アプティ、IAAE2025セミナーで自動車整備業界の人材不足と外国人材活用を解説
整備業界で高まる外国人材採用への関心
自動車整備業界における人材不足が深刻化する中、外国人整備士の採用に注目が集まっている。IAAE2025で行われた株式会社アプティのセミナーでは、「日本一やさしい外国人整備士採用の教科書」と題し、外国人材採用の基本的な考え方や、在留資格、出身国の選び方、採用時の注意点などが解説された。
同社は、自動車業界に特化した人材サービスを展開しており、求人サイト、人材紹介、人材派遣、出張整備サービス、労働環境改善支援など、幅広い事業を手掛けている。セミナーでは、同社が自動車アフターマーケット業界の約3万5千店舗と取引していることにも触れ、自動車業界の採用課題に向き合ってきた立場から、外国人整備士採用の現状と実務上のポイントを説明した。
日本人整備士だけでは人材確保が難しい時代へ
冒頭で強調されたのは、国内の労働力不足が今後さらに進むという現実である。日本全体で労働需要と労働供給のギャップは拡大しており、自動車整備業界も例外ではない。自動車整備学校の入学者数はピーク時から減少しており、若年層の整備士候補者は限られている。
さらに、認証工場の廃業理由として人材不足が大きな要因になっていることも示され、同社は「日本人だけで労働力を賄うのは限界」と指摘した。採用難が続く中、外国人整備士の活用は、一部の大手企業だけでなく、地域の整備工場にとっても現実的な選択肢になりつつある。
整備士採用で検討すべき三つの在留資格
外国人整備士を採用する際に重要になるのが、在留資格の選択である。整備士として就労できる主な在留資格として、技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務の三つが紹介された。
技能実習は、開発途上国への技能移転を目的とした制度であり、原則として母国への帰国を前提としている。一方、特定技能は国内の人材不足解消を目的に創設された在留資格で、自動車整備分野でも活用が広がっている。
さらに、技術・人文知識・国際業務は、日本の自動車整備学校で二級自動車整備士資格を取得した外国人などが対象となるが、採用難易度は日本人整備士と大きく変わらない面があるという。
特定技能が有力な選択肢に
同社は、整備事業者が現実的に外国人整備士を確保する方法として、特定技能を有力な選択肢に挙げた。特定技能は、母国で自動車整備や日本語を学んだ人材を採用できる可能性があり、今後の受け入れ拡大も見込まれる。
技能実習と比べて制度の目的が労働力不足の解消にあり、企業の採用ニーズにも合いやすいという説明だ。特に、複数名の採用や継続的な人材確保を考える企業にとっては、特定技能の活用が今後重要になるとした。
出身国選びで注目されるインドネシア
また、在留資格と同じく重要なのが、どの国の人材を採用するかという点である。セミナーでは、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなどが比較され、言語習得、文化、定着性、自動車文化、採用難易度などの観点から説明が行われた。
その中で同社が特に重視したのがインドネシアである。インドネシアは人口規模が大きく、若年層も多いため、今後も安定した人材供給が期待できるという。また、日本と同じ左側通行・右ハンドルであること、日本車への親和性が高いこと、道徳意識や年長者を敬う文化が日本の職場になじみやすいことなどが挙げられた。
イスラム教への対応についても触れられた。礼拝やラマダンに対して不安を持つ事業者もあるが、実際には業務に支障が出ない範囲で柔軟に調整できるケースが多いという。飲酒習慣が少ないことなどを踏まえ、安全が求められる整備業務に適した面もあると説明した。
採用には生活支援まで含めた準備が必要
外国人整備士の採用手順については、受け入れ要件の確認、人材募集・選考、雇用契約、支援計画の策定、在留資格申請、就業準備という流れが示された。
特定技能では、仕事面だけでなく生活面の支援も求められる。事前ガイダンス、空港送迎、住居確保、生活オリエンテーション、公的手続きの補助、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、定期面談など、企業側に求められる支援は多岐にわたる。
そのため、初めて外国人整備士を採用する企業にとっては、人材紹介会社や登録支援機関の活用が現実的な選択肢となる。セミナーでは、採用から在留資格申請、入社後の支援、定着までを一貫して支援できる事業者を選ぶことの重要性が強調された。
人材会社選びで確認すべきポイント
一方で、人材会社を選ぶ際には注意も必要だという。現地政府から許可を得た事業者か、現地教育機関との連携があるか、義務的支援だけでなく入社後の日本語教育や生活支援まで対応できるか、自動車整備分野に特化しているか、紹介料や支援料が適正か、といった点を確認する必要がある。
特に費用が安すぎる場合、外国人本人に過度な負担が生じている可能性もあり、後のトラブルにつながる恐れがあるとした。外国人材の採用は、単に人材を紹介してもらうだけでなく、入社後の定着や育成まで見据えたパートナー選びが重要になる。
アプティはインドネシア人材の紹介体制を強化
アプティは、自社でも外国人整備士に特化した人材紹介サービスを展開していると説明。人材募集から採用支援、入社後のアフターサポートまでを一社で対応できること、インドネシア政府から許可を得た職業紹介事業者であること、現地教育機関との連携を持つことなどを特徴に挙げた。
また、現地で整備人材を育成し、日本の整備事業者へ紹介する体制を整えているとした。セミナーでは、採用だけでなく、既に外国人材を受け入れている企業に対する日本語教育、資格試験対策、管理・フォローなどの支援にも対応していることが紹介された。
外国人整備士採用は経営課題の一つに
整備業界では、これまで外国人材の採用に対し、言語、文化、生活支援、手続きの煩雑さなどを理由に慎重な姿勢を取る事業者も少なくなかった。しかし、人材不足が今後さらに深刻化する中で、外国人整備士の採用は一部の大手企業だけの選択肢ではなく、地域の整備工場にとっても現実的な経営課題になりつつある。
今回のセミナーは、外国人整備士採用を検討する事業者に対し、制度の基本から採用実務、国別の特徴、支援体制の考え方までを整理する内容となった。とりわけ「特定技能」と「インドネシア人材」を軸にした採用モデルは、今後の自動車整備業界における人材確保策の一つとして、注目度を高めていきそうだ。