられているからでもある。なお、このシステムでの車載LIBの回収実績は年々増加しており、2018年度にスタートした際には、わずか1,056個であったのが、2021年度には3,611個、2024年度には13,232個にまで増加している。(2025年度のデータは未入手。)この新システムで、これらの回収されたLIBが、国内でいつ預託金が支払われた使用済自動車から外された電気自動車由来のうちどの程度の割合なのかも判明するだろう。

図3

資料)2025年10月 第61回合同会議資料 資料5-1「自動車メーカー(自工会)の取組みについて」p. 24より。https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/061_05_01.pdf

図3は、全国で指定された車載LIBの再資源化工場12工場の立地状況である。しかしこれらの施設の中で、いわゆるレアメタルであるニッケルやコバルトの製錬までできる施設はない。総合リサイクル企業エンビプロHDの子会社のVOLTAと、いわゆる非鉄金属製錬が親会社である企業を中心に「ブラックマス」と呼ばれる、ニッケル・コバルトを豊富に含む中間体までの製造はできるというが、その生産量はどの程度あり、それをその後どのように取り扱っているのか(製錬しているのかいないのか?)に関して、JARPも自工会も公表していない。基本的に安全な焼却処理を行っているものとも推定されよう。
新システムのポイントの3つ目は、資源回収インセンティブ制度開始後の稼働状況の把握ができる点である。この新機能により、再生用のプラスチック類、将来的にはガラス類の動きや課題を可視化できるらしい。上記の2.LIBに関する点、3.資源回収インセンティブに活用できるという新システムの特徴の説明をしている図4を合同会議資料から転載する。

図4

資料 第65回合同会議資料3-2『自動車リサイクル制度をめぐる各種状況について(補足資料)』p. 12より転載。

5.解体インセンティブ制度の開始と再生樹脂リサイクル

この4月に解体インセンティブ制度がスタートしたが、このタイミングで国際情勢に大きな変化が生じた。2度のオイルショックを超える厄災にもなっている、トランプ大統領のイラン攻撃、ホルムズ海峡閉鎖である。このためプラスチック類を含むあらゆる石油製品の供給が制限され、再生資源の活用がこのような外部環境の変化によって、経済性のあるものになる可能性が高まってきたのかもしれない。ただし、これだけが理由ならば中東での紛争が収まれば、再びリサイクルへの注目度はしぼむだろう。これを機会に再生プラスチックのより合理的な回収制度の構築を真剣に考えていくべきだろう。2026年3月2日の第63回合同会議では、再生プラスチックの活用を促進する仕掛けとして、書いたインセンティブをより強固に展開すべく「産官学コンソーシアムにおける検討状況」が報告された。欧州のELV規則への対応や、日本のプラスチック産業の高度化を目指して、質・量の両面からのアプローチにより、高品質な再生プラスチックの流通量拡大、再生プラスチック市場の構築を進めていく(図5.~図7.)。この再生材使用、とくに再生資源利用促進に関しては、両省は必ずしも国内資源循環を目指ししているのではない。あくまでも再生資源の国際市場の発展をビジネスチャンスととらえ、よりリサイクルしやすい再生プラスチックの開発とその回収を図っていこうというもので、そのための産官学コンソーシアムを展開しようと考えている。そしてこのような動きを上手く利用して、本格的に市場で利用できる再生プラスチックを、このホルムズ海峡危機を1つの契機として、国益の保護という観点で製造、販売させようとしている。

図5.


資料 第65回合同会議資料3-2『自動車リサイクル制度をめぐる各種状況について(補足資料)』p. 13より転載。

図6.

資料 第65回合同会議資料3-2『自動車リサイクル制度をめぐる各種状況について(補足資料)』p. 14より転載。

図7.

資料 第65回合同会議資料3-2『自動車リサイクル制度をめぐる各種状況について(補足資料)』p. 15より転載。

6.日本自動車リサイクル機構による今回の見直しの議論の評価

最終的な2026年の5回目の見直しの報告書は、6月9日にならないと完全な形はわからないが、これまでの見直しに比べて多くの点で解体業者が問題視してきた懸念についてメスが入ると期待されている。
一方、日本自動車リサイクル機構のJAERAリサイクルニュースでは、①今回の報告書でまず注目されるのが、不適正事業者対策です。廃車ガラの不適正輸出や不透明な流通への対応として、 流通段階を含めた管理強化や情報把握の仕組みづくりが整理されました。これまで実態が不明瞭であった領域が、明確に「今後検討すべき課題」として位置づけられた点に意味があります。現場から指摘され続けてきた課題が、制度検討の出発点に乗ったと見ることもできます。」②「解体業者の能力要件についても、大きな転換点を迎えています。報告書では、必要な知識・技能の明確化と、それを担保 する講習・検定制度等の検討が打ち出されました。特に注目されるのは、新たな制度の創設に向けた方向性が示された点 です。この講習・検定制度については、JAERAがこれまで展開してきた『自動車リサイクル士制度』を参考とする形で整理 されており、業界側の取り組みが制度検討のベースとして位置づけられています。また、解体業許可における能力要件の明 確化は、JAERAが長年にわたり課題として提起してきたテーマでもあります。今回の整理により、『制度として検討される段階』へと進んだことに加え、これまで目指してきた方向性が具体的な制度の形として見え始めた点は、JAERAの自動車リ サイクル士制度にとって一つの節目と言えるかもしれません。」③「資源循環の分野では、資源回収インセンティブ制度の推進や、再生プラスチックの流通量拡大に向けた取り組みの必要 性が示されました。今回の整理では『いかに資源として循環させるか』という観点がより明確に打ち出された点が特徴です。とりわけ、インセ ンティブ制度の仕組みを通じて資源回収を後押しする方向性が示されたことは、現場の取り組みを政策的に支える動きとして注目されます。また、再生プラスチックの流通拡大についても、単なるリサイクルにとどまらず『資源として活用されること』まで視野に入れた整理となっており、今後の制度設計における重要な論点の一つといえます。 これらはすぐに制度化されるものではありませんが、』何を目指すべきか』という方向性が明確になったことで、今後の議 論の軸が定まったともいえます。こうした動きは、解体業の役割が適正処理に加えて、資源供給も担っていくことを示しています。」と、これまでの4回の法の見直しではほとんど言及のなかった、解体業界の視点の盛り込みが強調されている。
そして「今回の報告書のポイントは、個々の施策の中身だけではなく、『何が検討対象として位置づけられたか』にあります。 報告書に明記された内容は、今後の制度化に向けた議論の前提となることが多く、今回整理された論点についても、今後の検討が加速していくと考えられます。その意味で、これまで業界側が提起してきた課題が、制度検討のスタートラインに乗った意義は大きいといえます。」「今回の報告書は、制度見直しの “結論” ではなく、“出発点” です。今後は、ここで整理された論点をもとに、具体的な制度設計に向けた検討が進められていくことになります。その中で、 現場の実態や課題がどこまで制度に反映されていくのか。今回の議論を通じて、その土台が整い始めたともいえます。制度と業界の関係が次の段階に移りつつあるなか、今後の動向が注目されます。また、今回整理された論点の中には、これまでJAERAが現場の声として提起してきた課題や提言と重なる内容が多く見られます。解体業者の能力要件の明確化や講習制度の検討、資源回収の高度化、リユース部品流通の促進などは、いずれも業界の実務に根差した継続的な問題意識の延長線上にあるものです。 これらの論点は、今回新たに生まれたものではなく、過去の審議会の場においても、歴代の代表理事をはじめとする関係者が粘り強く提言を重ねてきた経緯があります。そうした積み重ねが、今回の報告書において具体的な検討事項として位置 づけられたことは、業界の声が制度検討の中で着実に蓄積され、形になりつつあることを示すものといえます。 JAERAはこれまでも、会員事業者の知見や実務の蓄積を背景に、業界の立場から制度議論に対して意見を発信してきました。制度見直しの検討が本格化していくこれからの段階においても、現場の実態を踏まえた提案や情報発信を通じて、業界としての声を政策の議論につなげていく役割が期待されます。 制度と現場をつなぐこうした取り組みは、個々の事業者だけでは難しい部分もあります。JAERAという枠組みを通じて業 界の知見を集約し、継続的に発信していくことが、今後の自動車リサイクル制度の姿を形づくっていくことになりそうです。」と解説している(JAERA、2026)。

7.出水佐三と高市早苗

筆者は混迷する国際政治経済環境の下、今こそ既存の考え方にとらわれない資源戦略と経営戦略が求められていると考える。3回目の世界大戦は始まっていないし、何としても阻止しなければならないが、激変する国際政治・経済環境の変化に対応するために、これまでとはまた異なる次元でのレジリエンス「困難、逆境、ストレスに直面した際に、しなやかに適応し、立ち直る回復力」が、我が国の産学官民全体に求められている。
かつて出水佐三は、英米の圧力を振り切って日章丸を使ってイランから石油を輸入し、国益を確保した。出水は神戸高商の出身である。その後輩である高市早苗首相(神戸大学・経営学部出身)は、外交面ではトランプ政権に寄り添った形の船出をした。今後の外交手腕がますます注目される。

参考文献
一般社団法人日本自動車リサイクル部品団体協議会(2026)『日本自動車リサイクル部品協会30周年記念史 法人化からの15年、変化と挑戦の記録』pp. 15-16。
一般社団法人日本自動車リサイクル機構(2026)『JAERAニュースレター』204号、pp. 2-3.
https://www.elv.or.jp/media/Rakude/20260403095449-jname.pdf

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