NGP日本自動車リサイクル事業協同組合(本部・東京都港区、理事長=小林信夫氏)の関連会社である株式会社NGP(本社・東京都港区、代表取締役=佐藤幸雄氏)は、株式会社Linkhola【要確認:社名の読み(リンクホラ)】が運営する民間主導の「EARTHSTORYボランタリークレジット制度」において、新たな方法論「自動車パーツリサイクル」を策定した。自動車リサイクルにおける部品リユースを対象としたボランタリーカーボンクレジット方法論の正式策定は世界初(Linkhola調べ、2026年5月時点)となる。
本方法論は、NGPの産学共同研究データに基づき、これまで定量化が難しかった自動車部品の再利用(リユース)による「新品製造の回避に伴うCO2削減効果」を可視化するもの。外部専門家による客観的なレビューと制度運営委員会の承認を経て、部品リユースによる環境価値をクレジット化し、市場取引を可能にした。サプライチェーン全体での脱炭素(Scope3削減)を進める企業にとって、新たな削減手段となる。
背景と目的 ― 定量化できなかった削減効果を評価へ
世界的な脱炭素化の流れを受け、企業にはサプライチェーン全体でのCO2削減が求められている。新品部品の製造には、資源採掘から素材製造、加工、輸送まで多くのエネルギーを要する。一方、使用済み自動車から回収した部品を品質確認・美化したうえで再利用するリサイクルパーツは、新たな資源採掘や製造工程を大幅に削減できるため、環境負荷を抑えられる。
NGPは全国の自動車リサイクル事業者で構成される組織として、リサイクルパーツの普及と品質確保に長年取り組んできた。2013年には富山県立大学・明治大学との産学共同研究を開始し、LCA(ライフサイクルアセスメント)に基づく算定手法を確立。現在では90部品(左右区別等を含め115部品)について独自のCO2削減量算定が可能となっている。しかし、こうした削減効果を信頼性の高いカーボンクレジットとして評価・流通させる方法論は、国内外に存在していなかった。
そこで独立した制度オーナーであるEARTHSTORY(Linkhola)が、NGPの実証データや産学共同研究データ・運用実績を参考に、第三者審査に耐えうる客観的な算定ロジックを設計し、本方法論の開発・策定にいたった。ルール策定者(制度オーナー)とプロジェクト実施者(NGP等)の独立性を明確に維持し、国際的なクレジット基準に準拠した制度ガバナンスを確立している。
新方法論「自動車パーツリサイクル」の概要
本方法論は、使用済み自動車から適切に回収・品質管理され、再び市場に供給された自動車パーツ(外装・機能部品等)の再利用を対象とする。算定は、対象パーツを「新品で製造・流通させた場合(ベースライン)」と「リユース部品として美化・点検・流通させた場合」のCO2排出量の差分を「削減量」として定量化する仕組み。EARTHSTORYボランタリークレジット制度のもと、デジタル技術でデータの透明性・トレーサビリティを確保し、独立した第三者審査機関による検証で二重計上を防止する。
本方法論がもたらす2つの革新ポイント
01
「部品」の再利用(リユース)を直接評価
破砕や製錬を伴う「素材リサイクル」とは異なり、形状・機能を保ったまま再利用する「部品リユース」そのものを評価する。新品の製造を代替することで、製造時の膨大なエネルギー消費とCO2排出を直接、大幅に回避する。
02
Scope3対策ニーズと自動車リサイクル産業の持続的発展
創出された高品質なクレジットは、サプライチェーンでの排出削減を進めたい自動車産業の関連会社が購入・活用する。その収益が自動車リサイクル事業者に還元されることで、リサイクル部品の品質向上・流通拡大につながり、業界全体の持続的発展を後押しする。
NGPが独自算定する部品について
本方法論の開発には、NGPによる長年の学術的取組みがベースとなっている。LCAの評価手法を用い、「新品部品の製造プロセス」と「リユース部品の商品化(取外し・点検・美化)プロセス」のCO2排出量を評価し、高精度な独自の算定システムを確立。外装・ボディー系、ライト・ミラー系、機能・駆動・足回り系、電装・エアコン系など、多岐にわたる部品をカバーしている点が、本方法論の実効性を支えている。
今後の展望 ― 第1号クレジットは2026年秋頃の発行目指す
NGPとLinkholaは2025年冬頃から本方法論の策定検討を開始し、外部の環境専門家による客観的レビューとEARTHSTORY制度運営委員会の審査を経て、2026年5月27日に正式策定にいたった。今後、NGPは90部品のうち一部の部品を対象に、本方法論に基づく「第1号クレジット創出プロジェクト」の申請・登録プロセスを始動する。自動車パーツリユースを対象とした世界初のクレジットとして、2026年秋頃の発行を目指す。
NGP組合全体の2030年目標
| 使用済み自動車の処理台数 | 1,000万台 |
| リユース等 | 2,000万点 |
| CO2削減量 | 50万t-CO2 |
本方法論は、これらの目標実現に向けた重要な基盤と位置づけられている。
各社コメント
株式会社NGP 代表取締役 佐藤幸雄 氏
長年積み上げてきたリサイクルパーツの流通実績と、大学等との共同研究によるCO2削減効果の算定データをもとに新方法論が策定されたことを大変嬉しく思う。リサイクルパーツの活用による環境貢献を客観的なCO2削減量として可視化し、ボランタリークレジットという新たな環境価値として評価する道筋が開かれた。今後も全国の会員企業とともにリサイクルパーツの普及を進め、自動車産業におけるサーキュラーエコノミーの推進とカーボンニュートラルの実現に貢献していく。
NGP日本自動車リサイクル事業協同組合 理事長 小林信夫 氏
自動車リサイクル部品の活用は、限りある資源を有効に使うだけでなく、新品部品の製造を回避することによるCO2削減にもつながる重要な取り組みだ。そのCO2削減効果をボランタリークレジットとして評価する方法論が策定されたことは、自動車リサイクル事業者の取り組みが社会的・環境的な価値としてより明確に認められる大きな一歩と考えている。今後も組合員一丸となって、適正処理、リサイクルパーツの品質向上、流通拡大に努めていく。
株式会社Linkhola 代表取締役 野村恭子 氏(環境学博士)
NGPから高度な実証データの提供を受け、中立なクレジット制度運営主体として世界初の方法論「自動車パーツリサイクル」を策定できたことを誇りに思う。修理して使い続ける文化や技術の継承、サーキュラーエコノミーの文脈において、部品の再利用は優先されるべき脱炭素アプローチの一つだ。本方法論を通じて環境価値を客観的かつ適切に評価し、ボランタリークレジット市場を通じて自動車リサイクル産業の活動を支援していく。
EARTHSTORYボランタリークレジット制度について
Linkholaは、民間主導のボランタリークレジット制度の制度オーナーとして、申請・審査・発行までをワンストップで提供する独立プラットフォーム「EARTHSTORY」を運営している。デジタル技術をベースとした自動化と制度設計により、最短3か月という国内最速クラスでカーボンクレジットを発行・流通できる点が強み。既存のJ-クレジットや海外のボランタリークレジット制度等でカバーされていない革新的な削減・吸収アプローチに対し、客観的なデータに基づき新方法論を迅速に構築している。
※本記事はNGP日本自動車リサイクル事業協同組合のプレスリリース(2026年6月23日、No.79)に基づき構成した。「世界初」はLinkhola調べ(2026年5月時点)による。