金太郎飴接客できてますか?

生き残りのカギは差別化である

このところ、宅配業者の勤務実態が劣悪であることがニュースで取り上げられた。原因はインターネット通販の普及にあると言われている。たしかに、ただでさえ24時間いつでも注文ができることに加えて、注文したその日のうちに届くという即日便なるサービスまであるとなれば、ドライバーにしわ寄せがいくのも納得である。

さて、このインターネット通販を考える上で、「市販の量産品」がキーになる。量産品はよっぽど粗悪なメーカーでない限り、製品にバラツキが出ることはまずない。ということは、誰が売ってもどこで売っても、それは同じ品質の商品なのである。裏を返せば、消費者はどこで買っても同じ商品が手に入るわけで、どこで買うかの決め手となるのは自ずと品質以外の要因となるわけである。すなわち、業者としては他とどうやって差別化を図るかが売上を左右するのだ。

この差別化という観点で考えると、インターネット通販は、「24時間いつでも(アクセス環境があれば)どこでもクリック1つで手軽に注文できる」という利便性で、例えば店頭販売など他の販売ルートとの差別化を図ったというわけである。

整備業界もサービス面では均一化している

話を自動車整備業界に移そう。自動車を修理するということから始まった自動車整備業界だが、やれ鈑金だ、保険だ、車販だとあれもこれもとサービスを充実した結果、車に関するサービスはどこへ持って行ってもほぼほぼ受けられる状態になってしまったのが現在の業界の姿ではないだろうか? 特に店舗が密集している地域では、先ほどのインターネット通販ではないが、いかに他との差別化を図るか? が生き残りのカギになることは言わずもがなである。

差別化は他店に対して、接客品質は均一化を

さて、ここまで何度も「差別化」を繰り返し謳ってきたが、差別化を図るのは対他店舗にのみ留め、こと自社の接客品質に関しては均一化を目指すべきであり、ここからが今回の本題である(ここに行く着くまで長かった)。先日、クリーニング店の前を通った時のこと、その店はチェーン店でどうやら集中クリーニングセンターから戻ってきた洗濯物を届けにドライバーが控えている所に遭遇した。折りしも来店客がその店から帰るところで、そのお客さまに対してドライバーが笑顔で「ありがとうございました」と声をかけたのである。

何だ、当たり前のことじゃないかと思われるかもしれないが、ここで考えていただきたい。このドライバーが、「自分はただクリーニングの終わった洗濯物を店に配達するだけやっていればいい仕事だから」と考えていたら、自然に挨拶できただろうか? つまり、このチェーン店は、直接は接客に当たらないスタッフであっても「自分の仕事は最終的には店舗を利用されるお客さまに繋がっている、接客業なのだ」という意識が行き渡っていることを意味している。

さて、御社のスタッフはいかがだろうか?「私はパートタイマーだから」「俺はアルバイトだから」という考えでいるスタッフはいないだろうか? 直接お客さまが来られる店舗にいる以上、お客さまからすれば社員かどうかは関係ない。だからこそ、全員が最低ここまではできるという接客品質の均一化、いわば金太郎飴接客に取り組んでいただきたい。

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