第129回 中古車輸出市場はどうなったか

1 はじめに

2020年に新型コロナウィルス感染症が世界中で拡大し、それに伴う都市封鎖などの影響で日本の中古車輸出台数は減少した。一方で、世界的な半導体不足やサプライチェーン問題などにより、新車の生産が滞り、中古車の販売台数が増加していると言われる。そのような社会の動きの中、日本からの中古車輸出市場はどうなっているかである。

2022年1月28日、財務省貿易統計の2021年12月の数量(確報値)が公表された。それにより、2021年の中古車輸出台数が判明した。本稿では、2021年の中古車輸出台数の集計結果を示し、どのようになっているかを確認することとする。

 

2 2021年の中古車輸出台数

2021年の中古車輸出台数は、バス、乗用車、貨物車の合計で貿易統計上で122.5万台となった。前年の2020年は106.2万台であり、前年よりも16.3万台増えている。感染症が拡大する以前の2017年、2018年、2019年は129.8万台、132.6万台、129.6万台であり、それらの水準にまでは至っていない。2019年との比較では、2021年は7.1万台少ない。

中古車輸出台数の別の統計として輸出抹消登録台数がある。これは2020年の125.1万台に対して2021年は128.8万台であり、3.7万台の増加となっている。感染症の拡大の前の2017年、2018年、2019年の輸出抹消登録台数は、それぞれ137.5万台、139.9万台、147.1万台であり、その水準にはまだ遠い。2019年との比較では、2021年は18.3万台少ない。輸出抹消登録台数は増加しているものの、貿易統計ほどには増加していない。

図1で示されるように、基本的に輸出抹消登録台数のほうが貿易統計より数量は多い。その中で両統計の差は年によって違いがある。2020年が18.9万台だったのに対して、2021年は6.3万台である。

このようなことが起こる理由の1つとして計上のタイミングの違いが考えられる。貿易統計では出港日に統計計上になるが(外国貿易等に関する統計基本通達22-1より)、輸出抹消登録台数は輸出の事実を確認した後になる。例えば、1月に輸入規制により前年12月に駆け込み輸出がされることがあるが、そのような場合、貿易統計では前年に計上され、輸出抹消登録台数では当年に計上されうる。そのような事情から、輸出抹消登録台数で感染症の影響が残り、2021年の輸出抹消登録台数は貿易統計ほど増えていないという説明はできる。

これ以外には、貿易統計で少額貨物(輸出申告書における1品目の価格が20万円以下の貨物)が計上されないことによる違いがある。例えば、2020年は少額貨物が比較的多かったとすれば、貿易統計と輸出抹消登録台数の差は大きくなる。これに対して、2021年は少額貨物が少ないとすれば、貿易統計と輸出抹消登録台数との差は小さくなる。価格の変動がどの程度あったかになる。

また、輸出抹消登録台数は軽自動車を含まないが、その影響もある。例えば、貿易統計で2020年の軽自動車の数量が少なく、2021年で多ければ、貿易統計と輸出抹消登録台数との差の違いは生まれる。これに関して貿易統計において、軽自動車の中古車輸出台数を確認すると(統計品目番号:8703.21.915)、2020年から2021年は1.4万台程度の増加である。また、軽自動車検査協会が公表する検査関係業務量から軽自動車の中古車輸出台数を出すことはできるが、本稿の執筆時点(2022年1月29日)で確認できる1月~11月の合計について2020年と2021年の数量(輸出届-輸出予定届出証明書返納)を比較すると、1.3万台程度の増加である。これも2020年と2021年の両統計の差の違いに関係がありそうである。

いずれにしろ、市場は拡大しているが、2019年の水準にはまだ戻っていないということは共通する。貿易統計では2019年の水準に近づいていると言えるが、それが確かかどうかについてはもう少し輸出抹消登録台数のその後の数値を待つ必要がある。

図 1 日本の中古車輸出台数の推移(単位:台)

出所:財務省貿易統計、日本自動車販売協会連合会ホームページより作成

注:バス、乗用車、貨物車の合計

 

3 仕向地

貿易統計上の中古車輸出台数について、仕向地別で見ると、2021年に最も多かったのはロシアの16.2万台である。ロシアが首位なのは8年ぶりの2013年以来であり、数量も2013年(16.8万台)と同程度である。同国向けは2014年は12.8万台だったが、2015年、2016年に4.9万台、4.8万台と大きく減少し、仕向地別の順位も8位、7位と落としている。その後は増加傾向であり、2019年、2020年は12.3万台、12.6万台となり、アラブ首長国連邦に次いで2位に位置していた。感染症の拡大の中、各仕向地で2020年の数量は軒並み減少していたが、ロシア向けは増加していた。そして、2021年はその勢いが増し、図にある通り、前年から大きく増加している。

ロシアに次ぐのは、アラブ首長国連邦の13.3万台である。同国向けは2016年から2020年までの5年間首位であったが、2021年に2位に転落している。感染症の影響もあり、2020年は2019年よりも大きく減少している。2021年は他の仕向地で全体的に回復傾向にある中、アラブ首長国連邦向けはさらに減少し、回復に至っていない。再輸出先の動向を見なければならないが、これは今後の課題としたい。

他の仕向地は軒並み前年を上回っており、感染症の影響から回復してきている様子が窺える。アラブ首長国連邦のように2020年から2021年にさらに減少した国は、図2ではウガンダ、モザンビークのみである。ただし、この2か国の減少はそれぞれ数百台レベルで大きくはない。しかもこの2か国の2021年の数量は2019年の水準とも変わらず、感染症による変動はあまり観察されない。

図2には示されていないが、2020年と比べて大きく減少している仕向地は、ミャンマー、スリランカである。ミャンマー向けは2012年に前年の616%と急増し、仕向地全体のランキングでも2014年、2015年に首位になるなど数量が多かった。2014年は16万台もの輸出がされていたが、この年をピークとしてその後は減少し、2019年、2020年、2021年の数量は6.3万台、2.7万台、1.3万台と毎年市場が半分以上縮小している。

スリランカ向けも2018年に7.1万台の輸出がされていたが、2019年、2020年は3.3万台、1.3万台と半分以上の縮小となっている。2021年はさらに減少し、わずか1.1千台である。全体における順位も2021年は55位と大きく後退している。

図2でもわかるように対照的なのはパキスタンである。同国向けは2017年に8.6万台もの輸出がされ、仕向地別のランキングでも5位にまでなっていたが、2018年に5.5万台、2019年に1.1万台と大きく減少している。しかし、スリランカとは異なり、2020年は感染症の拡大にもかかわらず、2.4万台と前年より増加している。2021年は3.8万台とさらに増加し、仕向地別のランキングでも10位となっている。

また、パキスタンほどではないが、タイ向けも2019年、2020年、2021年は2.1万台、2.4万台、2.8万台と増加している。図では示されないが、2018年までは1万台を割っており、仕向地別のランキングでも30位前後であった。同国向けの中古車は現地で使用されるのではなく、再輸出されるとされる。ミャンマー向けの減少と関係しているのかもしれない。

図 2 主要仕向地別の中古車輸出台数(単位:台)

出所:財務省貿易統計より作成

注:バス、乗用車、貨物車の合計。主要仕向地は2021年の中古車輸出台数の上位20か国。

 

 

4 アフリカ

地域別で見ると、中東を除いて軒並み増加している。アフリカは2019年から最大の仕向地域となっているが、2021年も引き続き最大であり、全体の26%を占める。ただし、そのシェアは拡大しているわけではなく、2018年からあまり変わっていない。アフリカに続くのがアジアであり、そのシェアは21%である。アジアの2015年のシェアは34%もあったが、ミャンマー向けの減少の影響もあり、そのシェアは縮小している。

数量で見てみると、アフリカは2018年に34万台であり、感染症が拡大する以前の2019年に31.9万台に減少している。2020年は28.4万台とさらに減少したが、2021年は31.9万台と2019年並みに回復している。

アフリカの中古車輸出台数を国別で見ると、図2でもわかるように、2021年はケニア、タンザニア、南アフリカ、ウガンダ、モザンビーク、ナイジェリア、ガーナ、ザンビアの順で多い。日本からアフリカ向けの中古車輸出台数におけるこれらの8か国のシェアは84%になる。

阿部(2020)や阿部(2022)で言及されるように、南アフリカはこれまでケニアとともにアフリカ向けの市場をけん引してきた。ところが、2019年から南アフリカ向けは縮小し、2021年もこの傾向は変わらない。阿部(2020)では2001年~2018年の合計から、南アフリカ、ケニアはアフリカ全体の28%、25%のシェアを占めるとし、これら2か国で半数程度のシェアとした。これに対して、2021年のアフリカ向けにおけるケニアのシェアは23%、南アフリカは14%であり、合計で37%と縮小している。

南アフリカが減少する一方で、タンザニアの存在感が増している。阿部(2020)では、2001年~2018年の合計でアフリカにおけるタンザニアのシェアを13%としたが、2021年は20%とケニアに近い水準に拡大している。とはいえ、タンザニアは南アフリカの減少をカバーするほどにはなっていない。阿部(2020)では、2001年~2018年の合計で南アフリカ、ケニア、タンザニア、ウガンダの4か国のシェアはアフリカの4分の3としたが、2021年はこの4か国のシェアは65%である。

また、阿部(2020)では上記4か国に加えて、モザンビーク、ザンビア、ボツワナ、モーリシャスを含めた上位8か国で91%としていた。これらは全て東アフリカ、南部アフリカ諸国である。つまり、日本の中古車輸出市場はこれらの地域に寄っている。これに対して、2021年の上位8か国は、上記に示した通りボツワナ、モーリシャスの名はなく、代わりにナイジェリア、ガーナの西アフリカ諸国が含まれている。上位8か国の合計は84%と縮小しており、全体的に多様化していると見ることはできる。

なお、ナイジェリア向けは、2021年は1.5万台である。2017年は3千台であったため、市場が拡大している様子は窺える。ガーナ向けも2018年は2千台、2019年は5千台であったが、2021年は1.4万台になっている。それら市場が拡大している国の動向は今後も関心を持っておきたい。

 

5 軽自動車

660cc以下のいわゆる軽自動車は、国内での保有台数に対して中古車輸出は多くない。図3は軽自動車(660cc以下のガソリン車、統計品目番号:8703.21.915)の中古車輸出台数の推移を示したものである。これを見ると、660cc以下は増加傾向にあったが、2017年の5万台をピークに減少傾向に転じている。ただし、2021年は増加しており、4.1万台となっている。

仕向地別で見ると、図3でわかるように、軽自動車はパキスタン向けの影響が大きい。2017年の同国向けは3.7万台だったが、2019年には3千台までになり、全体の減少に大きく影響した。その後、パキスタン向けは増加傾向に転じており、2021年の同国向けは1万台にもなっている。

他の国については、パキスタン向けが減少した2019年からロシア向けの存在感が増している。また、フィリピン向けも急速に拡大している。ケニアやナイジェリアなどアフリカ諸国も含まれ、仕向地は多様化している。パキスタンが今後さらにどの程度増加するかである。

各仕向地の軽自動車の中古車輸出について貿易統計上の金額を台数で割った単価(千円)を算出してみると、2020年から2021年にかけて概ね上昇していることがわかる。具体的には、パキスタン向けの2020年から2021年の単価は、36.1万円から48.3万円と10万円強の上昇である。その他ロシア(2020年:28.8万円→2021年:30.8万円)、フィリピン(15.4万円→16.9万円)、ケニア(21万円→22.8万円)、ナイジェリア(7.1万円→8万円)も上昇している。図3で示される国ではアラブ首長国連邦(7.84万円→7.82万円)のみわずかに下落している。

また、上記から単価は仕向地によって様々であることもわかる。それは輸入する年式の違いが関係すると考えられるが、貿易統計ではそれは確かめられない。その中で、フィリピン、ナイジェリア、アラブ首長国連邦の単価は20万円を下回っている。上記のほかにマラウィ(11.8万円)、タンザニア(13.3万円)、ザンビア(12万円)などの国の単価も20万円を下回っている。

少額貨物は先の通り、輸出申告書における1品目の価格が20万円以下の貨物である。同一品目の価格であるため、安い中古車であっても複数台の輸出で20万円を超えれば貿易統計に計上される。逆に上記のような国に1台レベルで軽自動車が輸出されることがあれば、少額貨物として統計には計上されない可能性はある。その隠れた数量がどの程度あるかは興味深い。

図 3 軽自動車(660cc以下のガソリン車)の中古車輸出台数の推移(単位:台)

出所:財務省貿易統計より作成

注:貿易統計において、統計品目番号8703.21.915は2012年まで550cc以下と定義されており、660cc以下の数量が拾えない。そのため、図では2013年以降のものとなっている。

 

6 ハイブリッド車

ハイブリッド車の中古車輸出台数は、統計品目番号が設定された2017年以降になる。貿易統計上は、ハイブリッド車はガソリンエンジン搭載とディーゼルエンジン搭載で区分されているが、日本では大多数がガソリンエンジン搭載のものであり、ディーゼルエンジン搭載は年間で10台前後である。図4は、ディーゼルエンジン搭載のハイブリッド車を含むものだが、ほぼガソリンエンジン搭載のものである。

図4を見ると2018年から2019年、2020年にかけて減少傾向にあったハイブリッド車の中古車輸出台数は2021年になって増加している。統計で集計できるようになった2017年以降で最大となっていることもわかる。乗用車におけるハイブリッド車の割合も最大となっており、2021年は18%にもなっている。

ハイブリッド車は、国内での保有台数の増大から、中古車輸出も増大することは予想されるが、図を見ればわかるように右肩上がりではない。2017年から2018年にかけて4万台程度増加したが、2019年は感染症の拡大以前にもかかわらず、減少した。その理由として図4にあるようにスリランカやパキスタン向けの市場が急激に縮小したことにある。

スリランカ向けのハイブリッド車の中古車輸出台数は、2018年は2.9万台であり、モンゴルに次ぐ仕向地であった。しかし、2019年は2.8千台であり、前年の10分の1になっている。2020年は492台、2021年はわずか4台にもなっている。パキスタン向けの数量は、2018年は1.6万台であったが、2019年は3.8千台である。ただし、スリランカとは異なり、その後は増加傾向に転じ、2020年、2021年は8.4千台、1.1万台となっている。

スリランカの減少分を埋めるように他国の数量は増加している。モンゴルは変わらず、最大の仕向地であり、2021年の同国向けは2017年以降過去最多の4.8万台である。続くロシアは感染症が拡大した2020年も含めて、毎年増加している。同国向けは2017年に1.3万台だったものが、2021年は4.4万台にもなっている。ニュージーランドもバングラデシュも2021年は過去最多となっている。

一方で、スリランカほどではないが、市場が大幅に縮小したところもある。図では確認できないが、トリニダードトバゴ向けは2019年は6.2千台、2020年は5.1千台だったが、2021年はわずか208台である。フィジー向けは2018年は6.4千台だったが、2021年は116台である。これらの国でガソリン車など他の品目も大幅に減少しているかどうかというとそうでもない。なぜハイブリッド車が減少したのかは興味深い。

ハイブリッド車の中古車の単価は、軽自動車と同様に仕向地により異なる。各仕向地の2021年の単価は前年と比べて上昇している。具体的に2020年から2021年にかけてモンゴル:37.9万円→47.2万円、ロシア:67.8万円→77.8万円、ニュージーランド:48.8万円→59万円、バングラデシュ:109.7万円→141.2万円、パキスタン:97.3万円→121.7万円と上昇している。

今後、短期的には原油価格の高騰により燃費の良いハイブリッド車の需要は増大するかもしれない。軽自動車と同様、一部の国に多く輸出されてきたが、それが多様化するかどうかである。一方で、脱炭素の流れの中、先進国を中心にハイブリッド車も使用を回避する機運が出てきており、中長期的には減少することが予想される。それらが仕向地別にいつどのように変わるか注視したい。

なお、プラグインハイブリッド車の中古車輸出台数については、ハイブリッド車と同様に2021年は過去最多となっているが、全体的に2.3千台とまだ少ない。電気自動車も同様に過去最多であり、2017年に4千台だったものが、2021年は1.1万台となっている。電気自動車の中古車輸出の仕向地は、2018年まではニュージーランドが半数を占めていたが、2019年からロシアが最も多く、2021年のロシア向けは57%のシェアとなっている。

図 4 ハイブリッド車の中古車輸出台数の推移と乗用車におけるハイブリッド車の割合

出所:財務省貿易統計より作成

注:中古車輸出台数は左軸で単位は台、乗用車におけるハイブリッド車の割合は右軸で単位は%。ハイブリッド車はガソリンエンジン搭載(統計品目番号:8703.40.100)、ディーゼルエンジン搭載(統計品目番号:8703.50.100)の合計を集計した

 

7 月別推移

図5は中古車輸出台数の月別推移を見たものである。これによると、2020年3月から前年より減少し始め、4月から8月頃までは前年を大きく下回っている。それらが2021年に回復したこともあり、2021年は前年を上回る月が多い。2021年は全部で8か月が前年を上回っているが、直近の9月、11月、12月はさほど大きく前年を上回るものではない。

また、2021年が2019年を上回っている月は、3ヵ月(5月、8月、9月)である。そのため、感染症拡大以前の状態に戻っているかというとそうでもない。

図 5 中古車輸出台数の月別推移(単位:台)

出所:財務省貿易統計より作成

注:バス、乗用車、貨物車の合計

 

このような変化の中、価格はどうなっているかである。先の軽自動車やハイブリッド車で示したように、仕向地によって単価は異なることがある。また、車種、排気量により単価は異なるため、品目を考慮する必要がある。そのため、「品目・仕向地」の組ごとに単価の推移を見る。

「品目・仕向地」で2021年に数量が多かったのは、多い順に(1)モンゴル向けハイブリッド車(ガソリンエンジン搭載:8703.40.100)、(2)アラブ首長国連邦向けガソリン車(1000cc超1500cc以下:8703.22.910)、(3)ロシア向けハイブリッド車(ガソリンエンジン搭載:8703.40.100)、(4)チリ向けガソリン車(1000cc超1500cc以下:8703.22.910)、(5)ロシア向けガソリン車(1000cc超1500cc以下:8703.22.910)である。図6はこの5つの「品目・仕向地」の組について、月別に金額/台数を算出したものを示している。

まず、モンゴル向けハイブリッド車の単価は、40万円弱で推移していたが、2021年3月から40万円を超えるようになり、10月には50万円を超えている。直近の2021年12月は56.4万円である。同じハイブリッド車でロシア向けの単価は、2019年初頭は80万円程度であり、2020年4月からしばらくは70万円を下回る水準で横ばいで推移していたが、2021年5月から70万円を超えている。そのまま上昇傾向になり、9月に80万円、12月に90万円を超えている。これらを見ると、ハイブリッド車は2021年春ごろから上昇傾向であり、直近の2021年終盤になってもその勢いが継続している。

1000cc超1500cc以下のガソリン車については、アラブ首長国連邦向けは2019年から16万円前後であり、2020年4月からしばらくは13万円前後である。その後上昇傾向になり、2020年後半は16万円前後、2021年前半は18万円前後、同後半は19万円~20万円と若干ではあるが、上昇している。チリ向けも感染症が拡大した時期は14万円~15万程度で推移していたが、2020年末頃から上昇傾向になり、2021年後半は20万円を超えている。これらの価格の上昇により少額貨物として統計に計上されてこなかったものが計上されるという影響がある。

ロシア向けのガソリン車は、2019年は40万円台で推移していたが、2020年後半から50万円台前半に上昇し、2021年は50万円台後半、直近の2021年12月は65.4万円である。これらを見ると、1000cc超1500cc以下のガソリン車は、ハイブリッド車よりは少し早く2020年後半から末頃に上昇し始め、それが2021年でも継続していることが窺える。この勢いが2022年にどうなるかである。引き続き注目しておきたい。

図 6 中古車輸出の単価の月別推移(単位:千円)

出所:財務省貿易統計より作成

注:以下の「品目・仕向地」の組で月別中古車輸出の金額(千円)/台数を算出した。(1)モンゴル向けハイブリッド車(ガソリンエンジン搭載:8703.40.100)、(2)アラブ首長国連邦向けガソリン車(1000cc超1500cc以下:8703.22.910)、(3)ロシア向けハイブリッド車(ガソリンエンジン搭載:8703.40.100)、(4)チリ向けガソリン車(1000cc超1500cc以下:8703.22.910)、(5)ロシア向けガソリン車(1000cc超1500cc以下:8703.22.910)

 

8 まとめ

本稿で見たように2021年の中古車輸出台数は、貿易統計では122.5万台であり、前年(2020年)と比べて市場は拡大している。新型コロナウィルス感染症の影響により2019年から2020年にかけて大きく減少したが、2021年にある程度は戻している。それでも2019年の水準よりは少なく、完全に回復したということはできない。

輸出抹消登録台数についても、貿易統計上の中古車輸出台数ほどではないが、同じく前年よりは増加している。ただし、2019年から2020年の減少が大きいため、2021年の数量は2019年の水準にはほど遠い。輸出抹消登録台数についてはタイムラグなどがあるため、もう少し今後の数値が公表されてから状況を判断すべきである。いずれにしろ、中古車輸出市場は前年よりは拡大していることは確かである。

中古車輸出台数が増加する中、使用済自動車台数もわずかであるが、増加している。自動車リサイクル促進センターが公表する使用済自動車の引取件数は、2021年は316.5万件であり、2020年から2021年にかけて2.5万件程度増加している。輸出抹消登録台数と同様に2019年から2020年の減少幅が大きく、2019年の水準にはほど遠い。とはいえ、中古車輸出台数と使用済自動車台数が同時に増加している状況であるといえる。

中古車輸出の仕向地ではロシアが久しぶりに最大の仕向地になっている。地域別に見ると、アフリカは3年連続で最大の市場である。ただし、南アフリカが低迷する中、アフリカの主要仕向地は変わりつつある。ナイジェリア、ガーナといった西アフリカ諸国を含め、最新の動向は関心を持っておきたい。

ハイブリッド車については統計で集計できるようになった2017年以降、最多となったことを確認できた。乗用車におけるハイブリッド車の割合も18%にまでなってきている。軽自動車と同様にこれがどこまで増加するのか、抹消登録台数における中古車輸出台数の割合はどうなるか、仕向地は多様化していくのかなどについては関心はあるが、次回以降の課題としたい。

価格については、一部の「品目・仕向地」で見た限りでは、2020年後半から2021年初頭にかけてから上昇しはじめ、直近の2021年末も価格上昇は継続している。その状況が2022年もどうなるかである。今回は一部の「品目・仕向地」の事情であり、一般論として語れないが、今回の事象を参考として市場の行方を捉えておくこととしたい。

以上

 

参考文献

  • 阿部新(2020)「アフリカ向け中古車輸出市場に関する統計整理」『速報自動車リサイクル』(98),40-51
  • 阿部新(2022)「アフリカ向け中古車輸出台数の国際比較」『速報自動車リサイクル』https://www.seibikai.co.jp/archives/recycle/10140
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