発炎筒と自動車整備業

自動車整備業の顧客との接点作りにも発炎筒は活用出来る!

兵庫県自動車整備振興会に聞く 新しい顧客との接点づくり

本誌では発炎筒について、高速道路のSAに於けるイベント取材や街頭アンケートなどを実施してきたが、今回、兵庫県自動車整備振興会の事業相談室 橋本武司氏に発炎筒を活用した、新しい顧客満足度向上の施策について聞いてきた。

橋本氏は現在、振興会内の事業相談室に所属しており、日々、会員に対して有益な情報を提供している。現場指導を行う傍らで、一般ユーザーを対象にしたイベントなどの企画運営も行っている。

当たり前のことをやろう

「自動車整備工場がユーザーに対して当たり前のことを、当たり前に行うことが大切だと日々伝えています。当たり前のこととは何かと言えば、自動車を扱う上での安全性や利便性の追求などになります。特に安全性に関しては知っているようで知らないユーザーも少なくありません。そこで注目したのが発炎筒でした。

発炎筒は事故や故障が起きた際に使う道具です。最近ではLED ライトも法令的には搭載が認められ、緊急時に使うように促していますが、LED だけでは不十分だと思っています。LED は確かに電池の消耗も少なく寿命も長いです。ですが、二つの問題点を抱えています。
1つは右図を見ての通り視認性が悪いことです。2 つ目は電池の交換周期が明確ではないので、定期的なチェックを怠った場合に点灯障害が懸念されることです。

しかるに、多くの整備工場及びディーラーではLED の方が売り易いので発炎筒から切り替えているとも聞きます。
売り易いからLED を売るというのは確かに分からなくもないのですが、お客さまのことを考えればLED より発炎筒の方が視認性はもちろん、安全性も含めて優れています。

発炎筒は4 年に1 度交換が必要ですが、多くの方が車検時に交換すると思います。実は、ある会員に対して発炎筒の重要性と安全面を伝え販売を強化する指導をした所、直ぐに20 本以上も販売したとのことでした。車検を通すため、という意識ではなく、安全性のことを考えてユーザーに提案することが重要であると、多くの整備工場が理解していません。ユーザーの役に立つことを行うのが整備工場の使命でもあり、義務だと思います」

着火体験も重要である

「先日、発炎筒の着火体験のイベントを振興会で開催したところ、多くの若いユーザーがマッチを使用したことがなく、恐る恐るで一度、二度では発炎筒の着火が出来ませんでした。事故は起きて欲しくありませんが、万が一発生した時の対応、自動車内の装備場所(左足下)なども伝えていくことが大切です。こういったことも当たり前のことだと思います」

なぜ必要なのかを伝える

「ユーザーにとって無用な出費は抑えたいものです。とは言ったものの、必要なものを提案しないわけにはいきません。発炎筒の交換を勧める際に分かり易い例として、私は消火器の例を挙げています。消火器は火を消す道具で、いざという時に使えないと困ります。ですので、定期的な交換ないし使用年数などの点検が必要です。自動車もそうなのですが、発炎筒も同じようにユーザーに『いざという時に使えないと困るので、LED と同時に発炎筒の装着をお勧めしています』と伝えれば理解が早いと思います。LED の利点そして発炎筒の利点は両立出来ませんので、両方装着することで、多少ですが、利益にも貢献しますし、ユーザーの安全にも貢献してくれます。こういった『何故交換が必要か』を伝えなければユーザーも納得してくれません。定期的に発炎筒の着火体験もユーザーには必要ですし、接触回数を増やす理由にもなります」

問題は現場に伝わっていないこと

「発炎筒に対して否定的な考えを抱いている方は改めて発炎筒の必要性について考えて頂きたいと思います。現場で実際に働くメカニックや車検時の見積りを作る段階で交換の必要性などをいかに伝えていくかが大切です。それを現場に伝えるのが経営者の責任でもあります。安全かつ快適にユーザーがカーライフを送ることを提案してこそ自動車整備工場の本懐であると伝えていきたいと考えております」

発炎筒が繋ぐ顧客と整備工場の輪

発炎筒とLED の違いは煙の有無、使用年数の長短、視認性の高低などそれぞれに一長一短がある。本誌としても事故が起きた際には両方使うことを、自動車整備工場がユーザーに提案して頂ければと思うところである。街頭アンケートでも多くのユーザーに発炎筒の着火体験は無かった。橋本氏の言葉を借りるならば、自動車整備工場が売り易いからという理由で、安易にLED を提案するのは安全上からも看過出来ない。安全面を伝えてこそ発炎筒を提案する理由にもなり、意味が出てくるだろう。自動車整備工場にとって発炎筒は車検時にしかチェックをしないアイテムかもしれない。だが、発炎筒の使用年数が切れていた場合のことを考えるならば、入庫車両の全てにチェックを掛けなければならない。それはさすがに厳しいかもしれないが、トータルカーライフを提案していくことを目指し顧客との接点を増やしたいならば、それもまた必要な要素である。

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