診断(点検)と治療(自動車整備)と検診(検査)

自動車整備業の接客対応術50

車検を人間の医療にたとえますと、従来は病気をなおしてから人間ドックに入るような方法でしたが、先に検査を受けて悪いところがあれば治療してもよい、というニューサービス方式が加えられました。したがって、これからは点検(診察)と自動車整備(治療)をそれぞれ明確に識別して車検整備商品の構築にかかる必要があります。

「点検」とは、どこを整備するのかを判断する行為で「診察」に当たるもの。

「自動車整備」とは、壊れたところをなおし壊れないように予防整備する行為で「治療」に当たるもの。

「検査」とは、保安基準に適合しているかどうかを調べる行為で人間ドックの「検診」に当たるもの。

検査とは本来品質や性能が基準に合っているかどうかを調べ、不良品をみつけることに目的があります。検査という行為そのもので品質や性能をアップすることはできません。人間ドッグでの検診だけで健康になれないのと同じことです。車検作業の中での検査は、安全を確かめるだけで安全を生むことはありません。整備をしてこそ安全という付加価値をつけることができるのです。また整備は、車検時にやるものとは限りません。むしろ、車の使用による劣化状態に応じて適切に行われるべきものです。

検査と整備(治療)とは異質なものであり、安全のための整備をいかに合理的に提供していくのかが本来の整備業の姿のはずです。車検をわざわざ整備工場に依頼することの理由は便利ということ以外に、整備(治療)をしてくれるので安全に乗れるということを期待しているからにほかなりません。

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