産構審・中環審が第47回合同会議を開催

 去る9月10日、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG(産構審)と中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会(中環審)は第47回合同会議を開催した。

 議題は大別すると2つで、1つ目(前半)が自動車リサイクル制度をめぐる各種取組状況等について、2つ目(後半)が自主取組の進捗状況について、である。

 まず前半では、

「自動車リサイクル制度をめぐる各種取組状況について」(環境省)

「実施事業概要」(自動車リサイクル高度化財団)

「高度リサイクル研究事業の展開 リチウムイオン電池の高度リサイクル」(本田技研工業)

「2018年度 自動車リサイクル高度化支援事業について」(日産自動車)

「自動車リサイクル高度化事業の拡大と小型リチウムイオン電池リユース技術開発」(スズキ)

「自動車リサイクル法の施行状況」(経済産業省)

「特定再資源化預託金等を活用した取組み事例」(自動車リサイクル促進センター)

といった報告が行われた。

 

 そして後半では、

「『重金属4物質の削減に関する自主取組み』の進捗状況について」(日本自動車工業会)

「次世代車の適正処理・再資源化の取組状況」(日本自動車工業会)

「商用車架装物リサイクルに関する自主取組みの進捗状況について」(日本自動車車体工業会)

「二輪車リサイクル自主取り組み実施報告」(二輪車リサイクル自主取り組み参加事業者連絡会)

「輸入車の重金属4 物質等の削減・使用廃止に関する対応状況について」(日本輸入車組合)

「使用済自動車用鉛蓄電池・リサイクルシステムの運用状況について」(鉛蓄電池再資源化協会)

「廃発炎筒処理システム(実績報告)」(日本保安炎筒工業会)

「タイヤ業界におけるリサイクルへの取組み-2019年-」(日本自動車タイヤ協会)

といった報告が行われた。

 

 また会議の最後には、中環審及び合同会議で長年、座長を務めた永田勝也・早稲田大学名誉教授の委員退任が発表され、以下のように挨拶した(配布された資料)。

自動車リサイクルに係る合同会議の委員退任に当たって

 自動車リサイクル法は平成17年(2005年)から本格施行され、現在では15年目に入った。本法の制定にも大きな影響を与えた、香川県の小島、豊島でのASRを中心とした不法投棄問題は、ようやく廃棄物の撤去が完了し、現在、産廃特措法の延長期限の令和5年(2023年)3月までに地下水の浄化を達成しようと、鋭意取り組みを進めている。

 豊島問題は、地域住民に40年を超える不安と苦痛、苦悩を与え、かつ多額の公共的資金を使用してようやく解決に至りつつある課題であり、廃棄物の出口での不適切な対応が、いかに長期的で、かつ重大な問題を生じさせるのかの教訓となるものである。

 小生は1997年以来、この問題に関与しているが、こうした点も踏まえて、以下を示しておくことで自動車リサイクルの今後の発展・成長を願っての退任の挨拶としたい。

 

1.今後の自動車リサイクルの成長への期待

 自動車リサイクル法は、個別リサイクル法としては容器包装リサイクル法、家電リサイクル法に続き、3番目に制定されたものである。その後に制定された個別リサイクル法を含め、自動車リサイクル法は、関係者の協力・連携の下で一定の成果を上げているとの評価が高い。

 これからはさらに、未だ当初の目標を達成していない不法投棄・不適正保管の問題や現状あるいは今後の問題である使用プラスチックのリサイクルや次世代自動車への対応等について、先行的・先導的に対処されることを願っている。

 

2.課題解決への「共創」と「監視」の重要性

 豊島廃棄物等の処理は、「共創」の理念の下で進められている。「共創」は、「目標を同じくする主体的関係者(ステークホルダー)が共に参加・協働し、新たな関係や価値観を創って問題を解決する、目標を達成する」との思想である。

 

 本合同会議でも、この「共創」の理念に再三言及した。本会議への参加者や関係者は、上述した自動車リサイクルのより一層の成長に責任と権能を有するステークホルダーとして、より一層貢献していただきたいと願っている。

 

 合同会議の学識経験者や市民の代表者等には、「監視」の役割も強調しておきたい。「監視」は「参加」の重要な一形態であり、これによる継続した緊張関係の持続が物事や組織等の成長を促し、関係者を育てることに繋がるからである。

 

 上記の方々には、重要な費用負担の役割等を担っていただいている自動車ユーザー並びに環境保全・配慮に関心の高い国民の代表として、大いに「監視」に努めてほしいと願っている。

 

3.EPRの最終責任と資源循環での上流対応の重要性

 EPR(拡大生産者責任)の理念の中で、小生が重要と考えるのは、最終責任あるいは明示的責任、第一義的責任と言われる事項である。この最終責任は、製品・工程連鎖の中でイニシアティブを取る責任者のことであり、論理的にはプロセス全体に最も影響力を持つ主体である。自動車リサイクルでは、自動車製造事業者・輸入事業者となる。

 一方、廃棄物の処理・リサイクルでは、常にそのより上流側の対応の重要性が強調され、自動車リサイクル法も含めて個別リサイクル法は本来、こうした考えを体現した3R法である。自動車リサイクルでは、製品・工程連載の源流は上記と同じく、その製造事業者・輸入事業者である。

 両者にあっては、今後も自動車リサイクルの成長にイニシアティブを発揮して貢献いただきたいと願っている。

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